DMP350の造形可能角度は最大45°となります。
右の造形物は造形可能角度を検証したサンプルです。上面はどのような角度でも問題なく造形ができています。横穴(Φ6)の造形可能角度も同時に検証しています。
[横穴]
全ての角度で造形できているものの、左図のように、0°、15°において上面がでは穴が少し崩れています。
つまり、精度を求められる横穴の場合、30°以上でないと難しい
事、Φ3㎜以下になると0°の厳しい角度でも問題なく造形が可能
であることが分かります。
[下面]
右図に示すように、75°、60°、45°と勾配が急になるにつれ背面の色が濃く
なっており、徐々に表面状態が悪くなっていくことが分かります。
45°を下回ると面粗さが増していき、壁が崩れています。
このとき、崩れた壁の上に造形が繰り返されていきますので、土台の無い
箇所にビームを当てた場合、粉末が溶融して凝固する際に膨らんだり、めく
れ上がったりすることで、凸部ができてしまいます。そうなると、凸部が
コーター(金属粉を掻き取り右に移動させる部品) にぶつかり造形を中止する事に
なります。そのため、45°以下の下面にはサポート(支柱)を配置する必要
があります。
また、サポートを配置する理由はもう一つあります。それは変形の抑止です。
造形物は角部、端部に応力が集中し、造形物が大きくなるにつれ応力は大きく
なります。写真(左上)は丸棒を横向きに造形したものですが、円柱サポートの端部側
が割れています。端部の円柱サポートを他のものより2倍の径にしたのですが、造形物の
反りに耐えられませんでした。
造形物の大きさにより端部の補強を変える必要がありますが、様々な形状を経験し
失敗を重ねて知見を得る必要がありそうです。
金属3Dプリンターでの造形を行う際には専用のソフトウェアが必要となります。サポートの設計や造形を行う上での必要なシステムであり、現在はそれほど多くは販売されているとは言えない状況です。今回、 当社で準備した設計ソフトは、3DSystems社製の「3DXPert」となります。金属3Dプリンターでの代表的なシステムで、3DCADの経験があれば、容易に操作可能なソフトです。3DCADソフトSolidworksのサブスクリプションユーザーであれば、3DXpert For Solidworksが無償で使用でき、Solidworksで作成したモデルを直接3DXpertに転送することができ便利です。
以下では3DXpertの機能について解説します。
碁盤の目になっている部分がベースプレートの大きさに設定されており
左右方向にコーターが動き粉末を敷いていきます。
まず、斜めの丸棒モデルを中央に配置してみました。
モデルは配置後、自由に(X、Y、Z)移動が可能です。
それでは、サポートを付けていきましょう。
サポートを付ける部分、45°以下になる部分をソフトウエアが自動抽出します。今回の丸棒モデルでは、左図のように黄色で囲われた部分となります。
次にサポート形状を選択します。
3DXpertでは下のようなサポート形状が用意されています。
今回は、円柱状のサポート(Cone)を配置してみます。
Φ2㎜の円柱を4㎜間隔でサポートを自動配置してみました。
円柱、円柱の頭の径や配置間隔、円柱から円錐型への変更などサポートに関して様々な設定が可能です。また、任意の位置への配置も可能です。
造形中の熱変形や崩れの防止という観点から、あまりにも安全サイドを見すぎ、サポート径を大きくしたり、過剰に配置すると造形後のサポート除去作業が大変になります。熱変形や崩れが無く、かつ造形後のサポート除去処理の容易さや仕上がり外観へのの影響などを考慮し、サポートを最適配置とするのが造形の大きなポイントとなります。
それでは、円柱(Cone)に続き、Wall Support(壁型サポート) を設置してみましょう。
Wall(壁)はSingle Laser(ビード幅 約0.01mm)が基本設定となっており、ペンチなどで簡単に除去が可能です。
先述したように、サポートの除去工程の容易化から全てSingleLaserとし薄肉化したいところですが、粉末を敷く方向に上手く設置していないと粉末を敷く過程で、壁が崩れてしまうこともあります。
そのため外周を厚めにし、内側をSingleLaserにするのが良いと思います。
[サポート設置の要領]
① ハッチング形状を選択
② 設置面にハッチング形状の貼り付け
③ サポート設置
サポートは、45°以下の下面や熱変形による反りが発生する箇所に設置することはお分かり頂けたでしょうか。
造形物の形状によってサポート形状を変える必要がありますし、造形後に除去し易いサポート形状、配置も同時に考慮しながら
少ない試作回数で「最適なサポート設計ができるか」が3D造形技術では重要となります。
今後、様々な形状にチャレンジしていくなかで、サポート設計技術のノウハウを習得し、蓄積していきます。
自社製品を造形してみたい、こんな形状の製品を造形できないかなどございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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担当者:越水(こしみず)
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