俳句の部
審査 矢野玲奈先生
審査 矢野玲奈先生
中学生から252句、高校生から335句の応募がありました。
作品はすべてそのまま審査員の先生に送られ、厳正な審査が行われました。
中学生の部
【最優秀賞】
づかづかと神輿の柱蟻登る 2年 勝俣可帆
(講 評)
蟻をよく観察した作品です。蟻が木や壁ではなく神聖な神輿を登っているところに驚きを感じたのでしょう。その着眼点が素晴らしいです。そして「づかづかと」という表現で蟻の大胆な様子を見事に描いています。
【優秀賞】
春の朝風になびいたセーラー服 1年 森詩季
風鈴が次に鳴ったら宿題を 1年 殿村天花
噴水をプールと思う子どもかな 2年 渡邊真侑
好きな味無くても買っちゃうかきごおり 3年 八巻芽生
真夏日の祖父母の家のテレビ音 3年 吉村真歩
【佳作】
ありんこを追いかけながらはしゃぐ犬 1年 川田冴月
啄木鳥や静かに響く森の中 1年 山川千尋
紫陽花や雨に濡れたる庭の隅 1年 笠浪眞生
あたらしい私を見てる春の空 2年 木戸結菜
弁当の梅干を見て手を合わす 2年 鯰江菜央
夏野菜ぐんぐん育つ日を浴びて 2年 久保汐那
梅雨深し髪留め借りて作るてるてる 3年 廣澤奏
平等院地につくほどの藤の花 3年 梶田光希
シリウスが汽笛ならした帰り道 3年 小松﨑華
春の空希望に満ちた鎌女生 3年 杉本菜緒
高校生の部
【最優秀賞】
教室を移動する度カニと会う 2年 長島愛希
(講 評)
川から蟹が校舎へやってくる作品は多く詠まれました。この作品は、「教室を移動する度」という表現が秀逸でした。蟹の存在にただ驚くのではなく、また出会ったという点に作者が面白さを感じた所が良く伝わりました。
【優秀賞】
涼風や並んで眺む由比ヶ浜 2年 野中鈴央
「日焼けとかしなくていいね」と犬に言ふ 3年 山田明弥
問題を解く手が止まる花火かな 3年 野村知里
春の日に傾いたままの鎌女結び 3年 吉野芭那子
初雪や指紋のついた窓ガラス 3年 今﨑あやの
【佳作】
桜散る今日から私も黒リボン 1年 上村まこ
新学期気持ち高めに髪を結う 1年 帯金柚香
夕立とスクールバッグのよーいどん 1年 小島蒼葉
黒リボンゆっくり結ぶ春の朝 1年 大宮実桜
弟と二人で買ったアイスティー 2年 小笠原友里
会う度に話題は部活高二春 2年 杉﨑紗和
階段に動く小さなカニの影 2年 齊藤遥夏
制服をかわかし帰る夏の海 2年 河野雅南
葉桜や風とそろってバスを待つ 2年 鍵山日奈子
制服の裾ゆれる時夏の音 2年 山﨑さらの
総 評
創立百二十周年おめでとうございます。生徒の皆さん、文芸コンクールに俳句作品を出品してくださりありがとうございました。素直な気持ちが表現されている作品が多く、皆さんの生活を垣間見ることができました。
中学一年生は受験から解放された安堵感や新しい環境への期待が詠まれた作品に初々しさを感じました。中学二年生にはユーモアを中学三年生には逞しさを感じました。高校一年生はスカーフの黒リボンに高校生の自覚を感じた方が多かったようです。高校二年生は学校生活を謳歌していて、高校三年生は勉強を頑張っている様子がよくわかりました。
数多くの応募作品の中から見事に入賞された方々、本当におめでとうございます。残念ながら入賞しなかった作品の中にも、良い着眼点や独自の感性など惹かれるものがありました。
さぁ俳句を作ってと言われてもなかなか出来ないことだったと思います。十七音、季語、切れ字など知識を持ち合わせていても、創作というものは習って出来るものではありません。しかし、日常への関心を持ったり、言葉の扱い方を習得したりすれば、俳句をはじめ詩歌を創作することはそれほど難しいことではありません。今回の文芸コンクールを機に学校生活を俳句で詠み続けてはいかがでしょう。きっと皆さんの想像力や表現力を豊かにしてくれるものと思います。そして、鎌倉女学院で過ごした日々を何年経っても思い出させてくれることでしょう。