鄭 仁星(教育学教授)、シアウエン タン(博士課程)
執筆年:2017年 肩書および役職は執筆当時のもの
アセスメントとは、複数の観点から学生の学習をはかるために行われる一連のプロセスである。アセスメントを行うことで学習目標の達成度合いや授業の方向性、また、授業効果を確認できる。William (2013)が述べているように、アセスメントは教育と学習の橋渡しの役割を担っている。
以下の文章で、Angelo and Cross (1993, p. 3)は大学教育におけるアセスメントの役割を挙げている [1]。
「学習の観察やフィードバックを通して、学生の学習傾向を見極めることができる。アセスメントを用いることで、学生の学習状況を把握し、授業の効率化を実現できる。」
無論、どんな授業でも、取り上げられた事柄を全て学生が理解する、といった保証はない。アセスメントはあくまで学習状況を把握し、達成度をはかるためのものである。
教師による活用
・授業の方向性の計画
・授業の改善
・学生へのフィードバック
学生による活用
・授業の学習目標の把握
・理解度の確認
・学習計画
教育機関による活用
・教育状況の把握
・教育状況の改善
・新方針制定など、改善の実施
教育研究革新センター(CERI)によって発行されたアセスメントについての記事(OECD/CERI, 2008)には教師への利点にとどまらず、方針づくりなどより高次的な場面への利点が記されている(図1)。
図1: 教育システム内の情報が、全て改善の指針となり得ることを示した図
(OECD/CERI, 2008, p.5)
成績評価とフィードバックは、学生とのコミュニケーションツールとなるため、アセスメントの重要な要素である。また、学生が学習へ活用するためにも、成績評価とフィードバックには明瞭さと一貫性が求められる。詳細はこちらのリンクを参照してほしい。
基準づくりには時間が要されるが、成績評価をつける際の効率性が上がるため、ぜひ作成してほしい。
1)評価をはかるためのワークを決める。例としては、エッセイ、クイズ(紙、オンライン)、試験(紙、オンライン)、研究報告書、授業参加、オンラインでのディスカッション、プレゼンテーションなどが挙げられる。詳細は、形成的評価、総括的評価を参照してほしい。
2)それぞれで評価する能力を決める。例としては、クリエイティビティ、明瞭性、分析的思考、批判的視点、調査の綿密性などが挙げられる。
3)これら能力をもとに評価基準を作成する。
下記のサイトにサンプルが挙げられているため、参照してほしい。
また、下記の二つのサイトも評価に関して書かれているので、参照してほしい。
活用法によって、フィードバックは学習へ大きな影響を与える。フィードバックの例は以下に記載されている。
・学術的根拠に基づいた、効率的なフィードバックのための5つのアドバイス
・スザンヌ=クェイ教授(言語教育)「アセスメントと学習:ビデオ・ドキュメンタリープロジェクトにおいて」
・ショウン=マラーニー教授(人類学)「ルーブリックと学習」
[1] Angelo, T. A., & Cross, K. P. (1993). Classroom assessment techniques: a handbook for college teachers. San Francisco: Jossey-Bass
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