子供にとっての一日

 今日の子供達には、明日はあえません。子供の成長は日々進化しています。数ヶ月前の写真と今の写真では、顔も変わっていますね。本当に成長が早いと感じます。今日の出会いは今しかないと言う意味の、茶道で言うところの、「一期一会(いちごいちえ)」に似ている気がします。だからこそ、今の、今日の子供達に一生懸命になるのが、先生達でないかなと思っています。

 「昨日までできなかったことが今日はできるようになった。」「今まで自分のことで精一杯だったのに、お友だちの様子に目を配れるようになった」など、小さな喜びの積み重ねが教室の中で起こっています。そして子供達の無限の可能性をどのように引き出していくか、毎日奮闘しています。

 このような子供達の成長に大切なのは、良き友という、縁です。一人の人間はしっかりしているようで、ちょっとしたことで揺らぎます。その揺れ動く心を、ふと支えてくれるのが、友の一声だったりします。昼間小の校内では、朝の子供同士の「おはよう」から、「ありがとう」「一緒に行こう」「さようなら」と心と心を通わせる一言が多く聞かれます。これって実はすごいことなんです。

 今朝は地球市民という言葉を朝会で子供達に伝えました。たった一言でも、心が通じ合う言葉があります。心を通じ合わせ、争いのない世界にしていけたらといいですね。

(画像 生成AI:Bing)

自己判断という選択

 急に寒くなりました。10月以降、極端に温かい日と寒い日が繰り返され、季節の変化に対応できる体というか、服装をどうやって決めるかというのも難しい毎日でしたが、ここのところ急に冬らしくなってきました。右側の写真は、40年前のテレビの天気予報の映像です。今と比べるといたってシンプルです。

 しかし現代の天気予報は、左の図のように、ありとあらゆる情報をたくさん提示してくれる分、それらを総合的に判断して自分で結論を出すというようになっています。結果的に、あたったのか外れたのかが分かりにくくなりますが、わたしたちはこれまでの経験を踏まえ、多くの情報から判断をしていく必要があります。

 一方で、誰かが決めてくれた方が良いのにと、自分で判断することを好まないこともあります。今県内で急速に進んでいる校則の見直しなども、誰かが決めたことを守ることが大事なのではなく、自分たちで決めていくという自律の精神が大切だということを示しています。

 本校でも、安全上の観点、経済的負担の観点等を理由とした決め事は重視しつつ、初等教育としての教育的な観点を踏まえ、自己判断を委ねる場面を積極的に広げていきたいと考えております。

(画像引用 ウェザーニューズサイト)

多くの視察がありました

 今年度は、県内外を問わずたくさんの方が昼間小の視察にやってきています。県内では、副知事をはじめ阿波市、県外では高知県、大分県、その他東京、大阪の企業などいろいろな立場の方が子供達の様子を見に来てくれています。何を見に来ているかと言いますと、ICT端末を学習でどのように利用しているのか、ネットワークがスムーズに動いている秘密は何なのか、子供達がICTを文房具のように利用している授業を、どのようにやっているのかなど、目的は様々ですが、一様に「すごい」と感想を述べてくれます。

 子供達にとっても、いろいろな方が教室に来て、授業の様子を見てくれることは、励みにもなります。なにより、来客への挨拶などの現実的な礼儀の学習にもなると考えています。今文部科学省が進めたいICT活用の授業が、実は昼間小で展開されているのです。常に、自ら学ぶ子供達になってほしいと願う気持ちを持って、スタッフ一同次のステージの学びを研究しています。

(画像 11月28日の香美市教育委員会視察)

お掃除から見えてくるもの

 昼間小学校の子供達は、お掃除を大変真面目に取り組みます。本当にすごいことだなといつも感心しています。昔から日本の教育は、「知・徳・体」をバランスよく育てることを大切にしていますが、これはグローバルな視点から見た日本の教育の強みでもあります。

 日本の学校では、知識や技能の習得に加えて掃除、給食、係活動、学級会などの特別活動を当たり前のように行っていますが、他国ではこのような活動はあまり見られません。この特別活動は、諸外国、とくにアジアや中東から強い関心を寄せられていて、エジプトでは日本の特別活動の教育モデルを採用したり、シンガポールの学校では掃除を取り入れたりしているそうです。

 問題を解決するために周りの人と協力しながら取り組む能力を測る「協同問題解決能力調査」で日本はOECD加盟国中1位のときもありました。特別活動以外でも、今は、授業でも、「先生と学ぶ」「自分一人で学ぶ」「友達と相談しながら学ぶ」といった学び方のバリエーションが増えてきています。生涯にわたって学び続けるためにも、どうやって学ぶかという基礎を培っています。

(画像 生成AI:Bing)

黄色のままのイチョウ

 イチョウは、他の落葉樹と違い、葉っぱが赤くなりません。そのため、金色に色づくと言われたりもします。晴れ渡った青い空に広がる金色のイチョウの葉は、ひときわ目立ちます。赤くなれない理由は、化学的に説明されていますが、葉の形といい、色づき方といい、特徴があります。

 イチョウの原産地は中国ですが、日本から海外へと広まった話があります。イチョウの種子を持ち帰った西洋人は、17世紀末に長崎の出島の商館に医師として勤務していたケンペルであるとされています。彼が持ち帰ったイチョウの種子は、18世紀のヨーロッパに広められたと言われています。詩人ゲーテも、イチョウを庭に植え、次のように書いています。

 「東洋からはるばると わたしの庭にうつされたこのいちょうの葉は 賢い者のこころをよろこばせる ふかい意味をもっているようです」と。

 イチョウは過酷な環境でも生き延びるため、繁栄のシンボルとして今後の力強い発展を願う、縁起の良い樹木と言われています。不確実な現代を生きるために、子供達には、イチョウのように力強く生きてほしいと願いたいものです。