ジオラマ行動力学は、細胞レベルの適応能力を力学モデルで書き下し、自然環境中での能力発揮を実問題解決に繋げようするもので、ジオラマ行動班、ジオラマ製作班、徹底力学化班、アルゴリズム評価班の4つの班で目的達成を目指している。一方、散乱透視学は、現実世界に遍く存在する光の散乱・揺らぎ現象を包括的に理解し、散乱・揺らぎ媒質そのもの、およびその向こうを透視することで、生命科学や天文学などの自然科学、情報通信工学などの工学の諸分野に革新をもたらすことを目標に、物理基礎班、数理基礎班、実問題班(生物・天文・通信)の3班体制で研究を進めている。一見すると、生物領域を含む異分野融合だけが共通項に見えるが、両領域の目的達成のためのアプローチやベクトルには共通項がある。①異分野の理論・技術を活用して、②様々なスケールで、③実験室内に留まらずリアル世界の問題(実問題)の解決に取り組み、本質的理解に挑む点が挙げられる。そこで、両領域の研究者が互いに議論する機会があれば相互刺激となり新しいケミストリーが生れる土壌がありそうである。
今回、両領域に属し、互いに面識のある生物系若手研究者がたまたま領域について紹介し合って、上記の共通するベクトルを感じ、何か面白い企画ができないかと議論した。その結果、それぞれの領域の特徴を紹介し合い、議論する機会があれば、更なる異分野融合と新しいケミストリーを生むかもしれないと考え、領域横断的な企画を提案することとなった。
基本的には両領域から数名が、研究内容を紹介しつつも、具体的な壁や問題を示し、それに対して「別の視点」からのコメントをもらうことで、これまでに「気づかなかった」ことに「気づく」ことで、新しい発想や共同研究に繋げる。そこから突破口が見えれば最高である。これを相互に行う事で両領域の研究にプラスにできればと考えている。
日程: 2023年3月22–23日
場所: 基礎生物学研究所明大寺地区 B1F バイトレミーティングルーム/オンライン(Zoomを予定)
共同主催: 学術変革領域研究(A)「ジオラマ行動力学」、学術変革領域研究(A)「散乱透視学」
対象: ジオラマ行動力学・散乱透視学の領域メンバー
問い合わせ: bi2meet[at]nibb.ac.jp *[at]を@に変換してご使用ください。
【WS代表】
西上幸範(北海道大学電子科学研究所・ジオラマ)
坂本丞(自然科学研究機構生命創成探究センター・散乱)
【WS世話人】
谷口篤史(北海道大学電子科学研究所・ジオラマ)
玉田洋介(宇都宮大学・散乱)
亀井保博(基礎生物学研究所・散乱)
【会場協力】
浅尾桃子(共同利用推進室)
市川千秋(バイオイメージング解析室)
3/22(水)
【領域紹介】
14:00~14:25 散乱透視学 的場修(神戸大学)
14:25~14:50 ジオラマ行動力学 中垣俊之(北海道大学)
14:50~15:00 休憩
【講演】
15:00~15:45 市村 垂生(大阪大学)「大視野3次元光学イメージング技術とその応用展開」
15:45~16:30 西上 幸範 (北海道大学)「原生生物の運動と行動」
16:30~16:45 休憩
16:45~17:30 粟辻 安浩(京都工芸繊維大学) 「高速透明物体ならびに光の伝播のスローモーション観察」
17:30~18:15 國田 樹 (琉球大学) 「粘菌変形体の管ネットワーク形成と管内流動との対応づけ計測の試みと課題」
18:15~19:00 討論
3/23(木)
9:00~ 9:45 渡邉 恵理子(電気通信大学)「散乱透視へ向けたホログラフィーを用いた新しい3Dイメージング」
9:45~10:30 菊地 謙次 (東北大学) 「ジオラマ環境における流れの可視化計測」~可視光から放射光を用いたライブイメージング~
10:30~10:45 休憩
10:45~11:30 柴 小菊 (筑波大学)「海産生物を用いた鞭毛繊毛運動マシナリーの解明」
11:30~12:15 湯川 博(量子生命・医学部門量子生命科学研究所/名古屋大学)
「ナノ量子センサーによる最先端イメージング診断・治療技術の開発と散乱透視学への応用」
12:15~13:00 昼食(現地)
13:00~14:00 総合討論
14:00 解散