広大理論研での研究と教育

旧広島大学理論物理学研究所は、宇宙物理学、重力理論、場の量子論、素粒子論の研究に特化した、一大学の附置研究所としては独自の歴史と特色を持った理論物理学の研究所だった。1990年に京都大学基礎物理学研究所と合併する形で姿を消したが、それまでに多くの研究者が集い、非常に多くの研究者が育った。当時を知る研究者が健在なうちに、広大理論研での研究と教育の姿を振り返ってみることは、日本の基礎物理学の今後の研究と教育を考えるうえで有意義と思われる。こうしたことから、両研究所合併35周年にあたる今年、理論研の歴史や当時を知る方々の講演を中心とした研究会を開催し議論を行いたい。

発表者（敬称略）：

石原秀樹（大阪公立大学名誉教授）1980年後半の理論研とそこで育った者として

遠藤龍介（元山形大学）energy-momentum tensorのfunctional curlと重力異常項

小長谷大介（龍谷大学）三村先生とその業績、広大理論研の勃興期の話

佐々木節（東京大学）理論研が牽引した「相対論と宇宙論」

須藤靖（東京大学名誉教授）理論研および基研宇治での研究生活

南部保貞（名古屋大学）理論研での教育と研究

早川尚男（京都大学）RIFPからYITPへ：広大理論研と京大基研の合併とその後

藤川和男（理化学研究所）Majorana fermion from chiral fermions

前田恵一（早稲田大学名誉教授）階層的三体系のダイナミクスと重力波

松原隆彦（高エネルギー加速器研究機構）理論研最後の大学院生が歩んだ研究者の道

南方久和（東京都立大学名誉教授）院生からみた理論研

山本一博（九州大学）巨人の肩に立って望む幸運 ー 重力と量子のクロスオーバーを目指して

米谷民明（東京大学名誉教授）Wave Geometryから何を学ぶべきか

世話人：

早川尚男（京都大学基礎物理学研究所）、佐々木節（東京大学 Kavli IPMU）、早田次郎（神戸大学大学院理学研究科）、樽家篤史（京都大学基礎物理学研究所）、鈴木博（九州大学大学院理学研究院）