書評
2018-19年に読売新聞の読書委員を務めました。委員は2週間に一回、読売新聞社の大きな会議室に集まり、大机に並んだ本の山を手さぐりながら、議論のすえ選書していました。専門外の本はその分野の方に感想を聞いたり、小説の書評は小説家の先生に書き方を教えてもらったりと、濃密かつ楽しい時間を過ごしました。本を読みながらご飯を食べる楽しい空間でした。
書評を書くのは、他の原稿とは比べ物にならないほど大変です。他の仕事は失敗しても(まあ)自己責任ですが、書評は他人様の本(しかも傑作)が相手だからです。なので毎回必死の思いで書きましたし、神経を使いました。そのぶん書評した本が重版されたり賞を取ったりすると、大喜びしていました。たぶん著者と編集者の次くらいには喜んでいたと思います。
その後20-21年には朝日新聞の書評委員を拝命し、結局4年間、新聞の書評委員を務めました。私の人生のなかでも大きなウェイトを占める、まとまった量の書評を書きました。書評委員の制度がない日経新聞や雑誌で書いたものも合わせると、計100本以上書いています。
朝日新聞で書いた書評は「好書好日」でリスト化されています。その他を下記にリスト化しました。
読売新聞
『スノーデン 独白 消せない記録』 エドワード・スノーデン 著(河出書房新社)山形浩生 翻訳 2019年12月15日
『僕の人生には事件が起きない』 岩井勇気 著(新潮社)2019年12月1日
『リブラ 可能性、脅威、信任』 岡田仁志 著(日本経済新聞出版社)2019年11月24日
『人間』 又吉直樹 著(毎日新聞出版)2019年11月17日
『近世貨幣と経済発展』 岩橋勝 著(名古屋大学出版会)2019年11月3日
『行動経済学の使い方』 大竹文雄 著(岩波新書)2019年10月20日
『AI時代の労働の哲学』 稲葉振一郎 著(講談社選書メチエ)2019年10月6日
『幸福な監視国家・中国』 梶谷懐、高口康太 著(NHK出版新書)2019年9月29日
『チョンキンマンションのボスは知っている: アングラ経済の人類学』 小川さやか 著(春秋社)2019年9月15日
『日本史に学ぶマネーの論理』 飯田泰之 著(PHP研究所)2019年9月8日
『双極性障害』 加藤忠史 著(ちくま新書)2019年9月1日
『恐竜・古生物ビフォーアフター』 土屋健 著(イースト・プレス)&『消えた巨大生物』 エマニュエル・グルンドマン、ピエール=オリヴィエ・アントワーヌ 著(日経ナショナルジオグラフィック社)2019年8月18日
『孤独の意味も、女であることの味わいも』 三浦瑠麗 著(新潮社)2019年8月11日(夏休み特集 語り合いたくなる本)
『「家族の幸せ」の経済学』 山口慎太郎 著(光文社新書)2019年7月28日
『「いいね!」戦争 兵器化するソーシャルメディア』 P・W・シンガー、エマーソン・T・ブルッキング著(NHK出版)小林由香利 翻訳 2019年7月14日
『待機児童対策』 八田達夫 編著(日本評論社)2019年7月7日
『徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと』 ちきりん(ダイヤモンド社)2019年6月23日
『ルールメイキング』 齋藤貴弘(学芸出版社)2019年6月9日
『選択と誘導の認知科学』 山田歩(新曜社)2019年5月26日
『選挙制を疑う』 ダーヴィッド・ヴァン・レイブルック(法政大学出版局)岡﨑晴輝・D. ヴァンオーヴェルベーク 翻訳 2019年5月19日
『小説 第4次産業革命』 藤野直明・梶野真弘(日経BP社)2019年5月5日
『わたしもじだいのいちぶです 川崎桜本・ハルモニたちがつづった生活史』 康潤伊・鈴木宏子・丹野清人 編著(日本評論社)2019年4月28日
『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した』 ジェームズ・ブラッドワース(光文社)濱野大道 翻訳 2019年4月7日
『21世紀の戦争と平和』 三浦瑠麗(新潮社)2019年3月24日
『予測マシンの世紀』 アジェイ・アグラワル、ジョシュア・ガンズ、アヴィ・ゴールドファーブ、翻訳 小坂恵理(早川書房)2019年3月17日
『勝間式 超コントロール思考』 勝間和代(アチーブメント出版)2019年3月3日
『ニムロッド』 上田岳弘(講談社)2019年2月3日
『その先の道に消える』 中村文則(朝日新聞出版)2019年1月27日
『幸福の増税論』 井手英策(岩波書店)2019年1月20日
読書委員が選ぶ 「2018年の三冊」 2018年12月23日
『未来をはじめる』 宇野重規(東京大学出版会)2018年12月16日
『日銀日記』 岩田規久男(筑摩書房)2018年11月25日
『仕事にしばられない生き方』 ヤマザキマリ(小学館)2018年11月18日
『金融正常化へのジレンマ』 岩田一政、左三川郁子、日本経済研究センター編(日本経済新聞出版社)2018年11月4日
『宇沢弘文の数学』 小島寛之(青土社)2018年10月21日
『文系と理系はなぜ分かれたのか』 隠岐さや香(星海社)2018年10月7日
『新築がお好きですか?』 砂原庸介(ミネルヴァ書房)2018年9月23日
『地球MAPS 世界6大陸 発見の旅』 ナショナルジオグラフィック編(日本経済新聞出版社)2018年9月16日
『刑務所しか居場所がない人たち』 山本譲司(大月書店)2018年9月2日
『市場って何だろう』 松井彰彦(筑摩書房)2018年8月26日
『炎上とクチコミの経済学』 山口真一(朝日新聞出版)2018年7月29日
『MARCH1~3』 ジョン・ルイス、アンドリュー・アイディン(岩波書店) 押野素子 翻訳 2018年7月22日
『金持ち課税』 ケネス・シーヴ、デイヴィッド・スタサヴェージ(みすず書房)立木勝 翻訳 2018年7月15日
『ビットコインはチグリス川を漂う マネーテクノロジーの未来史』 デイヴィッド・バーチ(みすず書房)松本裕 翻訳 2018年6月24日
『「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明』 伊神満(日経BP社)2018年6月10日
『さよなら未来』 若林恵(岩波書店)2018年6月3日
『議会学』 向大野新治(吉田書店)2018年5月20日
『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』 津川友介(東洋経済新報社)2018年5月6日
『マーティン・ルーサー・キング 非暴力の闘士』 黒崎真(岩波書店)2018年4月29日
『パチンコ産業史 周縁経済から巨大市場へ』 韓載香(名古屋大学出版会)2018年4月8日
『欲望の民主主義 分断を越える哲学』 丸山俊一、NHK「欲望の民主主義」制作班(幻冬舎)2018年4月1日
『コンドルセと〈光〉の世紀 科学から政治へ』 永見瑞木(白水社)2018年3月18日
『ゲーム理論はアート』 松島斉(日本評論社)2018年2月25日
『裁判の原点』 大屋雄裕(河出書房新社)2018年2月18日
『ブランド戦略論』 田中洋(有斐閣)2018年2月4日
『天才の証明』 中田敦彦(日経BP社)2018年1月14日
日本経済新聞
『オンラインデートで学ぶ経済学』 ポール・オイヤー(NTT出版)安藤 至大 監修、土方奈美 翻訳 2016年9月25日
『Who Gets What(フー・ゲッツ・ホワット) ―マッチメイキングとマーケットデザインの新しい経済学』 アルビン・E・ロス(日本経済新聞出版社)櫻井祐子 翻訳 2016年5月15日
暗号資産に交錯する期待 Web3に備える3冊(今を読み解く 欄)
『因果推論の科学』ジューディア・パール、ダナ・マッケンジー 著(文藝春秋)2022年11月26日
朝日新聞(好書好日のコーナー)