研究室の目的
本研究室は、人間を含めた多様な”動物”の行動戦略を探る研究室です。動物たちの振る舞いの戦略的側面の理解の中から、新たな行動の合理性を導き出し、私たちの社会や考え方にも示唆を与える知見を創出することを目的とします。
本研究室は、人間を含めた多様な”動物”の行動戦略を探る研究室です。動物たちの振る舞いの戦略的側面の理解の中から、新たな行動の合理性を導き出し、私たちの社会や考え方にも示唆を与える知見を創出することを目的とします。
研究室の特色
本研究室では実際の動物を用いた実証研究と、コンピュータシミュレーションなどを用いた理論研究を行っています。
本研究室の強みは、これら二つの研究領域をつなぐ独自の技術基盤を有していることです。これは、バーチャルリアリティやドローンを用いて、仮想の動物と現実の動物とが相互作用するサイバーフィジカルシステムのことであり、実際には起こり得ない理論上の行動や相互作用シナリオを擬似的に再現させる技術になります。この技術を用いることで、様々な仮定の中での現実の動物の立ち回りを調べたり、理論研究から導出された行動戦略が現実の動物に対して如何に有効かを検証したりすることが可能になります。
研究のアプローチ
フィールドワークや一般的な室内実験に加え、独自の仮想対面実験を行い、戦略の実態把握や理論検証を行います。研究室内ではトンボ、魚、カエルを主に扱っており、他大学でコウモリやハトを使わせてもらっています。興味深い行動を行う動物がいれば、積極的に研究の題材にします。
動物の行動の数理モデル化やシミュレーションを行うことで、現実の行動の特徴や優位性/脆弱性を推定すると共に、最適戦略やそれへの対抗戦略を検討します。特に、目標追跡や脅威回避に関するナビゲーションモデルや、目標を視野内に捉えるセンシングモデルを題材としています。
動物用の新規仮想現実技術を開発することで、行動戦略の実証/理論研究を支えます。主にモーションキャプチャとリアルタイムフィードバック処理によって相互作用を擬似的に成り立たせるものとなります。動物種特有の知覚、形態、運動の特徴にうまく対応させる必要があります。
研究内容ダイジェスト
研究室代表者の研究成果等一覧については Researchmap をご覧ください。
この他、自然科学研究機構第14回若手研究者賞を受賞した際の受賞記念講演の動画を掲載します(高校生向けの内容となります)。
進行中の主要研究プロジェクト
2025-2032 JST 創発的研究支援事業(代表)「動物用メタバースによる横断的行動学研究」
2025-2028 JSPS 科研費基盤研究B(代表)「捕食者と被食者のマルチタスク対処能力から探る生物集団形成の進化的要因」
2021-2026 JSPS 科研費学術変革A計画研究(分担)「階層ナビゲーションのための数理・学習ベース解析手法と介入方策決定技術 」
終了した主要研究プロジェクト(代表のみ抜粋)
2024-2024 学術変革領域(A)「階層的生物ナビ学」 国際活動支援班 海外派遣助成金 「ハトの行動学実験に向けたVR映像提示技術の開発」
2022-2025 JSPS 科研費,特別研究員奨励費「コウモリに対する猛禽類の追跡ナビゲーション戦術:ロボット技術を用いたアプローチ」
2022-2022 JSPS 新学術領域「生物移動情報学」国際活動支援班 海外派遣助成金「猛禽類の餌追跡ナビゲーション能力の野外検証」
2021-2025 JSPS 科研費若手研究「猛禽類の餌追跡ナビゲーションにおける戦術性の野外検証 」
2019-2022 JSPS 科研費特別研究員奨励費「捕食者の餌追跡運動における戦術性の解明」
2019-2021 JSPS 科研費新学術領域公募研究 「飛行型捕食動物の目標追跡ナビゲーションにおける戦術性の検証と最適な追跡航法の導出」
2019-2020 文部科学省 ナノテクノロジープラットフォーム(協力研究) 「無人航空機の誘導制御機構の開発」
2018-2021 JSPS 科研費若手研究「捕食者による Parallel Navigation 型獲物追跡運動の機能検証」
2016-2017 科学技術融合振興財団 調査研究補助金「小型魚類を対象とした、対捕食者相互作用シミュレータの開発」
2014-2015 日本科学協会 笹川科学研究助成金「ヘビに対するカエルの捕食回避戦略 -逃走と不動の最適な使い分けの分析- 」