朝夕はめっきり涼しくなりました。長袖を着てくる子どもたちも多くなってきました。
2年生はグーグルアースを使って町探検に向けて地図と実際の街の景色をつなぎ合わせていました。自分の知っている風景もこうして見ると違って見えるようです。
1年生は合同体育をしていました。体育参観に向けてしっかりと間隔を撮って並ぶ練習と縄跳びを使った準備運動をしていました。こういう風景がやっぱり学校には合うなぁと思いました。
太陽は魔法使いという3年生の図工作品です。太陽の光の当たり方で風景画変わっていく面白さをモネのスイレンを土台に学習し、制作したものです。私はこのあふれんばかりの色に命の輝きを感じました。そこに生きている生き物たちの姿も力強さと生命の輝きを感じます。
今日の5時間目は1年2組の道徳を参観しました。いつも元気いっぱいの担任の先生に子どもたちの目も気持ちも集中しています。今日はどんな学習をするのかなぁという子どもたちの思いが伝わってきます。最初に「みなさんは学校で誰かに注意をしたことはありますか?」と先生がたずねます。「マスクしようね。」「黒板に落書きしたらだめだよ。」「廊下を走ったらだめだよ。」「いやなことを言ったらだめだよ。」など、子どもたちの日々の中にある一コマが取り上げられていきます。道徳の学習ではこれが大切です。課題を自分事としてとらえるための大切なステップです。これをもとに今日の教材「やめなさいよ。」という話に入っていきました。最初は先生の範読(お手本となる読み)を聞きます。ここで先生から「はい、聞く姿勢!」とピシッとした声がかかります。そして、学級の合言葉「足 床 ペタン 背中 ピン」という言葉で聞く姿勢の完成です。姿勢ができているので話に集中できます。形から気持ちを作っていくということの大切さが感じられます。
お話を読み終わると先生が絵カードを黒板に貼りながらお話の流れを確認していきます。そして、今日の1つ目の課題に関係する文で立ち止まります。靴箱でほかのこの上靴を投げてしまった男の子。投げられた子は涙ぐんでいます。そこに居合わせた私は…。むねがどきどきしてきましたが…という表現の後、靴を投げた男の子に注意をしました。この時の私の気持ちを考えるのが今日の課題1です。黒板にはこれもいつも使っているものだと思われる「気持ちの表情カード」が貼られます。簡単なイラストで今の気持ちはこの中のどれかなぁと考えるためのものです。気持ちを表す言葉というのは難しいものです。逆に言うと「かなしい」「うれしい」などで片付けられてしまい思考が深まらないこともあります。でも、今日提示されたカードにはたくさんの表情があって、子どもたちの語彙にない気持ちもあらわすことができます。気持ちを考えるのが得意な子も、苦手な子もどちらにとっても大変有効な手立てです。ざっと子どもたちにこれと思うものに手を上げさせた後、「近くのお友達と相談してみましょう。」と声がかかります。ここも小さなステップが刻まれています。まず、自分で選ぶことで決める。次に選んだものについて自分の言葉で相手に伝える。子どもたちは上手に距離を取りながら、声の大きさも加減しながら相談していました。
一度お友達と話したので自分の言葉で言えるようになった子に、「教えてくれる人は立ってください。」と先生は指示します。ドキドキした。と答えた子には、どうして?と思考を深める追いの質問。それに対して「初めて注意したから…」。怖いなぁ。と答えた子には「どうしてそう思ったの?」とここでも追いの質問。「仕返しが…」「自分もされたらどうしよう…」「何かされそうで…」とこどおたちの答えはより具体的になり、思考が深まっていきます。このような先生と子どもたちの掛け合いが思考を深める、つまり学習を進める上で大切なのです。高学年になっていくと、子どもたち同士でこんな話し合いができるようになっていってほしいと思っています。ほかにも「本気をだした。」「がんばろう。」「嫌がっているんだから…」「自分もされたらいやでしょう。」など、お話の中での言葉ではなく、だんだん自分たちの生活につながる言葉が出てきました。そして、本文に戻ります。しんこきゅうをしてけんじくんをみて「・・・・・。」この話し言葉を考えるという第2の課題に入ります。ここでもワークシートに一工夫されています。私の顔があいていて自分で表情を書くようになっています。先生から「どんな顔か考えて、先に絵をかいてから言葉を考えてみましょう。」という指示。前の学習と同じですが、今度は自分でその流れに沿って取り組むようスモールステップで工夫されています。
まず、気持ちを前に貼られたカードをもとに考えて、その表情を選ぶのにもとにした気持ちを文で書いていきます。ここでも「鉛筆1本、消しゴム1個」と先生の声がかかります。余計なものを片付けることで集中してできます。ものが落ちたり、転がったりしないので集中が途切れません。ワークシートの送り方もしっかりできていました。先生は子どもたちが書いている間、「姿勢とは大丈夫」と何度も声掛けします。ほかにも「使う道具は?」「それいいねぇ。」「後でこれ聞かせてね。」「今、思いつかなくても、お友達のを聞いて考えてもいいよ。」と、一人一人に合わせた声掛けをしていきます。もう、先生と学級の関係がしっかりできているとわかる瞬間です。そして、発表です。挙手だけではなく、先生が意図をもって指名していきます。指名された子も、恥ずかしがらずに前に出てきて表情カードをさし示して発表していきます。ここでたくさんの意見が出されました。どの意見を聞いていても感じられたのは、注意をしている子のやさしい気持ちです。先生のねらいが確実に届いています。靴を投げてしまった子に理由を尋ねたり、この後どうしたらいいのかアドバイスしたり、相手のこの気持ちを代弁してあげたり、大人に伝えようとしたり…怒るのではなく、優しく伝える言葉があふれていました。
そして、最後の課題に入るのですが、ここでもう一度、子どもたちから出された意見をやこの時間みんなで考えたことを交えながらストーリーを再度、確認します。もう、教科書のお話ではなく、1年2組のお話になっています。そして、第3の課題「私はどんなことを考えながら帰ったのでしょうか?」です。ここでは今日3度目の学習方法(気持ちを表す表情を選んで決めてから、その時の気持ちを言葉にしていく)なので、どの子も自分で学習を進めていきます。発表では、先生の指名もあったのですが、「ぼく(わたし)も言いたいなぁ。」というつぶやきが自然と聞こえてきます。そこで先生は「教えてくれる人は立ってください。」と声を掛けます。先生と子どもたちの協同で成り立つ学習です。帰り道でも「どうして靴を投げたのかなぁ。何かあったのかなぁ。」と気に掛ける子、「注意ができた自分のことを誇らしく思っている」という子、靴を投げられて泣いていたこのことを気遣う子…などやはり優しさあふれる意見がたくさんありました。そして、最後に「先生のお話を聞いてほしいんだけども…」ということで、クラスや学年で実際にあったできごとを取り上げながらもう一度自分たちのくらしに目を向けさせていきます。してはいけないことをしてしまった…入ってはいけないところに入ってしまった…こんなことがあったね…と。こんな話を聞きながら、子どもたちは自分がいまその場に立ち会っているように感じています。そして、今日の学習とつなぎ合わせて、こんな時に自分なら…と考えています。まさにこれが道徳の学習です。答えは一つではありません。一人一人が自分で考えて、悩んで…実際にはできないかもしれないけれど…。今日はとっても素敵な子供たちのやさしさに触れられた1時間でした。