新しい家族を迎えたら 犬編

1.マイクロチップの装着と所有者登録

動物愛護および管理に関する法律の改正により所有する犬または猫へのマイクロチップの装着と所有者の登録が義務付けられました。また登録を受けた犬や猫を譲り受けた人はその登録内容の変更も義務付けられました。

これによりペットショップ・愛護団体・ブリーダーですでにマイクロチップが挿入され、その動物についてペットショップまたは団体が所有者として登録されていることがあります。そのため所有者登録済の動物を購入または譲り受けた人はその動物の所有者を自身に変更する必要があります。

譲渡時にマイクロチップが挿入されていない場合は動物病院で装着し、発行されたマイクロチップ装着証明書の内容にもとに新たにマイクロチップ番号と所有者を登録します。

犬や猫を購入・譲り受ける際はマイクロチップの挿入の有無や所有者登録状況を譲渡元(ペットショップ・団体・個人)に確認してください。マイクロチップの装着状況が不明の場合は読み取り機を所持する団体や動物病院で確認することができます。

所有者の変更登録および新規登録は環境省指定サイト(こちら)から行うことができます。


2. 市区町村への登録

上記のマイクロチップによる所有者登録の他に犬を飼育する際は狂犬病予防法によりお住まいの市区町村への登録が義務付けられています。 

新規の登録は狂犬病予防接種とともに最寄りの動物病院で行うことができます。新規登録以外(転入・所有者の変更など)は動物病院での手続きはできませんので下記の事項確認し、最寄りの区役所生活衛生化窓口へお問い合わせください。

  • マイクロチップの番号

  • マイクロチップの所有者の変更登録の有無

  • 旧所有者の情報(ペットショップや愛護団体など)

  • 犬の情報(名前・生年月日・種類など)


3. 狂犬病ワクチン接種

日本では生後91日齢をすぎた犬に対して毎年狂犬病ワクチンの接種が義務付けられています。新しく子犬を購入または譲り受けた際は動物病院で狂犬病ワクチンの接種をしましょう。混合ワクチンの接種を考慮した最適な接種スケジュールについては個別にご相談ください。

横浜市内在住の方で新規登録をされる場合は動物病院にて狂犬病ワクチンと一緒に行うことができます。マイクロチップの所有者登録や市区町村への転入届については動物病院ではできません。


4. 混合ワクチン

混合ワクチンは法律で義務付けられておらず任意で行われていますが、犬の命に関わる重要な病気を予防するためのワクチンですので接種が強く推奨されています。慣例的に子犬には3回のワクチン接種が行われていますが、現在では回数だけでなく3回目のワクチンを16週齢以降で行うという適切な年齢での接種が最も重要視されています。

混合ワクチンには5から10種とさまざまな種類がありますが、当院では5種と9種を常備しており、それぞれのライフスタイルに適したワクチンの接種をおすすめしております。何種のワクチンを接種するかについては個別にご相談ください。

3回目のワクチン以降は3回目から起算して1年後(約1歳4ヶ月齢)で追加接種が推奨されています。2年目以降は追加接種または抗体価検査を必要に応じてご案内しております。詳しくは当院サイト予防のページ(こちら)でもご紹介しております。ご不明な点についてはお気軽にお問い合わせください。


5. 去勢・避妊手術

去勢・避妊手術はこれまで慣例的に全ての犬について6ヶ月齢前後で行われてきましたが、現在ではさまざまな病気との関連を考慮し特に大型犬についてその内容が見直されています。またそれらの病気との関連性については不明な点も多く、今後も新たなデータをもとに修正されていくと思われます。当院では最新のデータを元に推奨された手術時期をご提案します。小型犬については従来通り6ヶ月から1歳での手術が推奨されています。手術後は体重が増加する傾向にありますので、定期的に体重を測りご飯の量を調節しましょう。

当院では通常日帰りの避妊・去勢手術を行っておりますがご都合により入院を希望される方は手術の際にご相談ください。


6. フィラリア・ノミ・ダニ・消化管内寄生虫の予防

フィラリアは蚊によって媒介される寄生虫感染症で主に心臓に多数の寄生虫が感染することで心臓の機能障害を起こす重要な病気です。日本でも蚊の発生する春から秋までの間予防が推奨されており、温暖化による気温の変化に伴い予防期間の見直しもされています。当院では現在4月から12月ごろまでの予防を推奨しておりますが、通年で投与されている方もいます。

ノミ・ダニは首都圏でも河川敷・公園・広場など土のある場所はどこでも感染の可能性があります。またフィラリアのように気温の変化を受けないため通年予防が必要です。

最近では一つの予防薬でフィラリア・ノミ・ダニ・消化管内寄生虫まで幅広く予防できるようになり、オール・イン・ワン型予防薬が一般的になりつつあります。フィラリア予防は6ヶ月齢以下の子犬を除き、1年に1度簡単な血液検査を行った上で薬を投与します。投与頻度は製品により異なりますが毎月1度投与するタイプが一般的です。


7. 耳・歯・爪のお手入れ

おうちでのお手入れのやり方については当院サイトのHow to ページ(こちら)でも紹介しております。

小型犬の幼少期は乳歯の遺残が頻繁に見られます。遺残した乳歯は正常な歯並びを妨げるだけでなく歯周病を進行させる原因となるため乳歯の遺残が見られる場合は抜歯をおすすめします。乳歯の抜歯は避妊去勢手術を行う際に同時に行うことができます。避妊・去勢手術をしない場合でも比較的短時間の麻酔ですみますので歯の健康を維持するために乳歯の抜歯を検討しましょう。

永久歯は6ヶ月齢くらいまでに揃います。子犬のうちから口元を触ったり歯ブラシに慣れさせると毎日のケアがしやすくなります。犬の歯ブラシは毎日行うと歯石の沈着や歯周病予防に高い効果が見られます。犬では虫歯などは比較的稀で、歯と歯茎の間から歯根部に進行する歯周病が大部分を閉めます。そのため歯ブラシは歯と歯茎の間を中心に行いましょう。無麻酔の歯石除去は歯の表面を傷つけ歯石がつきやすくなるだけでなく歯周病治療で最も重要な歯と歯茎の間の適切な処置ができないため推奨されていません。

爪のお手入れはシャンプーやトリミングの際に行うことができます。おうちで行う場合は先端部分を控えめにきり深爪を避けましょう。また音や振動に耐えられる場合は犬用電動ヤスリを使用することもできます。

子犬のうちは耳もきれいですが、成犬になってから起こる外耳炎の治療ではおうちでの洗浄や点耳薬が重要になるため、幼少期から慣れさせおうちで耳洗浄をできるようにすることが大切です。耳の洗浄は外耳炎などの異常がない場合、週に2−3度の洗浄を目安に行います。正しい耳洗浄のやり方は上記の当院サイトでご紹介しています。また実際に練習をされたい方はお気軽に当院スタッフにお声かけください。


8. 健診と成長後の体重管理

成長後は1年に1度(ヒトの4年に1度に相当)、7歳以上のシニアや病気の治療中では半年に1度の健康診断が推奨されています。当院では年齢に合わせた健診セットもご用意しておりますが、血液検査だけなどの個別の検査も行うことができますので査内容についてお気軽にご相談ください。

小型犬では6ヶ月から1歳、大型犬では1歳から1歳半くらいで成犬になります。成長後も定期的に体重を測り体重の変化に気をつけましょう。体重は多少の増減が見られても問題はありませんが特に避妊・去勢手術後は体重が増加する傾向にありますので数ヶ月にわたり増加傾向の場合はおやつやご飯の量を見直しましょう。減少傾向の場合は健康状態に異常がないか念の為動物病院に相談しましょう。


皆様がペットとの生活を通じて素晴らしい思い出を作れますようスタッフ一同お祈りしております。