カメ 卵胞停滞

卵胞が正常に発達せず多数の卵胞が蓄積する卵胞の停滞はトカゲ類やカメ類でよく見られ、特に多数の卵胞が不空内のスペースを占有している場合食欲不振・排便障害・などを伴います。

今回は数週間にわたり食欲と元気がないということで来院されました。外観は甲羅の明らかな発達異常による変形がみられ、慢性的なカルシウム不足(代謝性骨疾患)が疑われます。また超音波検査では蓄積した卵胞と思われる所見も見られます。

このような場合、カルシウム不足の他にも卵胞が卵巣や卵管から出てしまい腹腔内で散らばっていたり、卵黄が漏出して腹膜炎を起こすなどの合併症を併発している可能性もあり判断が非常に難しくなります。今回は内科的治療を開始し点滴やカルシウム剤投与を行った上で手術を行いました。

以前は腹側の甲羅を切って手術をしていましたが最近では後肢の付け根の皮膚を切開して行うやり方が一般的です。しかし腹腔内全体が見えず、小さな穴から中にある卵胞を組織を傷つけないように少しずつ取り出す必要があるため非常に根気のいる手術になります。