ボシカメレオン 卵管内の卵黄停滞

今回は推定1歳くらいのエボシカメレオンが食欲不振とケージの下の方で動かないということで来院されました。このような行動は正常に産卵をするカメレオンにも見られる行動で、さらにこのカメレオンはすでに正常に産卵した経歴のあるため、治療計画を立てるのが非常に難しいケースの一つです。

レントゲンでは正常な卵殻を形成した卵は見られず、体腔部の下半分に臓器を示す白い部分が拡大しているのが見られますが各臓器の判別は不可能です。超音波では未成熟の卵胞が複数見られ卵胞の停滞が疑われますが、卵巣内でかなり多数の卵胞が停滞する典型的なエボシカメレオンの卵胞停滞症とは少し異なる様相でした。

まず内科的治療を試みますが改善が見られず苦しそうな状態が継続したため開腹手術を行いました。体腔内は両側の卵管に未成熟の卵黄が多数停滞していました。また卵管の一部が破れ卵黄が漏れたことで腹膜炎を併発し卵管と消化管が癒着を起こしていました。

やむをえず卵巣と卵管を摘出、癒着した部分は消化管への血流に影響しないように剥がします。漏れ出た卵黄成分も可能な限り回収し体腔内を何度も洗浄して縫合します。