熊本大学

入試対策アドバイス

大プレテスト 解答解説集より抜粋」

英語

1⃣は読解の総合問題形式で作問されています。ここ数年の「長文化」の傾向と合わせ、ほぼ全問が記述式です。設問は、下線部和訳をはじめ指示語の内容説明など、日本語で記述させるものが中心で、問い方も多岐にわたっています。解答には、ある程度の分量の解答をまとめる力が求めらます。根拠となる部分は必ずあるので、本文から正確に見つけ、丁寧に解答を作りましょう。対策としては、授業で読む英文や、過去問にしっかり当たって「解答のまとめ方」の練習を積むことが一番です。一方で基礎となる語彙や構文の理解も充実させておく必要があります。

2⃣は他にない独特な出題の問題だと言えます。素材の英文の内容理解を主に選択式の形でたずねるのがメインで、そこに英語で答えを求める設問や、語数を設定して指示に英語で答えさせる問題が混ざります。日本語でまとめさせる問題は一切ありません。対策としては1⃣の読解問題と根本は変わりません。授業で様々なトピックの多種多様な英文に触れて、日本語だけでなく英語で説明することにトライしてみよう。

3⃣の自由英作文は、昨年度は短い英文を読ませ、導入段落に続く形で自らの意見を80語以内で記述させるものでした。今年度については、英文の記事を読ませ導入段落に続く形で自らの意見を述べさせる点、字数制限の点では変化はありませんでしたが、問題のテーマに対する賛否を記さなければなりませんでした。テーマについては、前年同様、若者の視点から見た社会問題がテーマであり、対策として日常的に社会問題に意識を置き新聞等に目を通しておきましょう。

4⃣は例年同様、対話文の空所に与えられた文字から始まる単語を考えて記述する形式でした。設問数も例年通り20でした。日頃から、英文を読む際に前後関係を捉え、文構造を意識して読むようにしておきましょう。更に、文法や構文の学習も怠らないようにしましょう。また、単数形・複数形や時制の間違いなどのケアレスミスにも注意しましょう。

数学

理系数学

昨年度は数学Ⅲの分野から3題出題されていましたが、今年度は2年前までと同じく数Ⅲから2題の出題に戻りました。昨年度より形にはまった問題が増えましたが、思考力を問われる問題も見受けらます。微分法・積分法の出題率が高いですが、各分野から満遍なく出題される傾向があり、年度によって出題分野が変動するので、特定の分野に偏らず、全ての分野に精通しておきましょう。問題を解く上で留意してほしいことは、解けるか解けないかを判断するのではなく、じっくり丁寧に問題に取り組み、自分の数学の枠を少しずつ広げていくことの重要性を認識することです。初見の問題に立ち向かう経験を積むことから、思考力を問われる問題の解答に繋がっていきます。

医学部医学科の入試問題の難易度は、年度によって差があるものの、平均的に高く、高得点の争いではありません。やや発展的な問題の中で、完答すべき問題と後回しにすべき難問を見極める力が要求されます。演習の際に意識してほしいことは単に問題が解けて終わりではなく、最善の答案は何だったのかや、自分が考えてもいなかった解法にも強い関心を持つことです。その蓄積が、あらゆる角度から問題を分析できる数学的思考力の養成に繋がり、思考の回転力を高める要因になります。その上で、熊本大学を中心とした医学科入試の過去問に挑戦し、最後まで解ける問題を見極めて、合否を決める一問に強くなることが、目標達成の鍵となります。

文系数学

教科書に記載されている定義や定理の理解を中心として基本事項の確認をすることが重要です。難問にこだわることなく、徹底的に標準的な問題の演習に時間を割きましょう。答案の書き方に関しては、結論のみが正しくても結論に至る過程を軽視してはいけません。第三者が答案を見たときに納得する内容かどうか、客観的に考察しながら解答を作成する習慣を身につけましょう。

現代文

第1問では評論が出題されます。かつては本文が長いのが特徴でしたが、近年はそれほどでもなく、3500字程度となっています。設問は前年度から1題減って3題となり、抜き出し問題が出題されませんでした。第2問では文学的文章が出題されます。設問は前年度と同様、3題でしたが、そのうちの1問は本文中の空欄に入る語句を選ぶ問題でした。学習対策としては第一に読解力の向上を図る必要があります。本文をしっかり読むために語彙力を身につけ、その上で本文の構成や論理展開を把握し、論旨をとらえる訓練を日頃からしておく必要があります。また小説では、どのような意図をもってそのような表現がとられているのか、登場人物の心情と表現がどのように関わるのかを考える必要があります。

古文

熊本大学の古文は最近では、説話や物語文が出題されることが多いです。問題文の分量はまちまちで1100字以上の場合もあれば、500字未満の場合もあります。次に古文対策としてやっておかなければならないことをポイントごとにまとめておきます。

文法:動詞の活用を忘れないこと。助動詞の活用と意味に習熟しておくこと。敬語の種類と敬意の方向、訳し方を混同しないよう正確にさせておきましょう。

古語:単語レベルで意味を問われることはあまりなく、現代語訳の中できちんと適切な訳ができるよう、1つの単語の複数の意味をなるべく覚えておきましょう。

和歌:典型的な掛詞、枕詞、縁語は覚えておいた方が良いでしょう。また序詞については、百人一首などを例に練習しておきましょう。

問題文全体の内容把握:本文の内容を踏まえた説明問題は必ず出題されます。解答を作り上げるのに読解力はもちろんのこと、日本語として筋の通った文章を書ける作文力も大切です。

漢文

毎年、設問は4つですが、1つの問に小問が二つあることもあるので、設問数としては5~6題が目安となります。そのうち、書き下し文と現代語訳はほぼ必ず出題されます。書き下し文は他の大学と違って、「ひらがなで答えよ」という問題ではなく、単に「書き下し文に直せ」という指示が多いので歴史的仮名遣いで書くことや、どの文字を平仮名に直すのかという超基本的なことをいい加減にしないようにしましょう。現代語訳は例年1題で、設問の指示も至ってシンプルで「傍線部を現代語訳せよ」というものが多いです。しかし、その傍線部に重要句形が含まれていることが多いです。特に反語形、否定形、比較形、抑揚形、累加形などに留意しましょう。

物理

熊大物理は大問3題で構成され、毎年力学と電磁気は必ず出題されます。残り1題は熱力学か波動か原子物理のいずれかです。熊大は完全記述式問題なので、きちんと法則名、公式名を記述しないといけません。これから入試までは時間を計り答案を書く練習をしておきましょう。問題レベルは教科書の章末問題レベルからやや発展レベルなので、教科書、または標準的な問題集などを数多く解き、答案作成の仕方と物理的思考力を養うことが重要です。

化学

大問3題構成であり、化学結合・溶解度・酸化還元・反応速度・有機構造決定など理論・無機・有機の各分野から出題されます。論述の問題数も多く、どこまで書くべきかを問題文を読んで判断しなければなりません。計算問題は、2021年度は分量も多く煩雑でしたが、2020年度は計算問題がかなり少ないなど、年度によって大きな差があります。例年、記述問題が各大問で出題される傾向があり、文章で理論的に記述する練習が必要です。字数制限がないことが多いですが、押さえるべき用語や理論については必ず書く必要があります。また、実験を体験していないと答えにくい問題も多いため、操作や器具の使い方、注意点、誤差に関する事項なども押さえておく必要があります。また問題文中で新しい知識を与えて、それを元に考えなければならない問題も増加傾向です。全体として、論理的で化学的思考力を問うような出題形式が今後も続くと考えられます。教科書に書いてある実験例や日常生活と化学の関わりについて、理解を深めましょう。

生物

2021年度も例年と同じく大問3題で全範囲から偏りなく出題されています。今年度は空欄補充が増加しましたが、字数の多い記述問題も出題されているため、普段から論述対策を行っていきましょう。毎年、免疫などの体内環境と遺伝情報に関する問題が出題されているため、これらの分野はしっかりと対策を立ててください。また生物の教科書の最後の範囲である進化、系統分類まで出題されるので、教科書の最後まで気を抜かずに勉強しましょう。

小論文

熊本大学文学部の小論文の特徴は2つ挙げられます。1つ目の特徴は設問の指示がはっきりしているところです。明示された条件に従いながら、読解、発想、構成を行ってください。特に近年、課題文の内容を説明させるという設問条件が頻出しているので、普段から読解力、説明能力の向上を意識する必要があります。2つ目の特徴は「1000字以内」という字数条件が挙げられます。他大学の入試小論文と比べるとやや多いと言えます。この長さに対応するためには「展開力」が必要になります。すなわち、話を膨らませる能力です。そのためには複数化、具体化が有効な手段なので、複数の理由、根拠を挙げてみたりという思考の訓練も必要です。また言葉やコミュニケーションに関するテーマがしばしば出題されているので、ふだんからその方面の話題には目を光らせておきましょう。