日本大学文理学部情報科学科
北原研究室 庄野莉彩子
概要
ピアノ初学者にとって, 楽譜の読解はピアノ習得の挫折につながる課題の1つである. 楽譜が読めなくてもピアノを弾ける手段として, 音楽ゲーム風のグラフィカルな演奏内容の可視化がある. 横軸を音階, 縦軸を時間とした平面内に音符を表す色付きの長方形(「カラーバー」と呼ぶ)が表示され, それが最下層まで落ちてきたタイミングで, 対応する鍵を押すというものである.
しかし, これに頼ると楽譜の読解に慣れる機会を失い, 読譜能力を身につけられないという問題がある. 特に, 西洋音楽で用いられている五線譜は, 非常に広く使われているため, 五線譜の読解ができないことは, 様々な楽曲の演奏を楽しむうえで非常に不利である.
本研究では, 上で述べた, カラーバーによる演奏内容表示を出発点に,徐々に楽譜読解へ促すことを目標とする.具体的には, カラーバーによるグラフィカルな可視化を段階的に非表示にし, 対応する楽譜を同時に提示する. この機能で, ゲーム感覚を維持しつつも, 学習者が強制的に楽譜を閲覧する状況を作り出す. これにより,カラーバーに依存した演奏から,五線譜を参照した演奏へ段階的に移行させることが可能となる.
評価実験では,従来のカラーバー表示のみのシステムと,提案手法を導入したシステムを比較し,楽譜読解への意識および演奏成績への影響を検証した.その結果,実験後アンケートによる主観評価では, 従来手法であるシステム1の平均点が39点, 提案手法であるシステム2の平均点が50点であった. 加えて, 演奏正解率による客観評価では, システム1の平均正答率が0.69, システム2の平均正答率が0.81であった. このことから, 主観・客観評価の両面において,従来手法よりも楽譜の学習効果が高い評価を得る傾向が確認された.
特に,楽譜読解に不慣れな被験者において,楽譜と鍵盤の対応関係を意識するようになり,演奏精度の向上につながる可能性が示唆された.
研究紹介記事
準備中
プログラム
準備中