ShireとのM&Aに反対する理由

第3版

要旨

血友病市場のゲームチェンジャーとなる二重特異抗体の新薬ヘムライブラがインヒビター非保有患者への効能拡大を6月5日に申請、FDAはこれを優先審査とし、10月4日には承認される見通しとなりました。

シャイアーにとっては年間30億㌦(3300億円)の売上減少となります。今回の改訂版ではシャイアーの企業収益は2019年から長期の減収傾向が始まる予想モデルとなりました。

血液製剤は石油製品と同じように「連産品」です。最も付加価値の高いガソリンの販売シェアが低い石油会社は重油の販売でも不利になります。原料コストを重油からも回収する必要があるからです。同じことが血液製剤にもあてはまります。高額な第8因子の売上がなくなると、23億㌦(2600億円)を売り上げるグロブリンの製造原価が大幅に増加します。

減損処理は血友病製品だけで1兆円、血液事業全体で2兆円に達する可能性があります。

改訂の理由

シャイアーの業績モデル:企業収益の2022年予想137憶㌦は、2017年実績144憶㌦から7億㌦(年率1%)の減少となる

  • Hemophilia(血友病)の売上高が5年間で30億㌦(3300億円)減少する見通しとなった。前回の予想では8億㌦(900億円)の減少しか見込んでいなかった。
  • ロシュ(中外製薬)の二重特異抗体ヘムライブラが想定を上回るスピードで追加効能を申請した。ロシュの計画通り、血友病治療薬の市場において「ゲームチェンジャー」になるのは確実と思われる情勢である(参考:日経バイオテクONLINE、6/4)。
  • パイプラインの評価は前回通りだが、5年後の既存製品との合計(企業収益)は137億㌦へ22億㌦下方修正となった。
  • 企業収益の2022年予想137憶㌦は、2017年実績144憶㌦から7億㌦(年率1%)の減少となる。

血友病市場:ヘムライブラは想定を上回るスピードで市場シェアを拡大する

  • 6月5日、ロシュは二重特異抗体Hemlibra(ヘムライブラ)のインヒビター非保有患者への効能拡大を申請した。FDAの優先審査となり、10月4日には承認される予定である。
  • ヘムライブラは想定を上回るスピードで市場シェアを拡大する見通しとなり、25%と予想していた5年後(2022年)の市場シェアを55%へと拡大した。
  • 2022年売上予想はHemlibra(ヘムライブラ)を24憶㌦から49億㌦へ25憶㌦拡大した。一方、シャイアーのAdvate(アドベイト)については22憶㌦の予想を6億㌦へ、Feiba(ファイバ)は7憶㌦から2憶㌦へと減額した。
武田薬品の損害(第3版).pdf
改訂記録.pdf