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世界の二大ピアノメーカーと言えば、スタインウェイとベーゼンドルファー。1853年に創業 、新世界ニューヨークを舞台に登場したスタインウェイ&サンズと、歴史的音楽の都ウィーンのフォルテピアノの時代から伝統の中で培われた創業1828年のベーゼンドルファー。二つのピアノは音色の違い、タッチの違い、響き、鳴り方の違いが明瞭であるが、それらがただ単に製造過程、製造方法の違いという工業的な理由だけでなく、背景にはウィーンとニューヨーク・ハンブルグという都市の違い、歴史の違い、文化の違いが存在する。
ワンコイン市民コンサート特別企画は日本を代表する若手ピアニスト佐藤卓史さんをお迎えする。二台のピアノを同じ会場に設置して、作曲家たちが夢み、そして演奏家が描く音の世界とその歴史に思いを馳せる。身近に二つのピアノの音を聴くことができるように、会場はB-tech Japan大阪サロンです(定員30名 /セッション)。
佐藤卓史
1983年秋田市生まれ。2001年第70回日本音楽コンクール第1位。2004年、史上最年少で第30回日本ショパン協会賞を受賞。2006年東京藝術大学を首席で卒業。第55回ミュンヘンARD国際コンクール特別賞受賞。2007年第11回シューベルト国際コンクール第1位。2010年エリザベート王妃国際音楽コンクール入賞。2011年カントゥ国際コンクール第1位、メンデルスゾーン国際コンクール最高位受賞。ドイツ・ハノーファー音楽演劇大学ソロクラスを修了、ドイツ国家演奏家資格を取得。引き続きウィーン国立音楽大学で研鑽を積む。2012年第8回浜松国際コンクール第3位ならびに室内楽賞受賞。
内外のオーケストラにソリストとして多数客演の他、室内楽奏者としても高く評価されており、堀米ゆず子、佐藤俊介、神尾真由子をはじめとする多くの著名な演奏家と共演。レコーディング活動も積極的に行っており、日本と欧州で多数のアルバムを発表。
これまでに、ピアノを目黒久美子、上原興隆、小林仁、植田克己、アリエ・ヴァルディ、ローラント・ケラーの各氏に、フォルテピアノを小倉貴久子氏に師事。
2014年よりシューベルトのピアノ曲全曲演奏会「シューベルトツィクルス」を開始。実力派ピアニストとして注目を集めている。公式サイト http://www.takashi-sato.jp
プログラム
第一部
<同じ曲をスタインウェイとベーゼンドルファーで聴き比べる>
・J.S.バッハ:シンフォニア 第11番 ト短調
・ベートーヴェン:ソナタ 第8番 ハ短調 作品13「悲愴」より
・リスト:コンソレーション 第3番
・ドビュッシー:前奏曲集より
ほか
第二部
<スタインウェイとベーゼンドルファーの特色を引き出す>
・シューベルト:楽興の時 D780より(ベーゼンドルファーでの演奏)
・ショパン:スケルツォ 第2番 変ロ短調 作品31(スタインウェイでの演奏)
ほか
日時:10月28日(日)
-セッションA 午後1時 開演
-セッションB 午後3時30分 開演
会場:B-tech Japan 大阪サロン
-セッションA 定員30名
-セッションB 定員30名
入場料:3,000円
申込・お問合せ:通常のワンコイン市民コンサートの申込方法と同じです。→ お申込時にご希望のセッションをお知らせ下さい。先着順に締切ります。メールでのお申込み:Concertb1920@gmail.com
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B-tech Japan 大阪サロン
-アクセス
大阪市淀川区宮原2丁目14-4 MF 新大阪ビル1F
Tel: 06-6335-7778 Fax: 06-6335-7881
E-mail: osaka@b-techjapan.com
使用ピアノについて:二台のセミコンサートグランド
スタインウェイ& Sons モデルC
今を120年遡る、1898年に製造。言い伝えによるとドイツ・フライブルグの裕福な内科医が所有するBaden-Badenの城のサロンに、家系三代に渡って置かれていた。三代目の未亡人が城を去るときに売りに出された。その後、ほとんど使われる事なく、Baden-Badenの小さな美術館に展示されていた。
ピアノに付属するドイツの正式なピアノ鑑定書によれば、本体、響板、アクション、弦などすべてが1898年のオリジナルの状態。2009年に日本に運ばれ個人使用。2015年にアクションをスタインウェイ純正の最新のものに置き換えた。極めて状態が優れている特別なヴィンテージ・ピアノ。
Baden-Badenの城の近くには、ブラームスは毎夏滞在した小さな館がある。ブラームスハウスと呼ばれ現在もBaden-Badenに存在する。スタインウェイ& Sons モデルCが製造された1898年の前年にブラームスはこの世を去るが、Baden-Badenの町のどこかでブラームスと内科医がすれ違っていたかも知れない、と想像するのは楽しい。音をYoutubeで聴くことが出来ます。
ベーゼンドルファ モデル225
1978年製造。2014年にドイツの業者よりB-tech Japanが入手。シーズニングも含めて約半年かけ、全面的にオーバーホールを施し、弦の全交換、ダンパー、ハンマーを含むアクション全般のパーツを全てベーゼンドルファー純正部品に交換。修復された状態をウィーンベーゼンドルファーの技術マネージャーのフェルディナンド・ブロイ氏が「ウィーンナートーンを継承したとても良い楽器に修復されていると」と賞賛。
ベーゼンドルファーは1828年創業で、当初よりそのクオリティの高さは数々の逸話からも立証されている。1910年頃ウィンナーアクションという跳ね上げ式のアクションから突き上げ式(イギリス式)のアクションに変換。1930年代~1950年代にかけては戦争の影響もあり、極端に製造台数が少なく、この年代までのものは良い状態で目にすることは少ない。1960年代に入り、ウィーンは音楽の街として復活し、ベーゼンドルファーの工場も活気が戻ります。戦争で必ずしも楽器作りに集中できなかった職人たちが、再度良い楽器を作る為に愛情と熱意を込めたことが、この年代の楽器の細部から見てとれます。その流れのまま1970年代もまた、大変よい楽器が作りだされ、今回の楽器もその時期のもの。
楽器の諸事情により、ベーゼンドルファーは使用楽器が変更になる可能性があります。ご了解下さい。