このサイトでは吉祥祭を楽しんでいただくための事前情報をご覧頂くことができます。
今年度、文化祭実行委員会は第88回吉祥祭のテーマとして「ことば」を掲げます。
「ことば」とは一般的に、人間が意思や感情、情報を他者に伝達するために用いる記号体系と
定義されていますが、新しいものが作り出されればそれを指し示す「ことば」が生まれ、新しい考
えや概念を示す「ことば」も生まれます。「ことば」と社会が互いに影響しあう時代において、私た
ちは「ことば」とどう向き合えばいいのか、いま一度考えてみてはどうでしょうか。
人類は狩猟時代に互いに協力するために言語を獲得したとされ、それ以来「ことば」は私たち
の生活を支える身近な存在であり続けています。近年、SNSの普及により誰もが簡単に自分の
意見を全世界に発信できるようになった一方で、誹謗中傷やフェイクニュースが溢れるといった
問題も深刻化しています。また、機械翻訳の発展により、言語の違いによるコミュニケーションの
障害は急速に減少しつつありますが、機械翻訳に頼る場面が増える中で、かえって異なる言語
を自ら学び、使いこなす力が求められる時代にもなっています。このような時代だからこそ、改め
て「ことば」の持つ意味や価値について見つめ直す必要があるのではないでしょうか。今回、各団
体が「ことば」について考察するにあたって、研究テーマの方向性を三つ示します。
一つ目は時代によって移り変わる「ことば」についてです。私たちは日々、「ことば」を使って思
考し、会話し、文字で伝え、「ことば」とともに歩んできました。祖先が発明し、人類の発展に大きく
貢献してきた「ことば」。その本質は何であり、人類とどのように結びついてきたのでしょうか。「こ
とば」の根源的役割に着目して調査してみてください。また「ことば」は長い時の流れの中で意味
や形を徐々に変えながら現代に受け継がれています。日本の歴史を見ると、中国から伝わった
漢字からひらがなが作られ、最近では絵文字が普及してきたように、「ことば」は常に変化してい
ます。一方で、使われなくなった「ことば」は「死語」となることもあります。また、日本においても標
準語への均一化が進み、消えつつある「ことば」もあります。我々人類の発展に大きく寄与した
「ことば」の変遷を独自の視点から調査し、研究してみてください。また、これからの「ことば」の変
化、あり方についても考えてみてください。
二つ目はコミュニケーション手段としての「ことば」についてです。SNSやAIの発展に伴い「こと
ば」は私たちの生活に様々な影響を与えています。AI翻訳により誰とでもコミュニケーションが取
れる一方、若者の言語能力の低下や会話への抵抗感が問題となっています。また匿名性の高
いSNSでは、発信に対する責任感が薄れ、誹謗中傷などの問題も増えてきています。その要因
の一つとして、文字だけでは表情や声の調子が伝わらず、何気ない一言で相手を傷つけてしまう
ことが挙げられます。「ことば」は、本来感情やニュアンスを載せることができるものであり、その
使い方によって相手に与える印象や受け取り方が大きく変わります。このように「ことば」は単な
る情報伝達にとどまらず、相手に影響を与える力を持っています。だからこそ、相手への配慮を
忘れずに「ことば」を選ぶことが重要だといわれています。自分自身の「ことば」で伝える力を身に
つけることや、思いやりを持って「ことば」を発することの重要性について考察してみて下さい。ま
た、「ことば」の力にどのようなものがあるのか調査し、「ことば」の持つ可能性について研究し、
多方面から考察してみてください。
三つ目は「ことば」の多様性についてです。現在、英語が世界共通語として広く用いられている
一方で、世界には数千もの言語が存在し、それぞれが独自の文化や価値観と密接に関係してい
ます。さらに、長い歴史の中で、言語同士の相互作用や混ざり合いが進み、多様な「ことば」が社
会の中で共存しています。また日本でも、地域ごとに育まれてきた方言は残っています。こうした
状況を踏まえ、世界中にある「ことば」についても、その由来や社会的背景に目を向けてみてくだ
さい。「ことば」は単なる伝達手段ではなく、その文化や歴史を映し出すものです。そのため「こと
ば」の研究を通じて、世界の多様な価値観や特色に触れることもできるでしょう。
はるか昔から現在に至るまで、「ことば」は私たちの生活を形作ってきました。そして、近年では
異なる文化や価値観をもつ人々と協働することが求められる社会となっています。そのとき、「こ
とば」は橋にもなり、逆に壁にもなります。だからこそ、「ことば」の力を理解し、丁寧に扱うことが
社会をより良くすることにつながるでしょう。そして、「ことば」とともにこれからの未来を形作るの
は私たちです。吉祥生の皆さんが「ことば」を通じて、多様な価値観に触れ、社会へと貢献する架
け橋となることを願っています。
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