CanSatとは,Can(缶)+Satellite(人工衛星),つまり空き缶サイズの人工衛星です.この空き缶サイズの人工衛星は実際に宇宙に行くものではありませんが,実際の人工衛星と同じような機能を持っています.
今日キューブサットのような超小型人工衛星が大学で盛んに開発されており,学生でも実際に宇宙へ行く人工衛星を開発することが可能となっていますが,まだ学生が実際の人工衛星を開発することがなかった時代に,宇宙工学を学ぶ学生の教育用として開発が始まりました.
CanSatの競技会では,競技種目の1つとして,設定されたゴールへ自律制御により機体を移動させ,そのゴールまでの距離を競います.
機体のスタート地点は上空です.気球やドローンなど何らかの方法により,機体を上空へ運びます.本大会ではクレーンを使用します.クレーンの先にキャリアと呼ばれる箱を取り付け,箱の中にCanSatを収納します.
実際の人工衛星でも,宇宙に行くためにロケットに搭載されます.ロケット内部の空間には限りがあるため,太陽電池パドル等は折りたたみ収納されます.CanSatも同様にキャリア内部に収納するため,機体の一部は折りたたみ収納されます.
上空でキャリアの蓋を開き,CanSatが放出されます.ゴールに向かう方式として,「ランバック方式」と「フライバック方式」という2つの方法があります.
ランバック方式では,キャリアからの放出後は,パラシュートなどで減速させて着陸し,地上を走行してゴールに向かいます.月面等でのローバー型探査機を模擬した方法です.
フライバック方式はゴールまで地上に着陸せず,上空を飛行してゴールに向かう方法です.火星探査航空機などを模擬した方法です.
ランバック方式,フライバック方式のいずれもCanSatに搭載されたGPS等のセンサーを用いて自身の位置を把握し,同じく搭載されたコンピューターでどのように移動すれば良いか計算するという,自律制御によりゴールに向かいます.
外部から命令を送って制御することはできず,また競技後に制御されたことを示さなければなりません.