今日は3年2組の国語を見せていただきました。私の大好きな国語の授業、単元は「ちいちゃんのかげおくり」あまんきみこさんの文学作品です。いわゆる戦争を取り上げた文学の一つです。子どもたちにとっては時代背景などが感じ取りにくいところもありますが、今の自分を通してちいちゃんやその家族の思いをどう感じ取ってくれるのかを楽しみに見せてもらいました。
まず最初にクロームブックを使っての説明がありました。今、どの学級でもどの教科で、どんな使い方ができるのか?どの場面で、どう使うのが効果的なのか?を実践を通して研究しています。実は…今日の夕刻も各学年の取り組みを交流する研修を実施しました。3年2組ではみんなで意味が分かりにくいと出し合った言葉を先生が一覧に整理したものを、全員に送っておいて意味が分かりにくい言葉が出てきたときは参考にしてくださいとの説明がありました。その後、全員での1場面の一斉音読。写真からもわかるようにいい姿勢で読んでくれている子がたくさんいました。はっきりした音声は姿勢がもとになるのですね。
ここで今日の課題の提示です。「さて、皆さん、どうして最初にみんなで音読をしたのかわかりますか?」という質問から始まりました。普通なら…こんなことに気を付けて読みましょう。とか、こんなことを考えながら読みましょう。となるところを逆の発問です。こういう子どもが「おや?」っと感じる問いかけは大切です。そして、この次もよかったのですが、「実は皆さんのなかで依然、私は音読が苦手です。と書いてくれた人がいました。気持ちを考えながら読むのが難しいから…。」と、自分たちの学級の話題をきっかけに話が続きます。そこで、今日は「出征前」「記念写真」といった言葉をもとに気持ちを考えていくことで、この時間の終わりにどう自分の読み方が変わるのか感じっとってみましょう。という課題が示されました。そのご、机の上のクロームブックの位置と教科書、ノートの位置を確認しながら各自がノートに目当てを書いていきます。写真からは分かりにくいのですが、目当ての部分はしっかり定規を当てて赤線で囲んでいる子がたくさんいました。こういく基礎的なことが本当に大切です。
全員がきちんとノートにめあてを書くのを待って次の活動に入ります。「はかまいり」ってどんなイメージかなぁ?物語の冒頭のシーンはちいちゃんが家族でお墓参りに行くということでこの質問です。「あんまり行きたくない…」「かなしい」という意見がありました。ここは難しかったですね。大人はもう少し違いますよね。確かに子供にはそうかもしれません。でも、このお墓参りに込めたお父さんの気持ちをこれからの学びの中で感じ取っていってくれるのが今日の学びのポイントだとも言えます。そう思って聞いていると、「出征前になぜお墓参りに行ったのかな?」という質問が出されました。3分間でノートに…という指示の後、それでは足りないということで5分に延長されました。今日の大切な課題だからここはたっぷり時間をかけたいところです。
ここで出された意見は、「先祖に戦争に行くことを報告するため」「無事に帰ってこられるように、帰ってきてほしいという気持ちをこめて」「死んでしまったらもうここには来られないから」「お墓の場所をちいちゃんやお兄ちゃんに知っておいてほしかったから」などでした。なかなかいい意見です。ここで発表の前にクロームブックで友達の意見を写真で撮らせてもらっていいよとの指示があり、子どもたちは写真の撮り方を教えあいながら撮影しながらノートを読んでいきます。そんな時、先生からこんな注意がありました。「皆さんは写真を撮ることが目的になっていませんか?!」というもの。とても大切な注意です。活動の目的にもう一度戻すことで課題に帰るということです。これがないと学習としては成立しないですからね。ここで、では最後にもう一度、今日学習したことで感じ取った気持ちを込めて音読をしましょう…という予定でしたが、時間が足りなくなってしまったので、各自でノートに音読の時に工夫できそうなポイントを書いて終わることになりました。
キーワードとして子どもたちが取り上げていたのは「先祖に伝えたい」「いつまで戦が続くかわからない」「無事に帰ってほしい」「無事に帰りたい」といった言葉でした。そんな言葉を出し合いながら私が一番大切にしてほしいと思っていたキーワードが出されました。それは「願い」です。ちいちゃんにはまだ難しかったのですが、お父さんの言葉やお母さんの言葉には「願い」が感じ取れます。どんな願いなのでしょうか…そこはこれからの学習でまた深めていってくれるのではないかと思っています。最後に各自が書いたノートを提出してこの時間は終わりました。
3年2組の子どもたちを見ていて感じたことは、みんなが一人一人の違いを大切にしながらやさしく支えあっているということです。温かな言葉がたくさん聞こえてきました。安心して間違えられる、失敗できるそんな雰囲気を感じました。そして、一人一人が自分の学びに最後まで向き合っている姿が素晴らしかったです。最後の写真は休み時間が始まっても、自分の納得のいく考えを書くまで最後まで丁寧に、あきらめずやり切っている子供の姿です。こんな姿をどの学級でも育てたいものです。