活動(水和)状態
乾眠(乾燥)状態
クマムシは体長1mm以下の水生無脊椎動物です。
名前に「ムシ」とついていますが、昆虫ではなく、緩歩動物門という独自の分類群を形成しています。
これまでに1300種あまりが記載されています。
クマムシは、南極・高山・深海など極限的な環境に生息している種もいますが、私たちの身近にも生息しています。
例えば、コケ表面に溜まった水膜や土壌の間隙水などです。
そのような場所に生息するクマムシは「乾眠」と呼ばれる特殊な乾燥耐性をもっています(左図)。
乾眠能力を持つクマムシは,周辺環境が乾燥するとそれに伴い脱水し、体内水分量数パーセント・代謝も測定限界以下にまで低下した乾眠状態に移行し、乾燥ストレスに耐えます。
乾眠状態のクマムシは生殖や代謝といった生命活動を示しませんが、死んでしまったわけではなく、吸水により生命活動を再開することができます。
乾眠状態のクマムシは乾燥だけではなく、放射線や真空といった様々な極限環境に耐性を示します。
このことから、乾眠能力をもつクマムシはそれらの極限的な環境ストレスからDNAやタンパク質などの生体高分子を保護する機構をもつと考えられます。
環境応答生理学研究室では、クマムシがもつ耐性機構の分子基盤を明らかにすることを目的として、研究を行っています。