広島大学

入試対策アドバイス

広大プレテスト 解答解説集より抜粋」

英語

〔Ⅰ〕

広大英語の長文要約問題は 2020 年度入試までは英文全体の要約をすることが求められる出題でした。一方、2021 年度入試の長文要約問題では 5 段落ある長文の各段落を30字以内の日本語で要約するというものに変更されました。

従来の問題では字数制限が少ない年で220~240 字、多い年で 270~290字の日本語が求められていました。

多岐に渡るトピックが長文要約の内容として扱われています。 そのため、日頃から幅広い分野について、貪欲に興味関心を持って英文に触れておくことが求められているといえるでしょう。

学習の対策としては、授業や模擬試験、資格検定試験などで触れるまとまった内容の英文に関して、日頃からパラグラフごとの要約と本文全体に関する要約を作成して、授業担当の先生に添削してもらう取り組みが有効だと思われます。どの長文が要約の演習に向いているか、自分で判断が難しい場合には、先生に相談すると良いでしょう。

また、今年度から設問内容が「パラグラフごとの30字以内の要約」に変更されましたが、これは今後も継続するかどうか不明のため、本文全体の要約の作成と並行してパラグラフごとの要約作成のトレーニングもしておくと良いでしょう。

〔Ⅱ〕

今年の本試の〔Ⅱ〕は、NatureやScienceなどの有名な自然科学系の学術誌からの引用で用いられている語彙など比較的難易度は高いと言えます。そして、同じテーマの2つの長文を読み、その中から必要な情報をスキャニングさせる内容でした。本試では日本語で説明させる問題は2題で解答を本文から抜き出させる問題が目立ちました。したがって、長文を読む際に単語一語一語にとらわれるのではなく、まずは概要把握を行いたいものです。これによって資料 1 と資料2それぞれの話の流れを確認した上で設問を読み、その設問に対応しそうな段落に見当をつけて読み込んでいきます。 設問の指示文を読むと長文の内容理解に関するヒントが盛り込まれているので、指示文を丁寧に読むことも大切です。

出題形式は同じテーマの2つの長文を「比べ読み」するというユニークなものになっていますが、「長文を読みこなす」という点において、ゴールは従来の長文読解問題と変わることはありません。専門用語や難解な語彙に臆することなく、各段落のトピックを読み取って、論理の展開を把握した上で精読していく練習を重ねてもらいたいと思います。

〔Ⅲ〕

昨年度は〔Ⅴ〕で〔A〕グラフの解釈と〔B〕意見論述をそれぞれ90語程度で記述させるものでした。今年度は〔Ⅲ〕で2つの対立意見を読んで、自分の意見を100語程度で記述させるというもの、〔Ⅳ〕でグラフの示す傾向とその分析を100語程度で記述させるというものに変化しました。今年度の〔Ⅲ〕におけるテーマは、「電動自転車の使用について」でした。日常生活において、触れたことがあるが改めて問われると書く内容について少し考えさせる点を考慮すると、昨年度のテーマである「ペットを飼うことのメリット」よりも自分の意見を決定しなければならない点で、受験生は書きにくかったのではないかと思われます。 また、2つの対立意見を読んで、自分の意見を述べる形式についてはそれぞれの意見や根拠を読み取り、それに対して自分の意見やその根拠・具体例を述べる訓練をすることが必要です。

〔Ⅳ〕

広大英語の〔Ⅳ〕のグラフ描写問題は2020年度入試までは〔Ⅴ〕〔A〕で出題されていました(ちなみに〔Ⅴ〕〔B〕が意見論述の自由英作文)。年ごとのトピックの変遷を見ると、今日のように多岐に渡る内容が出題されています。2020 年度までは90語。2021年は100語で書くことが求められています。18歳選挙が実施されるようになった年度の受験性に有権者投票資格の歴史的変遷の出題がされたり、訪日外国人によるインバウンド収入が増加しているという報道があれば、そのことを題材にした取材があったりするように、トピックとして時事問題が扱われることが多いと言えます。日頃のニュースにできるだけ注目する姿勢は大切でしょう。また、「和食の好みと食べる頻度」や、「犬と猫の飼育数」「SNSの投稿」のような日常生活に密接な話題も出題されています。このことから、自分にとって身近な事柄を英語で表現する力も問われていると言えるでしょう。

このことから学習対策として典型的なトピックに関して、限られた時間の中で自分の考えを構想して書くといったトレーニングが必要になるといえます。最初のうちは30分以内の制限時間内で書き上げるところから始めて、徐々に時間を短縮していくと良いでしょう。最終的には練習を重ねれば100語程度のグラフの描写であれば、15分以内で書くことができるようになることが目標です。 英作文に苦手意識を持つ受験生のみなさんは、解答例の英文の表現を自分で使いこなせるよう、まずは定型表現から成熟していくとよいでしょう。



文系数学

最近は120分で4大問の出題となっています。1つの大問は3から4の小問となることが多く、誘導形式が多いといえます。(誘導でないこともあるので注意してください)

頻出分野は確率(場合の数)、数列、微分法、積分法、図形と方程式、整数です。三角比(三角関数)、ベクトルは融合問題となっていることもあります。

大問数は4題ですが、融合問題が多いので苦手分野を作らないようにしておく必要もあるといえるでしょう。

理系数学

広島大学は、例年何題かは「…を示せ」というような出題をしています。基本的なことをきちんと記述できるようにしておくことが大切です。

小問の合計が2021年度は17~18個、2020年度は16個であり、1大問あたり3つから 4つの小問を設け、学力差を測るよう出題されています。

また、色々な分野との融合問題も多いので幅広い分野の学習が重要です。確率、微分法・積分法、(数学Ⅲ)は毎年出題されています。複素数平面、数列、三角関数、図形と方程式の分野も頻出です。年によっては計算や計算結果が複雑な場合もあるので、日ごろから、しっかりとした計算力を身につけられるように心がけて学習するようにしてください。ここ数年、医学部医学科以外はできるところをしっかりといておけば、合格をもらえるような出題が続いているため、できるところをきちんとやり遂げるようにしてほしいと思います。

国語

評論

広島大学で出題される評論の特徴、それは多様性と言えます。出題形式に関しては国公立大学二次試験では珍しい空欄補充問題や抜き出し問題、グループ分け問題などの出題がその最たるものであり、記述問題についても純粋に内容を説明する形式から条件を付して問う形式などもあります。本文についても哲学的なものから芸術、さらには医療倫理とこちらも多彩なジャンルの文章から出題されており、2021年度入試では本文に加え、2つの資料も付されました。これらを総括すれば良質かつ硬質な文章を読み、様々な問われ方に臨機応変に対応しながら解答できる、その応用力が問われていることになります。

従って受験生は記述問題の演習はもちろんのこと、様々なジャンルの文章問題や設問形式の演習を積み重ねることで応用力を高めていく必要があるといえるでしょう。まずは広島大学で出題された実際の問題を数多くこなすことが何よりも大切になるし、空欄補充や資料問題などに不安を覚える場合は、私立大学入試問題などの演習を試みても良いでしょう。

ただし、ただ演習を積み重ねるだけでは無意味なものになってしまうかもしれません。現代文の勉強で最も大事なことは解答に行き着くまでにどのような思考を働かせたか、つまり解くまでの過程にあります。それはどんな形式の問題でも変わりません。よって、時間内に解答を得る演習とともに自身がどのような思考過程で解答まで到達したのか、あるいはどの過程で誤りがあったのか、解答解説や先生による添削などを参考にしながら、その過程を見つめ直し、思考力を高めることがようでしょう。 応用力習得はその先にあります。

小説

評論文と同様、小説においてもその多様性が際立っています。設問の形式としては、記述問題を中心としながらも、年度によっては語句指定の記述問題や記号選択問題、抜き出し問題が問われたこともあります。さらに直近2年の入試では記述問題の大半が理由説明問題であることも大きな特徴と言えるでしょう。文章については、現代小説からの出題が比較的多いが、久米正雄「受験生の手記」などの近代小説からの出題もみられます。

ただし、問われている箇所は小説内における重要な心情の機微や細やかな変化に関係するものが多く、多様な形式の中でも小説において最も重要な心情の読み取りを問う点では一貫性があります。まさに王道をいく問題と言えるでしょう。

従って、受験生としては出題形式の多様さに惑わされることなく、基本を重視した小説読解、つまり「心情」「場面」「視点」の把握及び比喩などの「表現技法」に対する意識を常に持ちながら全体のあらすじを掴む、こうした練習がなによりも大切となります。

問題演習としては、やはり広島大学の過去問演習が基本となりますが、それと同時にお勧めしたいのが、過去のセンター試験問題の利用です。ただし、選択肢部分は見ずに全て記述問題として自分で回答を作成するという方法です。センター試験過去問の小説は前述した小説読解の基本をまんべんなく解くまさに良問であると言えるため、国公立二次試験対策にも大いに活用できます。さらに正解の選択肢の完成度も非常に高く、本文中の表現を自らの言葉で抽象化しながら解答することが求められます。小説記述において、大いに参考になるでしょう。

随筆

随筆の文章は分かりやすいのに問題はよく分からない、という声は多いです。読みやすく、分かるのにわからない。なぜでしょうか。それは分かると思っても言葉にできないからです。随筆は評論のように明確な論理構成に支えられているわけでも、小説のように独立した物語世界を作り出しているわけでもありません。評論や小説に比べると情報量も少ないです。一体、文章中のどの情報を使えば答えにつながるのか?それがはっきりとつかめないのです。もちろん、随筆だけに特別な読み方があるわけではなく、基本は評論や小説と変わりません。ただ、論理構成のあいまいさや感覚的な表現の多さ、情報量の少なさという特性を意識して、次の 3点に注意して読む練習を積んでほしいと思います。

第一にそれらしい気配のある情報は敏感に拾うこと。

第二に言葉や表現の意味だけではなく、五感を使ってイメージしてみること、想像力を働かせること。

第三に、文中の語句のままでは説明不足になることが多いので、できれば言葉を補い、わかりやすく言い換えて採点者に伝えること。

随筆は評論のように見えても評論とは違い、私小説のように見えても小説とは違います。何らかの思想が記されていたとしても、小さな物語が語られたとしても、それはほとんど制約のない筆者の「筆に随って」自由に記され、語られたものです。何より大切なことは、優れた随筆ほど様々な表現―言葉の選び方や使い方、運び方に筆者の個性が強く、現れているということなのです。そこには単なる意味や知識ではない。もっと血の通ったもの、筆者の人となりや、生きざま、ものの感じ方や考え方、いわばその人固有の世界との向き合い方のようなものが息づいています。その生きた言葉や表現への感度を少しずつ高めていくことができるなら、表面的な分かりやすさから一歩踏み込んだ読み方が必ずできるようになるでしょう。

最後に広島大学の随筆では、しばしば表現の工夫や効果について問われています。日頃の学習の中でレトリックに注意を払うことはもちろんですが、例えば「強調」という効果にしてもその働きを生む工夫は無数にあるのだと知っておきましょう。前述した注意の2点、五感を使ってイメージしてみること、想像を働かせること、その意識を持って様々な表現に接してみてほしいと思います。大切なことは単なる意味や知識ではありません。生きた言葉や表現への感度を少しずつでも高めていくことなのです。

古文

広島大学の古文については、以下のような特徴があります。

1.中世や近世の作品が多い。紀行文や日記、評論、物語などジャンルは多様である。

2.基本的な文法問題が毎年出題される。

助動詞・助詞を中心とした識別と正確な説明については練習を重ねておきましょう。文法は正確な訳出につながり、最終的には本文全体の理解に影響します。基本事項である入試本番では確実に得点したいものです。

3.現代語訳の出題が多い。

比較的短い箇所について複数問出題されます。正確な訳出を心がけてください。重要単語の暗記だけではなく、助詞や助動詞、敬語、副詞の呼応などに注意して、丁寧に訳出する練習を今後も継続してほしいと思います。

4.一定量の記述説明問題が複数問出題される。

理由説明や内容説明問題は設問の要求をきちんと読み取った上で回答しなくてはいけません。リード文や注を参照しながら、回答の範囲を判断し、内容を整理すると採点者によく伝わるわかりやすい答案となります。そのためにはまず逐語訳のレベルで構わないので、正確に訳出することが何よりも大切になります。「訳出」「説明」はいずれにせよ、アウトプットすることですので、必ず自力で行うようにしましょう。最初は悪戦苦闘することが多いかもしれませんが、こまめに辞書や文法書で確認しながら練習していくしか方法はないでしょう。結局は読めたようにしか書けないものと心してほしいと思います。逐語訳ができるようになったら、次は言葉を補ったりしながら、表現力を磨く練習をしてみましょう。表現力とは特別な文才を言うのではありません。 例えば、誰が、いつ、どこで、何を、どうするなどといったことを、順序よく過不足なくまとめる力のことであると考えます。国語の学習に限らず、全ての教科の学習、引いては日常生活においても求められる力です。 要点をあらかじめメモしながら書くようにするとよいでしょう。古文においても要約する練習は有効と思われます。最後に自分が書いた答案を先生に見てもらって、設問の意図を踏まえているか、わかりやすい表現になっているかなどを厳しく、添削助言してもらうと格段に答案作成能力が向上することに繋がると思います。焦っていたずらに問題数を数多くやるよりもこれまでに取り組んだ問題を丁寧に見直しながら、記述答案の作成方法を体得していく方が、結局は近道となることを信じて、入手本番まで残りの日々を過ごしてほしいと思います。

漢文

広島大学の漢文ジャンルは多様です。近年は日本漢文がよく出題されています。複数の素材による出題も多いです。漢字の読み、意味、現代語訳、書き下し文、訓点など漢文学習における基本的なものが毎年数多く、出題されています。

具体的な学習について以下に記載します。

1.品質の重要語については読み方、意味を確実にしておきましょう。

2.句形については書き下し文、現代語訳の練習を積まなくてはいけません。参考書や問題集の一覧表で整理されている句形を実際の教材の中で1つ1つ確認し、その用法に習熟していってほしいと思います。

「句形」は「語法」の理解が不可欠です。単純に暗記しただけでは役に立ちません。さらに古典文法にしたがっていることを忘れずに、古文の学習と関連させながら行ってほしいと思います。語法の知識は最も基本的な知識ではありますが、意外にこの基本が見逃されているのではないでしょうか。句形の数はそれほど多くはありませんので、1つ1つ語法を確認しながら訓読の練習を重ねていってもらいたいと思います。理解が済めばゴールは近くなってkます。

3.共通テストとは異なり、設問の多くが記述式であるということは「読み方」ひとつ取ってみても、正確な表現が求められているということです。なんとなくは通用しないといえます。そのためには表現する練習が不可欠です。身近で最も効果的な方法は声に出して「訓点つき文」を訓読することです。何度か訓読を繰り返しながら、頭の中では簡単な口語訳ができるようになると、さらに良いでしょう。「訓点つき文」の訓読みに慣れたら白文で訓読できるように、さらに練習を積んでいきましょう。

4.記述式の説明問題に対応するためには、設問の意図を読み取る力と現代語訳の力を確かなものにすること、そして要約力を高めることです。古文の学習と同様に、自分の理解が相手に伝わっているのか、添削などの指導を受けて練習を重ねていきましょう。短時間で効果が上がるというものではありませんが、粘り強く取り組んでいけば必ず道が開けるので、それを信じて進んでいってほしいと思います。みなさんの健闘を祈っております。

物理

具体的な学習方法

各自が使っている標準的な入試問題集を使用しながら満遍なく学習を続けていきましょう。その際解けなかった問題や解けたが時間がかかった問題などは解説を読むだけではなく、参考書や教科書を読み、その都度その単元のベースとなる考え方を復習するようにしましょう。「なぜそう解くのか?」といった解法の理解を演習の中で意識的に行うことが重要です。

広島大学の物理の入試問題は 60 分で大問3題を解答させる形式が続いています。各大問の小問の数は第1問が7問、第2問が14問、第3問が7問程度となっており、時間に対してやや多く設定されています。第2問が二つのテーマに分けられており、各テーマが7問程度の小問から構成されているため、実質60分で大問4題を解くと考えておいた方が良いです。標準的な問題が多いが、時間内に全ての問題を処理するのはかなり大変です。普段から時間を意識しながら問題演習をする必要があります。

実際の入試問題を解く際の留意点

実際の入試問題を解く際は、まずは問題をしっかり読み込むことが必要です。物理の入試問題は図があるため、問題文をあまり読まなくてもある程度問題の内容を把握することができてしまいます。しかし、問題文をざっくりとしか読まないことで問題文にしか書かれていない条件などを読み落とし、簡単な問題にも関わらず、解くのに時間がかかってしまい、その後の問題も焦って実力を発揮できないことがあります。早く問題に取りかかりたい気持ちはよく分かるが、まずはじっくり問題文を読むようにしましょう。

近年の入試動向の紹介や今後の対策

出題分野は主に力学、熱力学、波動、電磁気で、近年原子物理からの出題はありません。力学と電磁気は毎年出題されています。分野をまたいだ融合問題などの出題はなく、第1問第3問に各1分野、第2問に2分野割り振られる形式となっています。

回答の形式は答えだけを記述する問題だけではなく、導き方を記す問題も多いです。時間に対して問題数がやや多いため、普段から導き方を簡潔に書くように心がけておく必要があります。近年の入試では、力学の記述形式は続いていますが、残りの分野がどの形式の出題になるかは年度によって変わっています。そのため、記述への対策は全単元で行っておいた方が良いとも考えられます。

また、用語を問う問題も出題されているため、教科書にある用語は確認しながら学習していくように心がけましょう。

物理は実力どおりの点が取りやすい科目であると思います。真面目にコツコツ学習をしていくことで確実に点が取れるようになっていきます。焦らず一つずつ苦手な単元を克服していきましょう。

化学

 2021年度入試は例年と傾向が変わり、大問が4問構成から3問構成へと変化しました。大問1が無機化学・理論、大問2が無機化学・電離平衡、大問3が芳香族化合物の問題でした。休校になった高等学校もあり、現役生に配慮して高分子化合物は範囲から外れたと考えられます。ここ数年、各大問は単一分野ではなく、理論分野と無機分野、または理論分野と有機分野といった分野をまたいだ融合問題で出題されることが多くなっていることが特徴であるといえるでしょう。

出題の傾向としては論述問題が出題される傾向があり、文章で論理的に記述する対策が必要です。例年、字数制限があり、抑えるべき用語や理論については必ず書かなければいけません。制限字数以内で書く練習をしておく必要があります。答えが「~から」とか「~ため」などの理由を書かせる問題もよく出題されており、化学理論について理由を考えながら教科書を読む学習法が有効であると思います。また、教科書に載っていない内容や発展の内容も例年出題されており、その場で思考力が求められる問題は出題されると考えた方がよいと思います。思考力を鍛えるためには、良問を幅広く演習する必要があります。過去にはグラフを記入させる問題も出題されています。出題方法は多岐に渡っているため、できる限り多くの演習を積み重ねることが大事になります。

一方で、基本的な問題も出題されていますので、基本的な知識問題で確実に得点することを最初の目標にしてほしいと思います。例年は有機化合物と高分子化合物で全体の半分を占めているので、構造決定やアミノ酸の配列問題には力を入れておいてください。また、化学反応式を確実に書く事やそれらを活用した計算問題についても対策を怠らないようにしてほしいと思います。

最後に基本的な問題でも複数の分野単元を横断した融合問題が出題されていますので、それらに対応できるような理解力をつけておきましょう。そのためには、広大の過去問をさかのぼれる限り解くことをお勧めします。

生物

広島大学の個別試験は、基本的な知識問題から実験考察、論述と様々なパターンが毎年バランスよく出題されています。

知識問題

確実に正解できるよう、何度も教科書・資料集を読み返し、復習をすることが大事です。

実験考察

リード文を丁寧に読み、内容を理解するトレーニングが必要です。苦手意識を持っている人も多いと思うが、基本的な実験問題が多いので、焦らず、簡単な図を書いて理解するなど、自分なりの読解方法を確立させましょう。

論述問題

ここ数年は5~10題程度出題されていますが、1問当たり多くても80~100字程度と字数は少なめです。逆に大事なポイントをこぼさず記述にできるよう、何度も添削して練習しましょう。

これから多くの模試や過去問を解いていくことになるでしょう。結果に一喜一憂することもあると思いますが、結果よりも大事にしてほしいのは、模試や過去問を解いた後の復習です。受験が近づいてくると一度出会った問題にもう一度出会う機会は、なかなかないものです。出会った問題はきちんと復習しておきましょう。積み重ねてきたことは決して無駄になりません。自信を持って受験に挑んでもらいたいと思います。

小論文

広島大学前期日程では、総合科学部総合科学科文系において小論文が課されています。例年5~6つの資料文が提示され、その内容を踏まえて1200字以内で意見論述を求められるというものです。資料文はいずれも人文科学・社会科学系統の文で芸術論・文化人類学・史学の専門的な立場からだけでなく、小説や随筆から出題される場合もあります。資料文の著者も多岐にわたり、現代の当該学問分野のトップランナーから、古典、日本・外国問わず幅広く採用されています。総字数約13000字の資料文の内容を試験時間150分で読解し、論述テーマを決めて論述しなければならないので、極めて難度が高いと言えます。しかし、一日一日少しずつ手を動かして練習を始めなければ向上はしないものです。何をしたらよいかわからないという人は、広島大学で過去出題されたテーマについての基本的な概念やそれにまつわる書物(新書)について目を通してみることです。その際に自分が疑問に思ったことや共感できる箇所をメモしておきましょう。幅広く柔軟に知識を取り込む姿勢が大切です。自分が反応できるキーワードとテーマをできるだけ増やしておかくようにしましょう。

そして、過去問を解くにあたって、与えられたテーマを元にでも良いので、論述をしてみることです。ここは時間をかけて集中して行ってほしいと思います。自分の伝えたいことは想像よりもはるかに伝わらないものです。そして、採点者に自分の伝えたいことが伝わっているのかを確認しなければいけません。それをクリアにしてから第三者に読んでもらったり、添削してもらったりするとなお良いと思います。

前述の通り、広島大学の小論文は読解と要約とテーマ設定と意見論述を同時に行う難度の高いものです。考え方を変えれば、十分に練習を積んで作法をマスターすれば相対的に高得点が得られる可能性もあるということです。志望学部合格という目標に良い意味で執着して、日々一歩ずつ研鑽していってほしいと思います。