日本大学文理学部情報科学科 北原研究室 次田直樹
複数人で演奏するときなど,外出先でピアノを演奏する時,電子ピアノはサイズが大きく重いものが多いので,持ち運ぶことが難しい.PCは比較的持っている人が多いものであり,PC用キーボードにおけるタイピングはピアノの演奏方法と似ている.よって,PC用キーボードがあれば外出先でも電子ピアノの代わりに演奏できると考えられる.
PCで音楽を演奏をする場合,ピアノやMIDIキーボードに比べて,キーが小さい,キーの押しが小さい,横に並ぶキー数が13〜17個程度と少ないといった特徴がある.なので,PC用キーボードは親指と他の指との間隔が取りにくく,指くぐりが難しい.指くぐりとは,ドレミファソラシドのような連続した音を弾くときに,親指が他の指の下を通ることをいう.このような理由から,ピアノと同じように演奏することは難しい.
また,ピアノにおける演奏において,強弱を付けるためには,鍵盤を押す強さを変える必要がある.しかし,PC用キーボードはキーを押す強さを検知できない.そのため,ピアノのようにキーの押す強さで強弱をリアルタイムに変更できない.既存研究ではキーボードを直接改造し,加速度センサーを設置することでキーの押す強さを検知出来るようにするものや,マウスで直接音の強さを表すベロシティを直接設定するソフトウェアがある.前者の場合,使用するまでに時間がかかり,現実的ではない.後者の場合,強弱の変化をリアルタイムに表現することが難しい.
そこで,キーの間隔が取れるようにピアノの白鍵にあたる部分を2列にするキーボード配置を提案する.また,提案したキーボード配置を使用し,強弱の付与を機械学習で自動的に行うことで,PC用キーボードを利用した演奏システムにおいてよりピアノに近い演奏を目指すシステムを提案する.また、本システムを用いて評価実験を行い,PC用キーボードにおける演奏の強弱をリアルタイムに変化できることを確かめた.