の試作および短期間での効果の検証
本稿では, 作曲未経験者を対象とした作曲支援システムについて述べる. 音楽は主要な娯楽であり, 現在では視聴のみならず, 作曲を行う人も多い. しかし, 音楽知識のない人にとって, 音楽的に妥当な楽曲を作成することは容易ではない. メロディを作るという点に絞っても, どの音を選べば音楽的に適切かは音楽知識がないと判断ができない.
本研究では, これを解決するシステムを作成を試みる. その中でも, 作曲におけるメロディを作るという部分を取り上げ, 音楽知識のない作曲未経験者への適切な音価の選択の補助によりこれの解決を目指す. その手法として, 音楽理論に基づいた音のみを選択できるように, 使用できる音に制約を掛ける. これにより音楽知識のない人でも音楽的に妥当な音を選択してメロディを作ることができると考えた. しかし, 使用できる音の選択肢を減らすと作成できるメロディの自由度が大きく下がることも考えられる. これに対して, ユーザが利用を重ねるにつれて, 徐々に制約を緩めることで, ユーザの熟練に合わせて作成できるメロディの自由度も上がると考えた. この2つの要素を取り入れた作曲ソフトウェアの作成を試みる.
本システムでは, 旋律概形の描画によってメロディを作成した後, 各音符の音高を編集することができる. その際, 使用できる音に制約を掛けることで, 音楽的に妥当なもののみが使用できる状態にする. この制約は, 将来的に支援なしにメロディ作成ができるように, 段階的に小さくする. これにより, 音楽知識のない作曲未経験者であっても簡単にメロディの作成ができ, 慣れに従って自由度の高い多様なメロディ作成を行えるようになると期待される.