【設立6周年記念ウェビナーレポート】
NTTドコモの広告戦略
トリプルメディア活用の効果とOOHへの期待
NTTドコモの広告戦略
トリプルメディア活用の効果とOOHへの期待
NTTドコモが考える広告主としての広告戦略、なかでもトリプルメディア活用の効果とOOHに対する期待について伺いました。その内容をレポートします。
▼登壇者
株式会社NTTドコモ 代表取締役副社長 コンシューマサービスカンパニー長
齋藤 武 氏
▼アジェンダ
NTTドコモが事業運営で大切にしていることは。”顧客起点”の事業運営である。ドコモのマーケティングは、最高の”FUN”を創り、最適なタイミングで最適な”FUN”を伝え、その結果ドコモの”FAN”が増えたり、ロイヤリティが深まったりする流れを構築することを目指している。そのためには、顧客に最適なタイミングで最適なオファーを届ける、最高のCXを徹底的に磨き上げ、体験価値を向上させることが重要だ。
最適なタイミングで最適なオファーを届けるために、広告で必要なことは3つある。
広告価値がわかる
どれだけの、どういったセグメントのターゲットに届くのか、また価格はその価値に見合っているのかがわかることが重要である。
必要な広告枠を自由に買える
クライアント側の出稿の目標を達成するための広告枠をフレキシブルに購入できることが求められている。
広告効果がわかる
出した広告がどれだけの人にリーチし、刺さり、好意的に受け入れられ、それが購買に繋がったのかを計測できることが必要だ。現時点ではテレビやウェブ広告などはこうした指標が整備されている。一方でOOH広告はインパクトはあるが、こうした指標を用いて効果を正確に図ることが難しかった。それは長年OOH広告が抱えている問題であった。
OOHのメジャメントを規定するという分野は、海外が日本よりも進んでいる。イギリスではRoute、アメリカではGeopathといった非営利団体を中心に、OOHの取引を促進するために業界共通指標が導入されている。
グローバルな流れの中で、日本のDOOH市場は大きく伸長している。2021年に582億円だった市場は、2025年にはおよそ倍の1,075億円になると予想されている。加えてプログラマティックDOOH(pDOOH)により、時間と場所、ターゲットなどを指定した顧客起点でOOHを購入することができるようになった。アナログに比べて広告表現の幅が広がったのはもちろん、データドリブンで広告出稿が可能になった。効果測定が可能になったことでPDCAを高速で回すことができ、通常のデジタル広告と同等の価値を可視化できている。
またこの分野においてLIVE BOARDは先駆者である。加えて、競合他社が続々と参入しており、今後も成長が見込まれる市場である。
LIVE BOARDの取り組みを中心に、最適なタイミングで最適なオファーを届けるために必要である「視認者数の算出(広告価値がわかる)」、「ワンストップ購入(必要な枠が買える)」、「ログベースでの調査も可能(効果を確認できる)」の3つが実現できるようになった。
ドコモでは「ドコモポイ活プラン」の広告出稿において、様々なメディアを用いて広告価値を最大化すべくトリプルメディア(テレビ・WEB・OOH)での広告を展開した。その結果、テレビだけ、ウェブだけ接触したターゲットよりも、OOHにも接触したターゲットのほうが認知・興味・利用意向である態度変容が向上することがわかった。自分自身もかなり差分があると実感している。OOHはパッと視界に入り、認知を高める役割が主だと想像することが多い。一方で認知に加え、購買や契約などその先の行動に結びつくきっかけになる可能性があると、今回の出稿で確認できた。様々なメディアを活用する統合プランニングを行うことで提案の価値を高められることから、トリプルメディアでの出稿をお勧めしたい。
テレビ・デジタルなどは早くからメジャメントが確立されていたため、広告主は広告効果測定を行いながら出稿を拡大し、業界が伸びていった。それと同じように、OOHも効果が可視化されるフェーズになっており、業界として早期に多くの人がメジャメントを使用できる環境を整えることで、広告主が自信を持って広告出稿ができるようにしてほしい。それが実現できれば、広告主や広告代理店もOOHにさらなる予算配分を行うことができる。
またトリプルメディアでの広告展開が当然になる広告業界にしていきたい。広告会社はかねてから統合マーケティングを提唱している。これを全員が使いこなせるような環境にしていきたい。さらに購入や契約を後押しするきっかけになるようなリテールメディアとしてのプランニングも期待したい。広告主は最終的にどれだけ購入や契約に結びついたかを追い求めている。それが可視化されれば、マーケティングの最適化がされ、広告予算も増えていくだろう。
ドコモは、ドコモのIDでマーケティングを可視化し最適化する「シングルIDフルファネル」という考え方に立っている。ドコモのIDは顧客の属性に加え、趣味嗜好やライフスタイル、行動様式などを盛り込んだ極めて信頼度の高いIDである。これを一気通貫のPDCAで回していくことで、顧客のライフタイムバリューを最大化できる。OOHはそこに貢献できる媒体であってほしい。
LIVE BOARDは日本のOOHにメジャメントの概念を持ちこみ、DOOHを拡大するマーケットリーダーである。引き続き業界・団体の先頭に立ち、事業を推し進めてもらいたい。
DOOH業界はさらに広がる可能性を秘めている業界である。ドコモもこの分野にコミットし、業界を盛り上げていきたい。
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