バイオナノマテリアルシンポジウム2025
ーアカデミアからの発信ー
/第559回生存圏シンポジウム
ーアカデミアからの発信ー
/第559回生存圏シンポジウム
持続的に生産可能なバイオマス資源、バイオマテリアルは、自動車産業、家電産業、化学産業を始めとする様々な分野から高い関心が集まっています。
樹木やタケの細胞、カニやエビの外殻、カイコが紡ぐ蚕糸は、人類の知恵をはるかに越えて作り出されている精緻なナノ構造とそれに由来する機能を有していますが、そのことは限られたコミュニティで知られているだけです。ナノ構造を有するバイオ素材、バイオナノマテリアルの最前線で活躍している大学や公的研究機関の研究者の活動が産業界や異なる材料分野において広く知られているとはいえません。バイオナノマテリアルに関する研究が、今、どのような方向に向かい、展開しているのか、昨年に引き続き、時代を先導する研究グループや研究者が最もホットな話題を発表する機会を作りました。是非ともご参加いただき、最近の情報を共有いただき、一緒になってバイオマス資源の先進的利用に取り組んでいただければ幸いです。
主催:京都大学バイオナノマテリアル共同研究拠点(経済産業省Jイノベ拠点)
https://www.rish.kyoto-u.ac.jp/bionanomat/
共催:近畿経済産業局、地方独立行政法人京都市産業技術研究所、
環境省ナノセルロースプロモーション事業、セルロース学会関西支部
日時:令和7年11月27日(木)14:00-17:00
場所:京都大学生存圏研究所木質ホール3階およびオンライン配信(Zoom)
https://www.rish.kyoto-u.ac.jp/access/
申込方法:下記リンクにアクセスして必要事項をご入力のうえ、送信ボタンを押してください。申込み受付済みのE-mailが送付されますのでご確認ください。その後、視聴に必要なURLとパスワードをE-mailにて会期前日までにお送りいたします。申込期限:11月20日(木)
定員:500名(会場参加50名まで。申込先着順)
※現地参加は満員御礼のため受付を締め切りました。オンライン参加のみ承っております。
参加費:無料
講演要旨:要旨集は下記URLにて公開予定です。
https://www.rish.kyoto-u.ac.jp/bionanomat/research/
プログラム
開会あいさつと趣旨説明
京都大学 生存圏研究所・伊福 伸介
14:00 - 14:20
1.ナノセルロースの骨格強度を活かした疎密構造制御とその応用
大阪大学 産業科学研究所・春日 貴章 (Takaaki KASUGA)
木材由来の微細繊維であるセルロースナノファイバー(CNF)はその優れた物性から様々な用途が模索されている。本発表ではCNF多孔体の光学特性に焦点を当て、その製法と性能、応用について報告する。
14:20 - 14:40
2.セルロースナノファイバー強化バイオプラスチックの特性
京都市産業技術研究所 材料・素材技術グループ・野口 広貴 (Hiroki NOGUCHI)
本講演では、循環型社会実現に向け適用拡大が期待されるバイオプラスチックの性能向上を目的に、セルロースナノファイバーを複合したバイオマスポリエチレン及び生分解性プラスチックの補強効果と環境性能について紹介する。
14:40 - 15:00
3.木材から創る天然のセルロースナノシート
京都大学 化学研究所・今井 牧子 (Makiko MAI)
酸触媒を用いた温和な1段階の反応で木質バイオマス中のリグニンを選択的に酸化分解することにより、セルロースを主成分とする繊維を得た。またそれは容易に微細化(ミクロ化及びナノ化)可能で、木材細胞壁のセルロースの配向を維持した厚さ概ね20–90 nmの新規なシート状ナノ構造体が得られた。
15:00 - 15:20
4.液体界面における疎水化セルロースナノファイバーの集合挙動
京都大学 化学研究所・石田 紘一朗(Koichiro ISHIDA)
アルキル鎖長及び置換度を変えることによって疎水化度の異なるセルロースナノファイバー(CNF)を合成した。さらに、液体界面における繊維の集合挙動を表面圧-面積等温線、表面レオロジー、原子間力顕微鏡観察によって評価した。
休憩
15:35 - 15:55
5.キノコから広がる新素材:持続可能な社会を拓くマイコマテリアル
信州大学 工学部・田川 聡美 (Satomi TAGAWA)
キノコは食材にとどまらず、菌糸を利用した持続可能な材料「マイコマテリアル」として注目されている。私たちは未利用のキノコ資源活用の試みとして新素材「キノコパルプ」を開発している。本講演ではマイコマテリアルの最新動向とともにキノコパルプの研究を紹介する。
15:55- 16:15
6.光/酸触媒による桂皮酸誘導体の二量化と高分子材料への展開
東京大学大学院 農学生命科学研究科・野田 拓海(Takumi NODA)
桂皮酸誘導体はリグニンなどの生物資源より得られる芳香族分子であり、反応性に富む二重結合を有する。本発表では、二重結合を起点とした桂皮酸誘導体の二量化と、その高分子材料化について紹介する。
16:15 - 16:35
7.木材のマクロ変形に伴うナノ構造変化 ― マテリアル利用への展望
京都大学 生存圏研究所・田中 聡一 (Soichi TANAKA)
木材のマテリアル利用には加工が不可欠だが、その過程で生じるナノ構造変化は十分に解明されていない。本発表では、in-situ小角/広角X線散乱解析により木材のマクロ変形に伴うナノ構造変化を追跡する試みを紹介し、木材の加工・利用への展望を示す。
16:35 - 16:55
8.透明かつ成形可能な「板紙」:完全循環型で深海でも生分解可能な次世代材料の開発 (オンライン)
海洋研究開発機構 生物地球科学センター・磯部 紀之 (Noriyuki ISOBE)
本講演では、深刻な深海のプラスチック汚染を解決するために開発した、「透明な紙板」をご紹介します。この「透明な紙板」は閉鎖型工程で製造でき、透明性・強度・成形性・深海生分解性を兼ね備えた次世代汎用材料として期待されます。
閉会のあいさつ
京都大学 生存圏研究所・矢野 浩之
後援:紙パルプ技術協会、日本製紙連合会、セルロース学会、一般社団法人繊維学会、公益社団法人日本化学会、公益社団法人日本材料学会関西支部、公益社団法人日本材料学会木質材料部門委員会、一般社団法人日本接着学会、一般社団法人日本木材学会、一般社団法人プラスチック成形加工学会、京都大学産官学連携本部、一般社団法人西日本プラスチック製品工業協会、SPE日本支部、関西イノベーションイニシアティブ(代表幹事機関公益財団法人都市活力研究所)、一般社団法人京都知恵産業創造の森、四国CNFプラットフォーム、ふじのくにセルロース循環経済フォーラム、薩摩川内市竹バイオマス産業都市協議会、晴れの国CNF連絡会、みやぎCNFプロジェクトチーム (順不同、予定)