主 題「虚数乗法論、志村多様体、保型表現、そして、保型形式」
日 時:2027年2月6日(土)9:40~2月7日(日)18:00
場 所:東北大学青葉山キャンパス 数学棟305講義室(H-31)
代 表: 山内 卓也 (東北大学) takuya.yamauchi.c3 (at) tohoku.ac.jp
2月6日(土)
9:40-9:45
オープニングの挨拶
『潜在的アーベルな幾何学的ガロア表現の有限性とその変種』
以前(2003年頃)「代数体の幾何学的ガロア表現の同型類は、次元とHodge-Tate型と惰性レヴェルを固定すると有限個しか無い」といふ定理を証明したが、その函数体類似についての幾つかの考察を紹介する。
『Gauss の超幾何方程式のSchwarz写像を用いたCM体の絶対類体の構成について』
古典数学の有名な成果に虚2次体の絶対類体が楕円曲線のモジュライに由来するモジュラー関数の特殊値で生成されることがあります。志村五郎氏の1967年の論文(Ann. of Math. (2) 85 (1967), 58–159)は、Abel 多様体の1-パラメータ変形族に由来する良いモジュラー関数が存在し、その特殊値でCM体の絶対類体が構成できることを示しています。一般に志村氏のモジュラー関数を具体的に構成することは容易ではありませんが、特別なAbel 多様体のクラスではGauss超幾何方程式のSchwarz写像の特殊値で実現されることがわかっています(2016年の志賀弘典氏と講演者の結果,J.NumberTheory165(2016), 408–430)。今回は、Gauss 超幾何方程式の基本事項を復習しながら、その概要を紹介します。
2月7日(日)
『2重正弦函数の代数的な単一値について』
2重sine函数の単一の特殊値が代数的になる例として, 山本修司による(史上初の)1例と, のちに小野寺一浩が与へた2例(内1例は予想)がある. 講演者は, 新谷による2重Gamma函数のStirling 型漸近展開(鵜飼伸也による code)を利用して, 手当たり次第に探索して11個の新たな例を見付けた(数値計算で数百桁一致してゐるが未証明). それを基にAIを使用して, 新たに23例(まだ多数桁の数値の一致のみ)を見付け, 同様の実例は合計37例(いづれも共役は数へない)となつた. これらについての, 統一的な仕組みがいくらか見えてきたので, 報告したい. 特に, これらの値(すべて単数とみえる)は単独で, 基礎の実2次体上に放射類体を生成することが多い様である. また, この様な例は無限に存在する様に思はれる.
『虚数乗法に基づく耐量子鍵共有法の進展』
虚2次整環のイデアル類群作用を用いたディフィ・ヘルマン型鍵共有は、これまで同種写像暗号の一種として研究が進んできた。Couveignes らにより導入されたCRS鍵共有は実用化に難点があったが、2018年、CastryckらによるCSIDH鍵共有はFp-上定義された超特異楕円曲線を用いることでCRS鍵共有の難点を一部克服した。その後、SCALLOP, PEGASIS, qtPegasisなどと発展して、さらに難点が克服されるとともに、最近、新たなアプローチのMIKE鍵共有が発表されて注目を集めている。本講演では、虚数乗法に基づく鍵共有法の進展を紹介するとともに、最近の我々の成果として、PEGASIS内で用いられるノルム方程式解法の改良とその暗号学的意義について紹介する。本研究は立教大学の安田雅哉氏、根岸崚氏との共同研究である。
『虚数乗法とサイクルについての予想』
以前に伊藤哲史氏、伊藤和広氏とK3曲面の虚数乗法付き持ち上げやTate予想・Hodge標準予想の応用について研究しました。これらはアーベル多様体の場合の話を参考としていましたが、OpenAIの発表によりアーベル多様体については大きな進展がありました。(すでにvanHoften-SamplinerやMadapusiによるexposition (Sampliner曰くMathematical Eisegesis)があります)一方、K3曲面に関連する結果は取り下げられました。これらについて理解した範囲でお話ししたいと思います。
『l進局所系の特殊点について(AnnaCadoret氏との共同研究)』
この講演では、l進局所系(=エタール基本群のl進表現)に関するAnnaCadoret氏との15年以上にわたるさまざまな共同研究の中から、特に2つの研究の流れについて、本研究集会のテーマに寄せる形でご紹介させていただければと思います。虚数乗法論や志村多様体論は全くの門外漢ですので、寄せる過程で嘘が含まれるリスクを冒しながら、ということになりますが...。 有理数体上の楕円モジュラー曲線のCM点(=特殊点)は、次数の上界を与えると有限個しかありません。これは、虚数乗法論により、類数の上界を与えた虚二次体の有限性(Gaussの予想=Heilbronnの定理)と同値です。より一般に、総実代数体上の四元数環に付随する古典的な志村曲線についても、CM点(=特殊点)は、次数の上界を与えると有限個しかありません。これは、Starkの予想(Gaussの予想のCM体への一般化)に関するStarkの定理から従います。ご紹介する第1の共同研究は、l進局所系の観点からこれらの結果の一般化・強化とその証明を与えるものです。証明はMordell-Lang予想(Faltingsの定理)を重要な材料として用います。したがって、特にHeilbronnの定理やStarkの定理のディオファントス幾何による別証明を与えているとみなすこともできます。 志村データ(G,X)に付随する志村多様体の特殊点は、Gの(一般には極大トーラスとは限らない)トーラスを定めます。今かりに、対応するトーラスが自明になるような特殊点が1つでもあると仮定すると、対応する志村多様体は0次元でなければならない(したがって、全ての特殊点で対応するトーラスが自明である)ことが、志村データの公理から導けます。ご紹介する第2の共同研究は、l進局所系の観点からこの結果の一般化を予想として定式化し、いくつかの重要な場合(例えば、当該l進局所系がQ有理Q整合系の一部となる場合)に証明を与えるものです。証明は多様体上のp進ホッジ理論や正標数Langlands対応についての最近の著しい進展を重要な材料として用います。
『G_2』
I am going to give a review and overview of the local Langlands correspondence and endoscopic classification for the exceptional group of type G_2, following Gan-Savin, Aubert-Xu, Takanashi, and others. This will include a report on an ongoing project with Wee Teck Gan and Yugo Takanashi on the global endoscopic classification.
本研究集会は、以下の科研費による支援を受けております:
挑戦研究(萌芽):高対称モチーフから導かれる剰余ガロア表現とその保型性の探求(領域番号26K22241)
代表者:山内卓也
若手研究:退化ホイッタッカー関数と保型L 関数への応用(領域番号23K12965)
代表者:堀永周司
JST 創発的研究支援 (JPMJFR2235)
代表者:永野 中行
update:2026.10.01