日本大学文理学部 情報科学科 北原研究室
ウルフ ジャスティン智也
概要
ハウスミュージックはダンスミュージックジャンルの一つであり,ポピュラーミュージックとは異なる構成で作曲される.各パートが同じパターンを何度も繰り返す中,各パートが演奏を始めるタイミングを巧みに制御することで起承転結を形作る.このような楽曲構成について把握することは,楽曲を理解する上で重要である.しかし,ハウスミュージックの楽曲構成が具体的にどのような要因に起因して決定され,どのような法則性があるかは定かではない.本稿では,ハウスミュージックの楽曲構成を決定する要因及びハウスミュージックの楽曲構成における法則性を解明することを目的として実験を行う.
前述のハウスミュージックの楽曲構成方法に基づいて,ハウスミュージックの楽曲構成と音圧の関連性について予備実験を行った結果,音圧の変化タイミングとセクションの変化タイミングに相関関係があることを確認した.また,予備実験の考察から,音圧に加えて周波数とドラム音について楽曲構成との関連性を調べる実験を行った.
実験の結果,それぞれの関連性についていくつかの特徴が見られ,それらはセクション間での変化が無い要素と変化のある要素の2つに分けられた.例えばセクション間での変化が無い要素としては,周波数は異なるセクションの場合でも変化は少ない.また,ドラム要素もセクションが異なる場合でも変化は無かった.一方,セクション間での変化がある要素としては,音圧はセクションが異なる場合には値が異なった.このことから,ハウスミュージックではセクションごとの特徴を明確に区分しつつも,一定の特徴は維持することで楽曲としての統一感を保っていると考えられる.
今後の展望として,楽曲データの拡充や,セクション定義の妥当性の検証,セグメンテーション情報や分析アルゴリズムなどの精度向上,他ジャンルの楽曲との比較分析などが挙げられた.