大切な家族の健康を守るために

予防医療は単に動物の健康を守るだけではありません。ノミ・ダニは動物だけでなく重要なヒトの感染症も媒介し、消化管寄生虫や犬用ワクチンに含まれるレプトスピラ病は人獣共通感染症としてしられていますのでこれらの予防・駆除を行うことは人間の健康を守る上で非常に大切です。とくにお子様のいるご家庭ではこれらの予防をしっかり行いましょう。

    1. 定期健康診断 (犬・猫)

    2. 狂犬病予防接種 (犬)

    3. ワクチン抗体価検査または混合ワクチン接種(犬・猫)

    4. フィラリアの予防 (犬・猫)

    5. ノミ・ダニの予防・駆除 (犬・猫)

    6. 定期的な消化管寄生虫の駆除(犬・猫)

    7. 定期的に体重をはかる (犬・猫)

定期健康診断

フィラリアの検査に合わせた毎春の健康診断も定番になりましたが、近年では血液検査だけではなく、血液検査(血球計算及び生化学検査)・尿検査・糞便検査・レントゲン検査(胸部・腹部)などを含め総合的に判断する方法が推奨されています。若くて健康に見える動物でも無症状で経過する疾患が見られたりする例もありますので1年に1度の検査をしましょう。シニア動物では半年に1度(人の年齢換算で2年毎)の検診が推奨されています。

狂犬病予防接種

日本では狂犬病予防法により3ヶ月齢以上の犬に毎年1回の狂犬病予防接種が義務付けられています。海外旅行者の感染例を除き国内での感染例は1956年以降見られないことから日本は狂犬病清浄国となっており、一方で狂犬病予防接種の必要性を軽視する声も上がっています。狂犬病は人間を含むすべての動物に感染し、発症後の致死率はほぼ100%に達する恐ろしい病気です。また近隣諸国では現在も狂犬病が頻発しており現行の複雑な防疫システムでも狂犬病の国内への流入を完全に防ぐことはできません。国内感染が見られた際に感染拡大を最小に止めるため狂犬病の予防接種を適切に行うことが大切です。

混合ワクチンと追加接種の必要性

ワクチンのプロトコールは海外での改変をもとに国内でも定期的に見直されています。子犬・子猫のワクチンでは接種回数が重要視されがちですが現在では最後のワクチン(3回目)を16週齢以降で接種するという適切な年齢での接種が最も重要視されています。また成熟後の追加接種は不必要なワクチンの過剰接種を避けるため、追加接種の必要性を判定する抗体価の検査も導入されています。病気を予防するために十分な抗体が継続する期間は各個体によって異なるため、最近では毎年の追加接種の代わりに抗体価検査を行い、抗体価の減少が確認されたら接種するという方法が推奨されています。また年月とともにライフスタイル・活動範囲・生活環境も変化し感染のリスクも変わりますので定期的に接種ワクチンの内容を再検討することが大切です。

一般的な幼犬・幼猫のワクチンプロトコール

※犬レプトスピラ混合や猫FeLVは感染の危険性がある場合にのみ使用されます。

フィラリアの予防

フィラリアは蚊によって媒介される寄生虫病で感染した寄生虫が心臓や肺動脈に多数蓄積し循環器不全をおこします。感染動物の生命に直接影響し、治療も生命のリスクを伴うため他の消化管寄生虫と比べ非常に危険な感染症です。フィラリアは以前から犬の病気として知られてきましたが、現在では他の動物にも感染することがわかっており、とくに猫やフェレットではわずかな感染が重い症状や突然死を引き起こすことが知られています。現在では犬・猫・フェレットでのフィラリア予防が強く推奨されています。フィラリア感染は外気温の影響を受けるため現行は4月から12月または通年の予防が推奨されています。

ノミ・ダニの駆除

ノミ・マダニは単に皮膚の痒みだけの問題ではありません。条虫などの寄生虫やバベシア症等の重大な感染症を媒介します。これらの病気は決して珍しい病気ではありません。またノミ・マダニが媒介しうる病気にはヒトへも感染する人獣共通感染症もあることから定期的な予防と駆除が大切です。ノミ・マダニの駆除はフィラリアと異なり、外気温の影響を受けにくいため通年の予防・駆除が推奨されています。

定期的な消化管寄生虫の駆虫

寄生虫の感染経路は経口感染だけではなく、経皮感染・経乳感染もあります。そのため子犬を迎え入れる際は必ず糞便検査をお勧めします。また回虫や鉤虫は直接人間に感染し、条虫は中間宿主を介して人に感染し重篤な病気を起こす人獣共通感染症であることが知られています。従って成長後の定期的な糞便の検査や駆虫をすることによりヒトの感染も予防することが大切です。

定期的に体重をはかる

年齢とともに増加する代謝性疾患は人間だけの問題ではありません。肥満は多くの病気と密接な関係があり、現代医学では肥満自体が独立した病気であるとされています。また体重の変化は肥満だけではなく、減少時も重大な病気の早期発見につながることがあり体重の増減は我々に多くのことを教えてくれます。少なくとも2週に1度は体重を計りましょう。

RAC 健康診断 推奨プラン

    • プラン内容は必要に応じて変更できますのでお気軽にご相談ください。

その他の検査

    • 心臓エコー検査:特に中程度の心雑音が確認された場合は大切です

    • 腹部エコー検査:レントゲンでは映らない腹部臓器の異常をチェックします

    • 眼科検診:検診で眼科の異常が見られたら早めに受けましょう