濡れると透明になるガラス
雨が降ると街の風景はいつもより濃い色に変わる。
石やアスファルト、木や布が濡れると表情を変えるように、「乾くと白く濁るように曇り、濡れると透明になるガラス」というものがあったら、どんな風景や空間が生まれるかについて考えた。
世界的に見ても四季や天候の変化に富む日本だから生まれたガラスというのがあっても良いと思う。天候に呼応するガラスの提案である。
都市の中で、濡れると透明度の変わるガラスが使われる風景を考えると沢山の風景や空間が思いつく。
住宅から公共、店舗にいたるまで。それらはどこか隠れ家的で、インターネットの情報網でも拾い上げることのできない、ひと時だけの居場所をつくりだす。
情報化社会の時代に私たちが過ごしたい場所とは、皆が知っている居心地のいい場所も良いが、自分しか知らない居心地のいい場所を
天候の変化に合わせるように選択しながら過ごせることではないだろうか。
ガラスが透明な石として野性味を少し持った時、街もまた少し野性味のあるものに変わるだろう。