JP03. ランドシュタイナーによるABO血液型の発見

 

ABO系は安全な輸血のための最も重要な血液型のひとつです。ランドシュタイナーは1900年に彼と彼の同僚からの血液を細胞成分と液体成分に分 け、それをさまざまの組み合わせで混ぜることにより、一部の組み合わせで赤血球が凝集することを発見しました。これがABO式血液型の発見のはじまりで す。表の負(-)のシンボルは赤血球の凝集が起こらなかったことを示しています。例えば、同一個人の細胞成分と液体成分を混ぜた場合です。しかしながら、 ある組み合わせでは、赤血球の凝集が認められ、表では正(+)のシンボルで示されています。これらの結果をもとに、ランドシュタイナーは人間を赤血球の凝 集パターンによりグループにわけることができることに気付きました。たとえば、Dr. St.とMr. Land.は第1のグループに、同様に、Dr. PleeとMr. Zar.は第2のグループに、そして、Dr. Sturl.とDr. Erdhは第3のグループに分類できることが分かります。次の年に、4番目のグループがランドシュタイナーの同僚である、Sturleとvon Decastelloにより発見され、それら4つのグループが現在のいわゆる4つの主要ABO血液型(A, B, AB, O)になりました。赤血球の凝集パターンに基づいて人間をグループに分類できるということは基礎科学的に非常に重要な発見です。しかし、もっと重要なのは ABO型が適合した血液の組み合わせ、つまり赤血球凝集を起こさない組み合わせで輸血をしなければならないという臨床科学的に重要な結論が導かれたことで す。赤血球の凝集現象を説明するためにランドシュタイナーは赤血球の表面に2つの抗原(A抗原とB抗原)、そして、それらに対する"自然に発生する抗体" (抗A抗体と抗B抗体)をそれらの抗原を発現しない人のプラズマ(血しょう)中に仮定しました(ランドシュタイナーの法則)。たとえば、血液型Aの人は赤 血球の表面にA抗原を発現し、プラズマ中に抗B抗体を有しています。血液型Bの人は赤血球の表面にB抗原を発現し、プラズマ中に抗A抗体を有しています。 血液型ABの人は赤血球の表面にAおよびB抗原を発現し、プラズマ中にはそれらに対する抗体はありません。最後に血液型Oの人は赤血球の表面上にはA抗原 もB抗原も発現しませんが、プラズマ中には抗A抗体と抗B抗体の両方を有しています。この仮定によって、異なったABO血液型の血液の細胞成分と液体成分 を混ぜることにより生じる赤血球の凝集反応をうまく説明できました。後にABO血液型が親から子へとある法則に従って遺伝をすることが示され、その遺伝形 式は、バーンスタインの1遺伝子座3対立遺伝子モデルにより説明されました。そのモデルで、彼は3つの対立遺伝子(A, B, O)を仮定し、AとB対立遺伝子はO対立遺伝子に対して共優性であるとしました。その結果、6つの遺伝子型(AA, AO, BB, BO, AB, OO)から4つの表現型(A, B, AB, O)が生じます。AやBおよびOの対立遺伝子の頻度は人種間で異なります。たとえば、人種間結婚が始まる前のアメリカインディアンではすべてO型だったと 推定されています。これらの理由によりABO血液型系は人類遺伝学や人類学の分野でも興味深い対象となっています。

JP04. AおよびB抗原

JP01. はじめに


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Landsteiner, K. (1900). Zur Kenntnis der antifermativen, lytischen und agglutinierenden Wirkungendes Blutserums und der Lymphe. Zentbl. Bakt. Parasitkde (Abt.) 27, 357-363.

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