新しい家族を迎えたら 猫編

1.マイクロチップの装着と所有者登録

動物愛護および管理に関する法律の改正により所有する犬または猫へのマイクロチップの装着と所有者の登録が義務付けられました。また登録を受けた犬や猫を譲り受けた人はその登録内容の変更も義務付けられました。

これによりペットショップ・愛護団体・ブリーダーですでにマイクロチップが挿入され、その動物についてペットショップまたは団体が所有者として登録されていることがあります。そのため所有者登録済の動物を購入または譲り受けた人はその動物の所有者を自身に変更する必要があります。

譲渡時にマイクロチップが挿入されていない場合は動物病院で装着し、発行されたマイクロチップ装着証明書の内容にもとに新たにマイクロチップ番号と所有者を登録します。

犬や猫を購入・譲り受ける際はマイクロチップの挿入の有無や所有者登録状況を譲渡元(ペットショップ・団体・個人)に確認してください。マイクロチップの装着状況が不明の場合は読み取り機を所持する団体や動物病院で確認することができます。

所有者の変更登録および新規登録は環境省指定サイト(こちら)から行うことができます。


2. 混合ワクチン

混合ワクチンは法律で義務付けられておらず任意で行われていますが、感染力の強い重要な病気を予防するためのワクチンです。慣例的に子猫には3回のワクチン接種が行われていますが、現在では回数だけでなく3回目のワクチンを16週齢以降で行うという適切な年齢での接種が最も重要視されています。

猫の混合ワクチンには3および5種のワクチンが広く使われていますが室内飼育の猫では3種ワクチンが推奨されています。外飼いの猫については個別にご相談ください。

3回目のワクチン以降は3回目から起算して1年後(約1歳4ヶ月齢)で追加接種が推奨されています。2年目以降は追加接種または抗体価検査を必要に応じてご案内しております。詳しくは当院サイト予防のページ(こちら)でもご紹介しております。ご不明な点についてはお気軽にお問い合わせください。


3. 去勢・避妊手術

猫の去勢・避妊手術は6ヶ月齢前後が推奨されています。メスの猫では乳腺腫瘍の発生率と関連性があり、最初の発情が始まる前に避妊手術を行うことで乳腺腫瘍の発生リスクが91%低下すると言われています。また発生した乳腺腫瘍は高い確率で(約90%)悪性であり、進行の早い危険な病気であるためその予防が重要視されています。雄猫では匂いの強い分泌物によるマーキングが問題になることが多く、マーキング行動が始まる前に去勢するのが一般的です。

手術後は体重が増加する傾向にありますので、定期的に体重を測りご飯の量を調節しましょう。当院では通常日帰りの避妊・去勢手術を行っておりますがご都合により入院を希望される方は手術の際にご相談ください。


4. フィラリア・ノミ・ダニ・消化管内寄生虫の予防

フィラリアは蚊によって媒介される寄生虫感染症で主に心臓に寄生虫が感染することで心臓の機能障害を起こす重要な病気です。日本でも蚊の発生する春から秋までの間予防が推奨されており、温暖化による気温の変化に伴い予防期間の見直しもされています。

フィラリアは以前から犬の病気として知られていましたが猫やフェレットでは少数の寄生虫感染が重い症状を起こすことがわかっており予防が大切です。当院では現在4月から12月ごろまでの予防を推奨しておりますが、通年で投与されている方もいます。

室内飼育の場合はノミ・ダニ感染は稀ですが外の行き来がある場合は予防しましょう。またフィラリアのように気温の変化を受けないため通年予防が必要です。猫では1ヶ月に1度皮膚に塗布するタイプが一般的です。


5. 耳・歯・爪のお手入れ

おうちでのお手入れのやり方については当院サイトのHow to ページ(こちら)でも紹介しております。

猫でも稀に乳歯の遺残が見られることがあります。遺残した乳歯は正常な歯並びを妨げるだけでなく歯周病を進行させる原因となるため乳歯の遺残が見られる場合は抜歯をおすすめします。乳歯の抜歯は避妊去勢手術を行う際に同時に行うことができます。

永久歯は6ヶ月齢くらいまでに揃います。猫は歯ブラシなどのデンタルケアが困難ですが、子猫のうちから行うと慣れさせることができます。

爪のお手入れはシャンプーやトリミングの際に行うことができます。おうちで行う場合は先端の尖った部分をきり深爪を避けましょう。

猫の耳は入り口付近に分泌物や汚れが沈着する傾向があるため洗浄するか洗浄液を含ませたガーゼなどで拭き取ります。耳の洗浄は外耳炎などの異常がない場合、週に2−3度を目安に行い幼少期から慣れさせましょう。正しい耳洗浄のやり方は上記の当院サイトでご紹介しています。また実際に練習をされたい方はお気軽に当院スタッフにお声かけください。


6. 健診と成長後の体重管理

成長後は1年に1度(ヒトの4年に1度に相当)、7歳以上のシニアや病気の治療中では半年に1度の健康診断が推奨されています。当院では年齢に合わせた健診セットもご用意しておりますが、血液検査だけなどの個別の検査も行うことができますので査内容についてお気軽にご相談ください。

猫は6ヶ月から1歳で成猫になります。成長後も定期的に体重を測り体重の変化に気をつけましょう。体重は多少の増減が見られても問題はありませんが特に避妊・去勢手術後は体重が増加する傾向にありますので数ヶ月にわたり増加傾向の場合はおやつやご飯の量を見直しましょう。減少傾向の場合は健康状態に異常がないか念の為動物病院に相談しましょう。

皆様がペットとの生活を通じて素晴らしい思い出を作れますようスタッフ一同お祈りしております。