結果報告



応募状況

応募件数:49件,アルゴリズム数:81件
応募機関:15機関
立命館大学,奈良先端科学技術大学院大学,鳥取大学,中京大学,筑波大学,大阪市立大学,早稲田大学,静岡大学,
青山学院大学,新居浜工業高等専門学校,三重大学,広島市立大学,宮崎大学,岡山県立大学,企業

 
 

アルゴリズムの性能分布


受賞アルゴリズム

最優秀賞(1件)

「局所文字輪郭形状に着目した線素方向ヒストグラムを用いた筆者識別」

  • 斎藤 正孝,秋月 秀一,岡 明也,柴田 悠太郎,西山 乘,櫻本 泰憲,杉山 健太朗(中京大学)
  • 副賞:Wii本体+ Wii SPORTS Resort同梱版
  • 講評
    • 速度よりも精度を追及するという方針が明確,パーツのテンプレートの作り方についての考察.
    • 1)文字の太さヒストグラム,2)方向ヒストグラム,3)濃さによる特徴量の線形和で照合.
    • アイディアが良く,処理性能が非常に高い.
 
 

優秀賞(2件)

「文字端点の幅情報と螺旋軌道の.角度分布を使用した筆跡鑑定」

  • 伊藤 徹弥,高木 勇一郎,浜岡 裕之(広島市立大学)
  • 副賞:ホームベーカリーSD-BH104-D
  • 講評
    • パーツ分類として,境界画像の画素値列をそのまま特徴量とした判別を行い,筆者の推定として,
      パーツ画像のスリット領域のパターン,太さ,濃さなど複数の特徴量を用いた推定を行っている.
      さらに,筆者-パーツ分類の組み合わせ毎に,筆者推定のための各特徴量の信頼度を算出し,それ
      を考慮して識別を行う工夫がなされている.①パーツの分類,②筆者の判別,を同時に実行する
      模範的なアルゴリズムだと感じられる.計算処理としては非常にシンプルで高速動作が期待でき
      (事実,高速に処理されている),アルゴリズムとしての汎用性も高いと感じられる.
    • 技術的で緻密に設計されていると感じた.結果,非常に高い識別性能を示してる.特徴量も複数
      の提案を組み合わせて作成されたものであり,文字認識の市場製品と十分戦える,実用化レベル
      の特徴量ではないか,と考える.一方で,らせん軌道の角度ヒストグラムの解説部分が明瞭さに
      欠け,一読では理解が困難だった.
 
 


「文字の構造情報を用いた特徴領域抽出に基づく筆跡鑑定」

  • 藤井 聡,荻原 麻里,畑 裕介(静岡大学)
  • 副賞:クロックマンID
  • 講評
    • Level2に限定しているとはいえ,高い認識性能を比較的短い計算時間でえられている.丁寧なアル
      ゴリズム設計に応募者の地力を感じる.
    • 特徴領域付近にスキャンを限定することで高速化を達成しつつ,かつ,スコアも高く,素晴らしい.
    • 入力文字と学習パーツのテンプレートマッチングによる認識.入力文字の文字パーツ部分の抽出と,
      その種類の判別,および,テンプレートマッチングを行うために,文字を細線化し,端点,分岐点,
      交点,角点の4つの特徴点を使っている.書道家判定のために,斬新という訳ではないが,非常に
      有効かつ汎用性の高い妥当な方法を使っている.その他,前処理によるノイズ除去,細線化による
      ヒゲの除去なども行っており,細かい部分の処理も行きとどいている.認識精度は高く,処理時間
      も良い.
 
 

一般枠 優秀賞(1件)

「テンプレートマッチングに基づく筆者推定」

  • 近藤 敏志(社会人)
  • 副賞:電子書籍リーダー kobo Touch
  • 講評
    • スコアが高く,優秀なアルゴリズムです.説明書には,文字の検出アルゴリズムが失敗する可能性と,
      その条件についても記載されており,適用範囲が明瞭で良いと思いました.計算速度はやや遅めのよ
      うですが,テンプレートマッチングではなく,より工夫した特徴抽出法を提案すれば,計算速度の問
      題も解決できたかもしれません.
    • すべての文字部品とのテンプレートマッチングに時間がかっているようであるが,最も多くの部品で
      文字を説明できる筆者の特定方法と,面積と縦横比を考慮しながら小領域を統合する文字領域の決定
      が堅実であり,高い得点に表れている.マッチングにおけるスケーリングについても言及してほしい.
 
 

入賞(3件)

「文字の4分割による筆跡鑑定アルゴリズム」

  • 日高 雄太,菅 正悟,片山 奨(宮崎大学)
  • 副賞:OMRON 活動量計カロリスキャン
  • 講評
    • Level2に限定しているとはいえ,認識性能と計算時間のバランスが良いアルゴリズム.文字を4分割
      するという思い切った戦略が奏功している.
    • 事前に良く対象文字データを観察・分析し,それに適したアルゴリズムを構成している.
    • 文字を左上,右上,左下,右下に4分割し,各画像部分と学習パーツとのテンプレートマッチングに
      より書道家を判定している.この際,出題される漢字検定9級,10級の10画いないの文字の特徴
      をうまく使い,4分割した各部分に現れる確率が高い特徴に合わせた学習パーツのみをマッチングさ
      せることにより処理時間を短縮させている.また,マッチングが一定の条件を満たした場合には,正
      解と判断し,他の部分画像のマッチングは行わないことで時間短縮を図っている.手法は単純だが,
      出題される文字の特性をうまく使い,判定を行っており面白い.
 
 


「たった一度の輪郭追跡」

  • 横溝 将成,上川 智幸,武田 涼平(広島市立大学)
  • 副賞:ピタッとスピーカー
  • 講評
    • 鑑定性能はやや低めですが,説明書の記載が秀逸で読み手をわくわくさせる.永字八法の特徴につい
      ての議論があり,大変興味深い.鑑定がうまくいかない場合について,より深い考察があると良かっ
      たと思う.
    • 鋭い輪郭を検出することで文字パーツを発見.その後,文字パーツの特徴を輪郭情報から算出.
      おもしろい.
    • 特徴点を抽出する際に,鋭い凸な点を特徴点とするなど着眼点が面白い.説明文も正しく簡潔に書か
      れている.
 
 


「漢字の特徴を利用した高速筆跡鑑定」

  • 西田和博(新居浜工業高等専門学校)
  • 副賞:Bamboo Pen(CTL-470/K0)
  • 講評
    • 計算処理の実態としてはシンプルなテンプレートマッチングであるが,毛筆画像の筆者判別という問
      題の特性を考慮した高速化が図られている.プログラミング実装としてのアルゴリズムは,非常にシ
      ンプルで古典的であるが,問題の特徴を考慮した高速化のアイデアはユニークだと感じた.
    • 学習データを書き始めと左はらいのみに限定し,マッチング処理の範囲も文字領域左のみに省略する
      という潔さと,約100行程度の明解なプログラムが特長.それでも得点を大きく損なわないことを示
      す結果が興味深い.できればマッチング処理の算法を工夫して更なる劇的な時間削減を狙ってほしかった.
    • training_dataフォルダ内にあるパーツ140個を全て使うのではなく,文字の左側で書き始めと書き終わ
      りで多用されるパーツ40個に絞った点が非常に独創的だと感じた.提供されている画像の内容はグ
      レースケールに過ぎないことに着目し,R成分のみを使うことで,色変換を行うことなく処理の効率化
      につなげている点も,無視できないポイントであり,着眼点が独創的と感じた.
 
 

審査員特別賞(1件)

「書き手の個性を反映した文字テンプレートの合成による筆跡鑑定手法」

  • 宍戸 英彦,鈴木 友規,鳥屋 剛毅,李 云,江夏 寛朗(筑波大学)
  • 副賞:タマゴ型デジタルフォトフレーム
  • 講評
    • 文字領域の検出における直線走査や,パーツの加工による文字の合成モデル等,独創的な試みを評価
      したいが,込み入った実装の割に,どの方法も性能向上につながる根拠が薄いのが残念であり,実際
      に低得点に終わっている.合成モデルは,筆者の特定よりも,例えば劣化画像からの文字認識に効果
      が表れる可能性はないか?
    • スコアは高くないが書道家パーツの合成によるテンプレート生成が非常に独創的.
    • 学習パーツを加工,合成することにより,1文字のテンプレートを作成し,入力画像とのマッチング
      をおこなっている.端点周りを抽出し,パーツのみを比較するのではなく,逆に,学習パーツから1
      文字を生成するアプローチは,今回の課題を解く観点からは,筋が良いとは言えないが,大胆で面白
      い.一つ一つの合成までの処理も工夫がある.
 
 

特別講演

堀田 政二 先生(東京農工大学)

「汎用的なパターン認識技術を活用して.特殊な問題を解決してみよう」

今回のアルゴリズムコンテストの対象は文字であるが、課題は書かれた文字種を答えるのではなく、筆者を認識す
ることである。パターン認識的な観点から見れば、多くの人間の書いた同一文字の特徴を汎化学習するというスタ
イルとは異なり、個人が書いた文字の特徴に特化した学習が必要となる。このように、対象は同じでも、解きたい
問題によって汎用的な学習と問題に特化した学習を使い分ける必要がある。しかし、これらの学習は相補的な関係
でありながら、一般的な枠組みで議論することが困難なため、本講演では汎用的なパターン認識技術を活用して特
殊な問題を解決するという観点から、これらの学習の関係について議論することを試みる。