写真の部

審査 シン・ノグチ先生

【最優秀賞】

 中学2年 本間由梨

【優秀賞】

 高校1年 木暮美慧

写真の部10選

中学1年 山内綾華

中学2年 中村こころ

高校1年 堺 麻央

高校2年 大川諒子

高校2年 久保田眞心

高校2年 小林恵梨香

高校2年 田邊華野

高校2年 松川栞奈

高校3年 永島英惠

高校3年 山田優芽

総 評

とにかく、応募してくれた生徒の皆さんの写真の「若さ」に圧倒されました。自分自身も皆さんと同じ中高生時代から、あの頃と変わらずピュアな目線で世界を見ていると思っていたのですが…。もっともっと全力で今を生き、日常を写真に残していこうと、逆に私の方が気持ちを奮い立たせてもらいました。ありがとうございました。


撮影者の生徒さんの名前や、どの写真が同じ生徒さんのものなのか、そういった情報は一切なく、私はただ応募してくれた写真と淡々と向き合い、対話していました。テーマは「いまのわたし」。その瞬間、目の前に広がる光景をどう見ていたのか。写真がこちらに語りかけてくるものを12枚選びました。


「写真の部10選」に選んだ写真たちは、撮影者がその場所に立ち、その瞬間の自身の視点そのものを写真に収めた力強さを感じました。「どう見せたいか」ではなく、「なぜそこにいたのか」「なぜそれを見ていたのか」という理由が、そのまま写真に記録されていました。唯一無二の10の光景、10枚の写真たち。写真の声が弾んでいました。喜んでいましたよ。


「優秀賞」に選ばせていただいた木暮美慧さんの写真は、学生時代の私自身の中にもあった、言葉にできない=選べない、でも《ここ》に確かに存在する大切な気持ちがみごとに写真に可視化されていると感じたものでした。水面に落ちる桜の花びらが静かに揺れ動き、そしてそこからどこへ旅立とうとも、《私の今はここ》と凛と佇むカワウの姿に、なにか憧れを抱いて見つめていた撮り手の姿が私には見えました。優しさと、わずかな切なさ、苦しさ。でもきっとその先へ進めます。この写真が、いつもあなたを前へ押し出してくれるから。


そして、今回「最優秀賞」に選んだのは、本間由梨さんの花びら。彼女が自身と対峙し、「いまのわたし」をまだ自身が正確に捉えることができないそのうぶな感情、そのバランスが取れない瞬間を、この時この瞬間に堂々と翼を広げて真っ直ぐ視線を向けていた花びらに見出し、そこに吸い寄せられるかのように自身が飛び込んでシャッターを切った——切ってしまっていたとも言える——写真でした。私を見る/知るために撮る写真もあれば、自分自身がふっと写ってしまう写真もある。この写真は、撮り手がその場に「写真を撮らされる」という不思議な体験をした瞬間が捉えられると感じました。こうやって何気なく日常を歩いていると、自分自身が見えてくる時があるんです。自分自身が光を当て、その相手がそれを受け止める、その瞬間に互いが明確な意識の中で《存在》する。こうやって人や物、他者との会話を続けていけば、そしてできればそのときに写真や、言葉でも、文字でも良い、その感情を可視化して残していけば、きっと後ろを振り返る怖さを感じることなく、前へ前へと歩んでいけると思います。ご両親や友人、自分が夢中になっているそれがいつも「わたし」の背中を押してくれるように、あなた自身の経験が、ずっとあなたを後ろから見続け応援してくれます。写真には、あのときの《いまのわたし》がいつまでもいてくれるから。少しでも不安になったらその写真をもう一度手に取ってみてください。「きっと大丈夫。」そう写真が語りかけてくれます。


最後に、以前、台湾のコミュニティカレッジの写真クラスで生徒の皆さんにむけて書いたメッセージを鎌倉女学院の生徒さんたちにも送らせていただきます。


「 “良い写真”を作ろうとし過ぎないで。目の前の光景に何かを感じたその“理由”にシャッターを切ることを心がけてください。あなたにはあなた独自の視点がある。すべての解釈はあなたが今までの人生の中で培ってきた大切な経験の宝なんです。

 あなた自身を信頼してください。肯定してあげてください。自己肯定意識下で街や人々と向き合えば、きっと全ての被写体があなたに心を開いてくれます。

 あなたの手元にあるその写真は、それはあなたがシャッター以前に存在していたという証です。」