状況を理解できない動物にとって慣れない環境での入院は我々以上にストレスとなります。また自宅での療養により食欲や回復力が格段と促進されることも明らかになっています。当院では手術後の入院期間をできるだけ短縮するよう努力しており、クライアント側から入院によるケアのご要望が無い限り、通常の避妊・去勢手術、その他一部の手術において日帰りを推奨しております。
高齢動物は元気に見えても隠れた異常があることが多いので注意は必要です。しかし「高齢」ということだけでリスクが高すぎて麻酔が不可能と決めつけることは出来ません。また若齢でも主要臓器に異常が見られることがあり、若いというだけでリスクが低いと決めつけることも出来ません。
年齢の高低だけで麻酔をするかを決めるのではなく各個体の体調や病状をしっかりと把握すること、そしてそれぞれのコンディションにあわせてどのように麻酔と処置を行うかを検討することが大切です。多くの場合において高齢でも術前検査をしっかり行い、大きな異常がなければ麻酔処置は可能です。
大切なのはそれぞれのコンディションに合わせてどのように麻酔と処置を行うかということです。
術前検査により心肺機能・肝機能・腎機能を把握し麻酔処置が可能かどうか検討します。
必要な処置を行うにあたり所要時間と効率的に処置を行うプランをたてます。
現在の体調や病状によって麻酔前投与薬の種類や用量を検討します。
麻酔薬の種類・投与量・投与方法を検討します。
麻酔中は常にバイタルサイン・血圧・心電図などを記録し、生命機能の変化を常に把握し敏速に対応します。
覚醒後容態が安定するまでモニタリングします。