研究室紹介

(このページは未完成です。4月を目処に情報を整理します)

 動物生態学研究室は,京大理学部に動物学教室が発足した当時の動物生理生態講座の流れをくんでおり,発足時の川村多実二から,宮地伝三郎,森下正明など日本の生態学の発展に大きく貢献した研究者が教授を務めてきました.

 現在では「京都大学・大学院理学研究科・生物科学専攻・動物学系・自然史学講座」に属する一つの分科(研究室)であり,複数の教員が協同して研究室を運営しています.

研究

 京大動物学教室の生態学は,個々の生物の生態や生物群集を記載する,いわゆる自然誌的な研究に始まりました.現在でもその雰囲気は色濃く,教員や学生という立場に関係なく,それぞれが自由な発想でフィールドでの生態観察を行い,その観察に立脚した研究が進められています.研究対象は動物全般およびそれらと相互作用する生物群です.教員の専門は昆虫,魚類,鳥類ですが,学生はそれに制限されることなく教員との相談しながら様々な対象を研究することができます.

 近年では,自然誌研究だけでなく,生態学や進化生物学における学術的問題へ挑戦するような研究も積極的に進められています.そういった研究課題においてはフィールド観察だけでなく,飼育実験や分子生物学的実験など多角的なアプローチが必要となります.本研究室では,従来式のシーケンサーや,次世代シーケンサー,リアルタイムPCRなどのDNA解析の設備や,顕微鏡などの形態観察のための設備,昆虫および魚類の飼育設備を備えており,これらを活用して挑戦的な研究課題を個人,もしくはグループで推し進めています。最近は飼育や分子実験など実験室内での研究の比重が高まっていますが,それでも教員,学生とも,国内のみならず海外のフィールドへたびたび出かけて調査を行っています.実験室に閉じこもらず,虫採り魚採りに熱中する,研究対象が野外で生きている姿を知っている,それがこの研究室のよいところです.

 本研究室では様々な学術的課題が研究テーマとなりますが,最近では以下のようなテーマが主となっています。


適応的多様化・種分化

 動物の適応的な多様化,そしてそれに関連する種分化について,野外観察,室内実験,分子生態学的解析を通して研究しています.例えば,魚や昆虫における,餌や生息場所タイプに対応した形態の分化が,どのような自然選択によって生じたのか,またその分化は,集団間の遺伝的分化や生殖隔離と結びついているのか.昆虫の近縁種間の交尾器の違いがどのような性選択,自然選択によって生じたのか,また交尾器の多様化進化がどう種分化に結びつくのか.

 適応分化や種分化を遺伝子レベルで解明するために,QTL解析や発現遺伝子比較が行われますが,そうした研究は,「エコゲノミクス」のアプローチで進められています.次世代シーケンサーが普及し,対象動物のゲノムから大量のシーケンスデータを得て解析が行われるようになりました.


個体群生態学

 個体群動態の研究は,生態学の最も基礎的な研究であり,適応進化の理解や種の保全においても重要な情報を提供します.本研究室では,絶滅が危惧されるネコギギについて,継続的な個体群調査が行われています.


種間関係・群集

 競争や捕食といった種間関係に関する研究もいろいろ行われています.資源をめぐる競争だけでなく,繁殖行動を介した種間の干渉(繁殖干渉)の研究,また植食性昆虫と餌植物の相互の適応,共進化など.

 群集レベルでは,淡水魚類,土壌無脊椎動物などの餌資源利用が,胃内容分析や安定同位体分析によって研究されてきました.


系統地理学・歴史生物地理学

 動物の種の地理的分布,地理的な集団分化・種分化がどのような歴史的背景をもっているのか,気候変動や地史とどのように関係しているのかについて,分子系統学的手法を用いて研究しています.とくに日本の淡水魚や,オサムシ,シデムシ,ネクイハムシといった鞘翅目昆虫が主な研究対象になってきました.


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