1975(S50)小中美術展スタート

1979(S54) 造形「さがみ風っ子展」スタート

1985(S60)第7回展より、淵野辺公園での開催となる

1995(H7)   教育美術賞 受賞

                               「総合教育としての造形の広場づくり」

2002(H14)韓国・水原児童美術教育協会 風っ子会場視察

                               韓国・水原女子大学にて「風っ子展」紹介

2003(H15)第25回展より、女子美アートミュージアム(JAM)での展示開始

2020(R2)   新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、中止

2021 (R3)   新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、中止

2022(R4)   地域とともに行う協働開催を目指し、3年ぶりにリニューアル開催

       6会場で約25,000人来場

シンボルマーク

「風っ子展」という名前が気に入って、「風の中で元気にかけ回る子どもたち」を、風ぐるまと人間というイメージで描いてみました。

作者   竹澤敦子さん

教師の研修の場として、パネルディスカッションが開催された。

第25回展(2003年、平成15年)より、「女子美術大学アートミュージアム」での展示開始。

 「女子美術大学アートミュージアム」では、美術館という特別な空間を生かした展示が行われている。

第20回展(1998年、平成10年)では、「大凧保存会」により大凧「風っ子」が大空を舞った。

伝統文化の継承として、「新戸はやし保存会」によるお囃子が演奏された。

韓国「水原(スオン)児童美術教育協会より視察団が訪れ、国際的な文化交流が行われた。

合評会の様子

    イベントの場としてではなく、教職員の研鑽の場として位置づけ、造形教育の各方面の先生方をお招きし、素材や題材、教室での実践、造形への想いを語り合う合評会も、風っ子展の魅力のひとつ。


作品を見つめ

造形を問い

教室の子どもの姿を

考える

「風っ子展」に関わられた方からのメッセージ

後藤 楯比古  先生(元鎌倉市立中学校長)

川添 由紀  学芸員(元 光と緑の美術館学芸員


第26回 市制50周年  記念誌より

42回 開催にあたり

 社会に発信するアート  造形「さがみ風っ子展」 再稼働への思い

令和元年 第41回造形「さがみ風っ子展」は10月26日(土)から28日(月)を会期として相模原市立淵野辺公園を会場として、また女子美術大学アートミュージアム会場では屋内展が10月25(金)日から11月2日(土)までの会期で開催された。両会場とも多くの来場者で賑わい盛況のうちに閉会した。誰もが令和2年に第42回造形「さがみ風っ子展」が開催されることを楽しみにし、次年度への引継ぎも行われていくはずだった。

しかしその後急速に広がった新型コロナウイルスの流行で、令和2年度と令和3年度は造形「さがみ風っ子展」開催は凍結 という結論に至った。しかし、凍結されていた2年間にも、児童・生徒の作品に少しでも発表の場を設けようと、いくつもの学校で「校内風っ子展」と銘打っての展示活動や、ブログやHPでの作品発表が行われていた。これは本市では風っ子展を通して児童・生徒の作品が広く公開されることがすっかり定着していたこともあるが、何より児童・生徒一人一人が作品を発表することで達成感や自信を持ち自己肯定感を高めていく造形活動の意義を図工・美術科教員が大切にしていたからだろう。

その後新型コロナの流行は幾分収まりを見せてきたが、その対策に追われてきた相模原市の財政は厳しい状況にあった。しかし、「造形展は市にとっても大切な取り組みだ。なくしてはいけない。」という応援の声が数多く寄せられ、行政はもちろん、大学、PTAの方々、民間企業と、それこそ全市を上げてと言って良い程の応援と、ご協力を頂き 令和4年度 第42回造形「さがみ風っ子展」は開催されることになった。1979年国際児童年を機に第1回野外造形展として開催され、40年を超え日本国内でも有数の規模を誇ってきた野外造形展としての実績もさることながら、これまで、風っ子展に関わってきた図工・美術科の諸先輩方の本市の教育文化の創造・特色ある教育の実践とその成果の発表の場と位置づけて活動してきた意義や価値が広く認められていたからということだろう。

今回風っ子展が再開されることになったが、小学校では複数年に渡る“風っ子ブランク”により学校によっては風っ子展を担当したことのある教員が異動してしまい、今回初めて担当者になった方も多く、不安を口にされる方もいる。何事も一度中断されたことを再稼働させるには、大きなエネルギーが必要とされる。それでもなお、造形「さがみ風っ子展」の再稼働は実現されるべきことである。

各校の作品が一堂に集まり展示された会場の賑わいや、華やかさとは別に、指導者にとっては 題材は適切かどうか、指導の在り方はどうか、展示方法の工夫はどうか、など全てがさらけ出される、ある種逃げ場のない厳しい場でもある。しかしそれは同時に、校種を超えて互いの実践を持ち寄り発表し合い意見交換を行える貴重な場であり、図工・美術教員にとって何よりの研究と研修・研鑚の場でもある。

また市内の全公立小学校・中学校・義務教育校が参加し、作品出品も選抜制ではなく、出品学年全員の作品が展示される。つまり相模原市の児童・生徒は必ず風っ子展に出品している。このことは、9年間を見通した造形教育という視点を我々により強く意識させ、小・中各学校間の連携も自然な形で行いやすい土壌も醸成されている。実際今回の再開に向け、中学校区を基本として小・中学校間で連絡を取り合い展示のテーマや方向性を話し合う、あるいは題材、材料について勉強会を持とうという動きも出ている。

 

「パパこれ僕の作品だよ」「上手にできたね。実はね、パパも小学生の時お前と同じにここで飾って貰ったんだぞ。」そんな親子連れの会話をよく耳にする。私はそれこそ風っ子展が相模原市の文化として根付いていることを示し、市民の中に当然そこにあるものとして受け入れられた証の会話であると思っている。だれもが自由に見学・参加できる場所で開催され、全ての児童・生徒が等しく参加している風っ子展のあり方こそが、多くの市民に好意的に受け入れられ、困難な状況下でも支持され、厳しい状況下でも風っ子展再開への応援、協力が得られたのだろう。風っ子展の存在自体が発するムーブメントは造形教育の分野にとどまることなく、相模原の市民文化に彩を加えているとものと確信している。

相模原市には女子美術大学があり、近郊にも美術系大学がある。それらの大学から展示会場当日のボランティア協力を得てきた。将来的には会期当日だけのボランティア活動にとどまらず、事前から計画された大学生と児童・生徒のコラボ企画による授業や共同制作など若く活力ある造形活動が展開される、そんなことも考えられている。造形「さがみ風っ子展」を基軸として、相模原から新しい造形活動が生まれていけばこんなに嬉しいことはない。

コロナ禍は収まらず、社会情勢も不安定で不透明・・・こんな時代だからこそ、造形「さがみ風っ子展」 が、これからの相模原市の次世代を切り開く象徴として、子どもたち、そして教員たちの発想力と活力を発信する存在へと大きく発展して欲しいと願っている。


 相模原市立弥栄中学校 教諭 遠藤光明

屋外展示(淵野辺公園)

代替展示(地域施設)

校内代替展示

校内代替展示