2016

1位:吉武聖建築設計事務所「中庭で守る家」

講評(白井裕泰)

この住宅作品が掲げた「①伝統的な木造建築でありながら、現代生活に調和した室内外空間、②自然エネルギーを用いて室内環境を整え、省エネルギーを実現したパッシブデザイン、③地元林業の活性化を目指した地産木材の積極的な利用、④可能な限り手加工を用いることによる職人の伝統技術の継承」は、当フォーラムが目指している方向性に合致している。

外観を深い軒に白い大壁とした数寄屋風意匠、内観を白い真壁とした書院風意匠、内外が絶妙にバランスした現代数寄屋風書院のデザインとなっている。空間構成は、中庭を意識してL形とし、L形の両端にソリッドな寝室と中央部北側に納戸・サニタリーを配し、それらに囲まれてヴォイドなテラス付居間・食堂・台所・和室を配した、居間(LDK)中心型となっている。この住宅の魅力は、その中心にあるLDK+和室空間が中庭に対して開放的な空間を形成していることだといえよう。

周辺の自然環境および中庭と現代数寄屋風書院的住宅の構成は、桂離宮ほどのスケールはないが、それを想起させるほどの魅力があり、それゆえこの作品は「(かろ)住宅」である。

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白井裕泰,
2017/02/12 0:19
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