【研究員コラム】 2022.10.24

航空貨物には何が乗っているの? 


 貨物と郵便は航空会社の重要な収入源です。ANAのように旅客機と貨物専用機を両方有している航空会社もあれば、日本貨物航空(NCA)のような貨物専業の航空会社もあります。JALのように旅客便だけを運航している会社の多くも貨物事業を運営しているのがほとんどです。

 それは、旅客便であっても航空機のベリー(Belly)と呼ばれるおなかの部分に旅客の手荷物だけでは埋まらないくらいのかなりのスペースがあるからです。ベリーは旅客手荷物の搭載作業のために空港発着時には必ずドアを開けて作業をするため、貨物の搭載をしたとしても追加の作業も追加費用もあまり発生しないからです。

 それでは航空貨物ではどのようなものが運ばれているのでしょうか。珍しいところではサラブレッドの馬、レーシングカーなどが挙げられます。また、世界中で開催される美術展のために貴重な美術品が輸送される際にも航空機が使われることが多いようです。一般的には航空貨物で輸送される貨物は高価値で小さなものが多いと言われており、電子機器の部品、半導体、医薬品、高級ファッション、貴金属などがそのカテゴリーに入りますが、我々の生活に密着した品々も航空貨物に搭載されることがあります。海外の海で獲れたマグロなどの魚介類、初夏の風物詩のサンフランシスコ発のアメリカンチェリー、秋になるとカナダで収穫された松茸、そして11月に入るとフランスから新酒ワインのボージョレヌボーなどが日本に向けて輸送されます。国内線にも地方で獲れた産物が大都市の市場に向けて航空機で輸送され、我々の食卓に上がります。皆さんの今晩の夕食の食材はどこから来たのか想像をめぐらすのも面白いかもしれません。


(江の島太郎)