ミーヤキャット心筋症

5才のミーアキャットが突然元気がなくなりぐったりしているとのことで来院されました。来院時に明らかな呼吸困難が見られたため酸素吸入をしながらの診察になりました。胸部レントゲンでは心臓の外径がはっきりせず、大きく肥大しているのが見られます。また肺野も見えにくく、空気が入るべき部分(黒い部分)もかなり小さくなっています。

さらに腹部も大きく膨らんでおり、腹水の貯留も疑われます。

超音波検査では心臓の周りを包むように液体が溜まり(心嚢水)、心臓を外側から圧迫するため心臓の動きが著しく低下している様子が見られました。この状態では心停止の危険性が高いため、穿刺により心臓の周りの液体を一部吸引し心臓への圧迫を軽減する処置をします。また腹部にも多量の腹水が溜まっているため、これも一部除去し腹部圧迫の負担を軽減します。

穿刺により除去できる心嚢水はわずかですが処置後のレントゲンでは肺野の改善が見られます。その後は利尿剤を投与し少しずつ残りの液体を排出するようにします。

1週間後の再診では食欲や動きも大きく改善されほぼ通常通りになりました。レントゲンでは心臓の肥大は残るものの肺野は大きく改善しました。

心臓のエコー検査では異常な心嚢水は消失しましたが、左右の心房・心室の全てが拡張していることがわかります。また心臓の動きが減少しており、心臓の収縮運動の指標であるFS12%程度まで減少していました。(正常は25-40%)心臓の壁の厚みも減少しており、拡張に伴い薄くなっています。

腹水はだいぶ減りましたがまだ少量の腹水が残っています。また心臓の機能が低下し血液の循環が滞っているため肝臓も肥大しています。

エコー検査の計測値についてはミーアキャット特有の正常範囲がないため近縁動物の正常値を参考しますが、これらの所見から拡張方心筋症が強く疑われます。今後は循環器用薬を継続して経過を観察していくことになりました。