リカバリーとは、回復の概念です。病気からの回復以上の意味がある、と言われています。その人の態度、価値、感情、ゴール、スキル、役割などの、ひとりひとり違った、変化のプロセスです。また、症状や機能障害に対処することと同時に、有意義な人生を切りひらくこと、価値ある感覚をもつことであり、自分のことを知り学ぶことで自分の可能性をひらいていく、というような意味が含まれています。(Anthony, 1993. Liberman,2008)
"You can build a new life full of value and purpose" Being in recovery means I know I have certain limitations and things I can't do. But rather than letting these limitations be an occasion for despair and giving up, I have learned that in knowing what I can't do, I also open up the possibilities of all I can do. (Deegan,1993)
精神保健看護学は、人と人との関係において、尊重し学び合うケアの人間関係の中で、より良い健康、病気の予防、回復=リカバリー、有意義な生活を支援するための実践の学問です。この研究室では、精神の障害からのリカバリーに関するすべてのことを課題としています。ひとつの新しいことの発見とその積み重ねとその工夫が、課題解決へと繋がっていきます。なんらかの研究スキルをもつ看護師によって、その周りにいる一人ひとりの看護師さんの実践は深く広くなり、よりよく社会に貢献する可能性に広がります。
私の研究の問い 優しい関係の中で今を共有することで「生きにくさ」は軽減していく 病院の中でもリカバリー支援は可能か(可能だと思っていたけどやっぱり難しいかも、でもあきらめない) 生活の中の楽しみを支援すること 自分というものに「安心していられる感覚」 ケアの対話スキルを用いた認知行動療法的アプローチ 自分らしく支援すること
キーワード 精神科訪問看護 包括型地域生活支援プログラム(ACT:Assertive Community Treatment) アウトリーチ リカバリー 認知行動療法 ピアサポート 自殺予防
研究テーマ 代表 30-50代女性の自殺要因解明とCBTを柱としたメンタルヘルス支援モデルの構築(令和5年~)
リカバリーを目的とした精神科訪問看護の現状と有効性の検討(令和2年~)
精神科病院の入院医療におけるリカバリーの回復の概念とリカバリー支援に関する研究(令和元年~)
早期退院を目指した精神科急性期病棟へのリカバリーパートナーシップモデルの適用(平成27年度~平成31年度)
精神疾患患者のパートナーシップ形成に基づく「リカバリー」モデルの構築(平成23年度~平成26年度)
精神障害をもつ人への地域医療・福祉のチームアプローチに関する家族ケア研究(平成21年度~平成22年度)
分担 リカバリー志向性を促進する一般病院精神科に勤務する看護師のためのプログラム開発(令和6年~)
活動報告
28/3/2024 「30‐50代女性のコロナ禍前と比較したライフスタイルの変化と、自殺に関連する要因の実態調査」を開始しました。調査の結果は統計的な処理を行いまして随時公開をいたします。(この調査はJSPS科研費23K10202「30‐50代女性の自殺要因解明とCBTを柱としたメンタルヘルス支援モデルの構築」の助成を受けたものです。)
8/9/2023 ピアサポーター米山晴巳さんによる元気回復行動プラン(Wellness Recovery Action Plan: WRAP)を体験しました。
WRAPを体験している様子(8/9/2023)
ゼミ生卒研テーマ 2023年度 看護学生の大学生活がセルフコントロールに及ぼす影響とレジリエンスの関連性の検討
精神科訪問看護師の他機関連携と多職種協働における困難・工夫・課題の現状
2022年度 精神障害を持つ人に対する就労支援の現状と課題に関する文献検討
大学生のハーディネスと地域要因との関連についての検討
看護学生のコミュニケーション能力向上を目的とした教育方法に関する文献レビュー
精神障害をもつ人と地域住民の社会的距離を低減させるための有効な介入方法についての文献検討
統合失調症をもつ人のアドヒアランス向上に向けた研究の文献レビュー
育児不安を持つ母親への支援に関する文献検討
研究室HPへの訪問ありがとうございます。この研究室は、精神看護学担当教員(准教授1名、助教1名)・卒業研究学部ゼミ生(2024年度4年生4名)・大学院生(2024年度M2,1名、M1,1名)で構成しています。どうぞよろしくお願いいたします。岡本亜紀