造形下限値を探索する目的で、30mm角の小さいサンプルを製作しました。
全面に様々な形状を造形しています。
*造形条件:30㎛ピッチ
丸棒、スリット、ラティス、横穴、パイプ等を詰め込みましたので、各形状について解説していきます。
スリット上面は水平、下面は45度傾斜とし、角度により溝穴の輪郭の造形状態に変わりは無いか確認を行いました。
スリットは以下の2パターンを設計しました。
① 溝間隔を0.3mmに固定し、溝幅を上から0.15、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6mm
② 溝幅を0.3mmに固定し、溝間隔を上から0.15、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6mm
上下面を見ると、溝、壁ともに問題無く造形できていることが分かります。
次は、溝穴を開けたスリットではなく壁を造形したスリットです。
0.3mm厚みの壁を0.3mm間隔に配置しましたが、こちらも問題なく造形できています。
しかし、ブラストのメディアが隙間に入り込み、取り除くのに苦労しました。
50度傾斜をつけた丸棒形状、Φ0.3mm、Φ0.5mmの2種類設計しました。
Φ0.5mmは径のバラツキが少し気になりますが、どちらも問題なく造形できています。
実はΦ0.15mmの造形も成功していたのですが、ブラスト処理をすると折れてしまいました。そのため後処理に耐えうる形状であるΦ0.3mmが丸棒の下限と言えます。
下画像は左からΦ8mmのインペラー、半球凹み、半球ラティスとなります。
微細構造でも造形が可能なことが分かりました。また、半球凹みを見るとR部が滑らかな面になっていることから、様々な形状に対応できることが確認できました。
横穴は大きくなると上面が崩れてしまいます。そこで丸穴の造形可能上限値が分かるようにΦ1mm、Φ2mm、Φ3mm,Φ4mmの貫通穴で検証してみました。
事前にΦ4mmは上面が少し崩れてしまうことを確認していましたので、Φ4mmの入口側にはY型のサポートを設置して出口側はサポート無しにしています。
サポートを入れると上面が綺麗な弧になっていますが、サポート無しの出口では上面が変形しているのが良く分かります。
最上部はΦ5mm穴の中にΦ3mm/Φ1.5mmの管を配置した2重管にしてみたところ、先ほどと同様の変形ながら顕著に変形を確認することができした。0.3mm厚と薄いサポートなのですが、変形(壁の崩壊)の抑止には有効なようです。
一番下の左に1mmの四角穴、その右には半球の凹(入口面)、凸(出口面)を造形しています。
四角穴は形状も良好で貫通しており、半球も同様に問題ありません。
丸、四角共に1mmを下限として造形しましたが、能力としては0.2mmまで造形可能です。しかし微細な穴の場合、内部の粉末が抜けない(抜け難い)ため目視で貫通していることが確認できないので、造形できたとしても製品に適用するのは難しいでしょう。
壁の一部をラティス構造にしてみました。
造形データ作成ソフト”3DXpert”に、ラティス構造のサンプルが沢山用意されています。
部品の軽量化を図る際、内部をラティス構造にすれば良いのでは?と想像してしまいますよね。
しかし強度計算が難しいく、強度を求められる部品では、軽量化できるから直ぐに採用となるのはまだ先かもしれません。
左右のパイプは2種、左は外径Φ5mm/内径Φ3mm穴(肉厚1mm)、右は外径Φ4mm/内径Φ3mm穴(肉厚0.5mm)とし、90度曲げています。このとき、左の肉厚1mm厚のパイプの断面を見ると綺麗に造形できていますが右の0.5mm厚では下面が崩れています。
この原因について以下のように考察しました。
薄肉になると傾斜のキツい箇所は各層の重なるラップ部が小さくなります。紙を重ねてのり付けするイメージをすると分かり易いでしょう。のり代の面積が少なくなれば当然接合力は弱くなります。
右のパイプは先端になるに従い傾斜がついており、上面よりも下面側がより鋭角になります。そのため、0.5mmという薄肉(照射面積が小さい)であることに加え、傾斜のキツいため層毎の接合力が弱くなり崩れたと考えられます。
左の管の先端を伸ばして水平方向にどれだけ伸ばせるか興味がありますので、今後確認したいと思います。
一方、中央のΦ5mmの球は、サポート無しで問題なく造形できました。
ご紹介しました下限値探索サンプルは、営業用PR資料として製作しました。
このサンプルを見たお客様が自社製品に適用できるか想像してもらい易いようにと様々な形状を施しております。
一度に20個程度造形できますので沢山準備しています。
当社に来られた際はお持ち帰りいただきたいと考えておりますので、お気軽に工場見学にお越しください。
また、今回詳細測定結果の詳細データについては割愛していますが、ご興味あればご連絡ください。
最寄りの黒崎駅は、小倉駅から快速で15分福岡県にお越しの際は、お気軽に工場見学にお立ち寄りください。
担当者:越水(こしみず)
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