久留米大学 医学部
質量分析医学応用研究施設

質量分析医学応用研究施設について

 当施設では、尿GC/MS,血清MS/MSを同時に用いた分析ができるという特色を活かし、脂肪酸β酸化異常症,カルニチン回路異常症,有機酸代謝異常症等の検査を行っています。検査結果は、疾患の診断だけでなく、精査検査として、また、疾患の除外、治療経過の確認としても有用です。

沿革について

1972年 久留米大学医学部ガスクロマトー質量分析医学応用研究施設 設立

             ・わが国の医学部で最初に質量分析を導入

     ・アジアで最初に質量分析による有機酸血症の化学診断サービスを開始

     ・「日本医用マススペクトル学会」前身の医用マス研究会を発足

 

          (1983年~1985年  一時休止)

 

1986年 GC/MS 2台を導入し、再スタート

 

   1995年 尿を用いる新生児代謝異常症GC/MSスクリーニング

       パイロットスタディ 開始(全国4施設)

   1996年 北部九州を中心に施設独自のプログラムによる試験研究開始

        翌1997年から受託研究事業とし、現在も継続中

 

2004年 LC-MS/MS導入(血中アシルカルニチン,アミノ酸分析開始)

   2014年 公費によるMS/MS新生児マススクリーニング全国実施

         尿GC/MS,血清MS/MSを同時に用いるセット質量分析開始

 

   2018年 施設名変更

        質量分析医学応用研究施設(通称:質量分析研,MS研)

 

                                       現在に至る

スタッフ紹介

GC/MS・LC-MS/MSとは?

 

*尿によるGC/MS法

 

*血液(血清)によるLC-MS/MS法

 

前処理を行った検体は、GC/MS,MS/MS内で以下のような流れをたどり、測定されています。

 

*質量分析の基本的な流れ

1.      試料をイオン化

2.      真空中(分析管)を飛行・運動させ、質量分離

3.      イオン(分子や断片)を電気的に検出・増幅

4.      得られた質量情報(マススペクトル)を基に同定・定量を行う

 

   質量分析では、物質の同定の根拠が分子構造のため、高精度の同定が可能です。

   内部標準物質に安定同位体を用いているため、高感度(微量)定量が可能です。 

LC-MS/MS 

LC-MS/MS 

GC/MS 

活動内容

1996年より新生児尿によるGC/MSを用いた先天代謝異常症化学診断の試験研究を開始してからメチルマロン酸血症やプロピオン酸血症など、

多くの先天性代謝疾患の診断に貢献してきました。現在も新生児スクリーニングと精密分析を行いながら、疾患の精査や除外、診断に携わっ

ています。2020年からは、検査品質認証のため海外の権威ある認証機関(ERNDIM)の外部精度管理に参加し、検査精度の維持と技術、知識の

向上に努めています。

当施設で検査可能な対象疾患

  当施設では以下の疾患の検査が可能です。

尿GC/MSスクリーニング 対象疾患

1 メチルマロン酸血症

2 プロピオン酸血症

3 イソ吉草酸血症

4 メチルクロトニルグリシン尿症

5 メチルグルタコン酸血症

6 ヒドロキシメチルグルタル酸血症

7 β-ケトチオラーゼ欠損症

8 アルギニノコハク酸尿症

9 リジン尿性タンパク不耐症

10 ビオチニダーゼ欠損症

11 ホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症

12 グリセロール尿症

13 グルタル酸尿症Ⅰ型

14 グルタル酸尿症Ⅱ型

15 アルカプトン尿症

16 シトルリン血症

17 アルギニン血症

18 オロット酸尿症

19 HHH症候群

20 高チロジン血症

21 ジカルボン酸尿症

22 高乳酸血症               など

血液MS/MSスクリーニング 対象疾患

1 メチルマロン酸血症/プロピオン酸血症

2 イソ吉草酸血症

3 グルタル酸尿症Ⅰ型

4 グルタル酸尿症Ⅱ型

5 メチルクロトニルグリシン尿症

6 メチルグルタコン酸血症

7 ヒドロキシメチルグルタル酸血症

8 マルチプルカルボキシラーゼ合成酵素欠損症

9 β-ケトチオラーゼ欠損症

10 フェニルケトン尿症

11 メープルシロップ尿症

12 ホモシスチン尿症

13 シトルリン血症Ⅰ型

14 シトリン欠損症

15 アルギニン血症

16 高チロシン血症Ⅰ型

17 CPTⅠ欠損症

18 CPTⅡ欠損症/CACT欠損症

19 VLCAD欠損症

20 MCAD欠損症

21 TFP/LCHAD欠損症

22 全身性カルニチン欠乏症

検査内容 ~検査お申し込みから報告書送付まで~

当施設では同時期採取の尿と血清(血漿)を同時に分析する、セット質量分析を行っています。
尿と血清(血漿)を同時に分析することで、より精度の高い検査結果を提供することが可能です。

※分析対象検体は原則、同時期採取の尿と血清ですが、尿のみ、血清のみの検査も行っています。

検査の流れ

    検査お申し込み

    検査ご希望の方は、事前に電話やメールなどでお申し込みください。

その際、下記の情報が必要となります。

・依頼される先生のお名前

・患者様のお名前

・患者様の生年月日

・検査ご希望の理由(先天代謝異常症疑い,疾患の除外目的など)


お急ぎの場合は緊急の対応をいたします。その旨、お知らせください。

 

    検体採取・検査依頼書記入


汚染のないよう留意して検体を採取してください。また、保存方法にもご注意ください。

検査依頼書には必要事項のご記入をお願いします。

 ※ 低血糖,体重増加不良の症例は、栄養摂取状況について特に詳しく記載をお願いします。


詳しくは検査ご希望の方へをご参照ください。

 

    検体搬送


検査依頼書と検体を速やかにご提出ください。検体は冷凍便で搬送してください。


    以下④~⑦は当施設で検体を受け取ってからの流れになります。 

    検体受付

    検体処理

    GC/MS,MS/MS分析・測定

    データ解析


    報告書作成・送付


  約1週間ほどでFAX・メールにて分析結果を送付致します。

  正式な報告書の送付までには2~3週間ほどお時間を頂きます。


検査ご希望の方へ 検査の依頼方法と手続きについて


当施設に検査をご希望の方は、電話等で事前に連絡をしていただくようお願い致します。

緊急を要する場合は、その際にご相談いただけると幸いです。


お問い合わせ先

 TEL:直通 0942-31-7722  (内線 3847) 

 Email:kurume_rims-group@kurume-u.ac.jp


 検体を受け付けて、正式報告書送付までに、約2週間お時間を頂きます。

 ただし、結果によっては報告書送付より前にご連絡をする場合があります。


検体提出について


 提出していただくもの

  依頼書[Excelファイル] (画面左上[ファイル]をクリック → ダウンロード → Microsoft Excel (.xlsx))

   ※手入力・PC入力どちらかを選択し、プリントして検体と同封の上、お送りください。

  ②検体(尿・血清・ろ紙血


検体採取と搬送について


 当施設では、診断精度を上げるために同時期に採取した尿と血清(血漿)をセットで分析しています。


 Ⅰ.分析対象検体

     ・尿 (GC/MS:ガスクロマトグラフィー質量分析用)

     ・血清(MS/MS:タンデム質量分析用)

        *CPTⅠ欠損症疑い症例など、ろ紙血分析が必要な場合があります。


 Ⅱ.採取方法・必要量

 尿:3~5mL程度(最低量 2mL)

    ・採尿パックや採尿コップにて採取し、10mLスピッツ等の容器に移します。

      (注)外部混入(軟膏,座薬,便,細菌など)のないよう採取してください。
      (注)可能な限り点滴投与前に採取してください。


 血清:0.3mL程度(最低量 0.1mL)

    ・溶血等ないように採取・遠心分離し、マイクロチューブ等の容器に移します。

      (注)可能な限り点滴投与前に採取してください。
      (注)遠心分離せず冷凍保存した検体は分析ができません。


ろ紙血:NBS用ろ紙(4スポット/1枚)の1~2スポット(最低 1スポット)

    ・CPTⅠ欠損症疑い症例等の場合は血清と同時にろ紙血も採取してください。

    ・ろ紙血作成は新生児マススクリーニング(NBS)の方法に準じます。

      (注)ろ紙血作成後は、十分に乾燥させてください。
      (注)霜で濡れたり、汚染のないよう密封できる袋に入れてください。

   

 Ⅲ.保管・搬送

  [尿,血清]

   ・検体採取後は速やかに、依頼書と同封の上、冷凍便にてお送りください。

  [ろ紙血]

   ・採取後十分乾燥し、ビニール袋等に入れ、保管・搬送は、尿・血清と同じとします。
  *保存温度は 原則-30℃でお願いします。



お申し込み先

〒830-0011 福岡県久留米市旭町67

久留米大学医学部質量分析医学応用研究施設


※搬送は原則、平日の17時までに届くよう手配してください。

※採取方法や保存方法には充分注意してください。
 汚染のあった検体や、常温放置や長期間の冷蔵保存など、検査結果に影響を及ぼす可能性のある保存状態の検体は、正確な分析結果が得られません。

※低血糖,体重増加不良の症例は、栄養摂取状況について特に詳しく記載をお願いします。


費用とご請求とお支払について


Ⅰ.費用

   検査料は、1件につき 20,000円(税込み)です。

   ・尿GC/MS分析と血清MS/MS分析を合わせた料金です。(どちらか一方でも同額となります)

   ・貴院における依頼件数を月毎に集計し、請求書および振込用紙を送付します。

    当該月分の検査料を一括して振込用紙指定の口座にお振込みください。なお、貴院独自の送金方法の場合は、別途ご連絡ください。

Ⅱ.契約書

   医事課での保険請求,事務手続き上、契約書が必要と言われるご施設があります。

   その場合は、当施設までご連絡ください。

 その他、ご不明な点がございましたら、当施設までご連絡ください。

よくある質問


Q. 血漿で検査はできますか?

A. 基本的に血清で検査を行っていますが、血漿でも検査は可能です。検体が血清か血漿か明記していただくようお願いします。


Q. 採取時期が異なっていてもよいですか?(例:尿 4/1採取,血清 4/2採取)

A. 診断精度を上げるため、同時期採取の尿と血清のセットでの分析をおすすめしています。


Q. 尿か血清のどちらかだけでも良いですか?

A. 尿や血清のみでの検査も受け付けています。しかし、尿と血清によるセットでの分析をおすすめしています。


Q. 冷蔵保存した検体でも検査はできますか?

A. 保存方法は原則、冷凍保存です。

長期間冷蔵保存していた検体や、一度解凍して冷凍保存した検体または室温放置した後に冷凍保存した検体など、通常と異なる保存方法を行った検体は検査にどの程度の影響があるか予測できないため、採り直しをお願いする場合があります。


Q. 保存は家庭用冷凍庫でも大丈夫ですか?

A. 短期間の保管のためであれば、大丈夫です。検体はなるべく早く冷凍状態でお送りください。


Q. 検体の必要最少量を教えてください?

A. 最少量は、尿:2mL,血清:0.1mL,ろ紙血:1スポットです。
  しかし、できる限り、尿:3~5mL,血清:0.3mL,ろ紙血:2スポット程度採取していただくことが望ましいです。


Q. ろ紙血は必ず提出しなければならないですか?

A. 必ず提出していただく必要はありませんが、同時期採取の尿・血清・ろ紙血を提出していただくことで、
     検査の精度をより高めることができます。

     ただし、CPTⅠ欠損症疑い症例等はろ紙血の提出をお願いしています。


Q. 結果はどれくらいで分かりますか?

A. 通常は約1週間ほどでFAX・メールにて分析結果を送付致します。正式な報告書の送付までには2~3週間ほどお時間を頂きます。

   ※結果によっては早めにご連絡をする場合があります

リンク

久留米大学医学部小児科学講座 先天代謝異常・臨床遺伝HP:http://ped-kurume.com/group/07.html

アクセス

〒830-0011 福岡県久留米市旭町67  久留米大学医学部質量分析医学応用研究施設

*地図11番の施設「基礎2号館2階」エレベーターを降り目の前に、検体受付の部屋があります。

お問い合わせ先

住所:〒830-0011 福岡県久留米市旭町67  

   久留米大学医学部質量分析医学応用研究施設

TEL:0942-31-7722(旭町内線 3847) FAX:0942-31-7752

Email:kurume_rims-group@kurume-u.ac.jp

対応日時:平日8:30~17:00 ◎休み:土日祝日,夏季休日(8/15),年末年始(12/29~1/3)