スポーツ×福祉

競うのではなく、 体を動かして楽しむこと。

スポーツ本来の意義を、 もっと広めていきたい。

近藤 尚也先生

看護福祉学部臨床福祉学科 講師

2014年に本学助教、2021年より講師として着任。重度障がい児・障がい者の身体活動と日常生活および余暇活動の支援を主な研究テーマとして、アダプテッド・スポーツの普及活動に携わっている。

 スポーツの語源をたどると、もともとは「気分転換」などの意味を持つ言葉だったとされています。競い合ったり、より良い記録を出すことをイメージしやすいですが、スポーツが持つ本来の意義はそれだけにはとどまりません。

 社会には多様な人がいます。運動が苦手な人や、障がいのある人、高齢者、小さな子ども。そうした身体能力や年齢の条件によって、スポーツを楽しむことができないのはおかしいですよね。

 私は今、「アダプテッド・スポーツ」の考え方を通じたスポーツの普及に取り組んでいます。スポーツをするときには、ルールを覚えたり用具をそろえたり、スポーツに合わせて準備をすると思いますが、これはその逆。楽しみたい人に適応(=アダプ卜)させて、スポーツのルールや用具を工夫するという考え方です。パラリンピックで採用されている競技もそうですし、寝たきりの人でも楽しめるボール投げ運動なども、その考え方の一つと言えます。

 昔から健康維持の方法としてスポーツは用いられてきましたが、高齢者が多くなっている現代では、介護施設や行政の中でも多様な人が参加できる取り組みへのニーズが増えてきています。SDGsや企業のCSR活動にも注目が集まっているので、社会経済活動とのつながりもきっと増えていくでしょう。

 スポーツを軸とした取り組みは、もちろん未経験の人でも行うことはできますが、部活やサークルなどでスポーツをしていた人にとっては、それを強みとして、活躍できる分野だと思います。対象者に合ったスポーツを考えるとき、もともとのルールを知っているからこそ「崩して楽しむ」という方法が取れたり、体の動かし方を伝えるときにも、自身の体験が参考になるからです。あなたのこれまでの経験を生かし、スポーツの視点から誰もが住みやすい地域づくりを、私と一緒に学んでいきましょう。