SSH物理

体感校外学習

物理分野の校外学習では東京・つくば方面を訪問します。

様々な施設でホンモノを見学し、研究者や企業の方々に現場のお話を聞くことができ、

物理の面白さや奥深さを体感するとともに、自分の将来像を描くきっかけになることを目的にしています。


スカパーJSAT株式会社

自社の衛星を保有し、得られるデータを活用し様々なプロジェクトを立ち上げているスカパーJSAT(株)を訪問しました。今回は事業内容の説明とともに放送施設・衛星アンテナを見学できました。特に、災害対応やスペースデブリの除去など実際の宇宙ビジネスのお話を聞くことができました。また、宇宙ビジネスに関わる会社はエンジニアだけでなく広報や経営など様々な分野の人々の力で成り立っていることがわかりました。

筑波宇宙センター

宇宙ドームでは 宇宙アドバイザー協会 三枝 博さん に解説していただきながら衛星などを見学しました。それぞれの衛星の目的だけでなく、衛星が「なぜその形をしているか」に着目しながらエンジニアとしての考え方を学ぶことができました。

物質・材料研究機構(NIMS)

NIMS では材料の素材開発・新しい性質の付与など様々な研究を行っていますが、今回は「はっ水」に関する研究を紹介してもらいました。表面張力とはっ水の考え方の講義から、はっ水加工を施された茶こしに水を貯める、演示実験を行ってもらいました。また、研究施設の見学として人工ダイヤモンドを生成する「超高圧発生装置」や、磁気や温度・光などに反応して性質を変化させる「スマートポリマー」の研究開発の現場を見学することができました。また、NIMS で研究されている三国丘の卒業生からもメッセージをいただきました。

国立科学博物館

ここでは興味関心のある展示を自由に見学して回りました。様々な動物のはく製・化石、昆虫の展示から過去の物理学の実験器具など非常に多くの展示を見学しできました。学校では物理や化学など、科目に分かれて授業を受けますが、実際の世の中は各科目で分け隔てるものでなく地理や数学なども含め、様々な分野が交錯しているものであると感じることができました。

高エネルギー加速器研究機構(KEK)

KEK では加速させた電子と陽電子を高速で衝突させたときの反応を調べる施設『BellⅡ』と、加速させた電子による放射光を利用した分析施設『フォトンファクトリー』を重点的に見学することができました。BellⅡはその設備の大きさだけでも圧倒されましたが、非常に小さい電子と陽電子を正面衝突させるための技術も興味深く感じることができました。フォトンファクトリーではリチウムイオン電池の構造解析に関するお話のほか、リボソームの構造解析、チョコレートやシャンプーの製品開発など、放射光が様々な分野で活用されていることを知ることができました。

宿泊地での講義

夕食後、講師をホテルにお招きし、腰を据えて宇宙に関する講義をしていただきました。毎回、多くの質問が出て活気ある講義となりました。

大学院生として JAXA で研究している卒業生に、研究内容を紹介してもらいました。熱制御と呼ばれる分野で普段の授業では学ばない内容でしたが、高校生にもわかるよう丁寧に説明してくれましたここで学んだ内容が、筑波宇宙センターで実際の衛星を見学した際に活かすことができました。

自身で物理法則を探る卒業生の姿に憧れをもち、自分の可能性を広げるきっかけになったようです。

JAXA OB の方からは、詳しい宇宙開発の現場について講義いただきました。講義では、基本的な物理の話から、衛星の軌道、スイングバイ航法などしっかり物理の考え方を扱った話題、人工衛星から得られる地球環境問題の話題、地球を隕石から守る「プラネタリーディフェンス」の話題、そして今最もホットな話題であるアルテミス計画・マーズワン計画に関する話題など多岐にわたる講義を行っていただきました。

【参加した高校生の感想】

実施後の感想を一部紹介します。

自分の将来の目標が見つかった人や、視野が広がったことでより進路の幅が広がった人、興味のあることが見つかったことで、前向きに頑張る決意をかためた人など、前向きになれた人がたくさんいました。

●今一番心を占めている思いは、絶対に宇宙を仕事にしたいという気持ちです。また、宇宙産業は JAXA で主に行っているというのは古く浅い考えで、民間企業や宇宙が専門ではない企業でも宇宙分野はどんどん発展しているんだと改めて気づかされました。宇宙をめざすことは夢ではなく明確な目標にしなければならないと心に刻んで、日々の勉強に励みたいです。

●今回の体験を通して、今まで宇宙開発は独立しているものだと思っていたが、実はいろんな産業との関りがあるということがわかりとても面白かった。宇宙のイメージがとても広がってどんなところからでも宇宙に関わることができるのだと思った。

●高校生が参加できるような宇宙関連のイベントがあれば積極的に参加していきたいと思う。(中略)身近な事象がなぜ起こるか疑問に思うことを大切にして自分の視野を広げるために様々なことにチャレンジしていきたいと思った。自分の進みたい進路のためにも一層勉強に励もうと思う。