triangle chair
椅子の設計である。
世の中の椅子を見ていくと様々な部材に多種多様な曲面が用いられていて、建築の設計と比べて椅子の持つ親しみやすさというのは、これらの曲率のバランスによってできていることが印象的に感じられた。
そこで普段使用している建築設計の技術をベースにしながら建築では使うことの少ない3次曲面を自由に扱うために設計の方法自体を見直すことで建物の設計のように椅子の形を検討することにした。
プログラミングと3Dプリンターを使用することで、すべての曲率を把握しながら検討し、実寸モデルでは3Dデータを元に部材の削り出しを自動的に行い、効率化を図った。
施主である家具メーカーは創業から60年以上経つ老舗であったが、椅子の製作は初めてであり、スタンダードでありながら、挑戦的なものであってほしいというのが要望であった。
アームチェアのスタンダードな形状をベースに、削り出しで作成される際に材料の欠損量が最も多かった背もたれ部分にスリットを入れることで、欠損量と工程の短縮を図れる形状とした。
設計方法を見直したことでオーダーメイドとレディメイドの両者の特徴を踏まえることができるようになり、手仕事のように多様な曲線が用いられていながらも量産可能な椅子として設計することができた。
SEKAI時担当