群馬大学 大学院理工学府 物質・生命理工学領域 博士課程２年

t242a009@gunma-u.ac.jp

主な研究テーマ

薬剤試験が可能な三次元マイクロ尿細管モデルの開発

研究概要

世界的に腎臓病患者数が増加しているにも関わらず、腎臓病における有効な治療法は限られている。そのため、腎臓病における新たな治療薬の開発は世界的に急務であると言われている。また、現在の新薬開発では、多大なる時間と費用が必要であると言われており、その効率化が求められている。加えて、治療薬の探索では主に動物実験が行われているが、ヒトと実験動物の薬物応答の違いやコスト、動物愛護の観点から、動物実験は近年削減傾向にある。そのため、腎臓病に対する新薬探索においても、動物実験の代替となる効率のよい解析手法の開発が求められている。

これらの背景から、本研究では腎臓病の治療薬の探索や腎臓病の機構の解明、腎毒性試験に活用できる尿細管の三次元マイクロモデルを開発することを目的とする。具体的には「三次元尿細管モデルの簡便な構築方法の検討」、「生体内の環境を再現した流れの印加による高い腎機能の発現」、「構築した尿細管モデルの機能評価と、腎臓病を再現した尿細管疾患モデルによる薬剤試験」を実現することをめざす。

目的とする尿細管モデルが実現すれば、腎臓病治療薬の候補化合物を評価するための動物実験に代わる新たな分析方法として大いに注目されるだろう。さらに薬剤探索だけではなく、腎機能と腎臓病のメカニズムの解明に役立ち、医療の発展にも貢献できると期待される。

学歴

2022年3月 群馬大学理工学部化学・生物化学科　卒業

2024年3月 群馬大学大学院理工学府物質・生命理工学教育プログラム　修士課程修了

2024年4月 群馬大学大学院理工学府物質・生命理工学領域　博士課程進学

2024年4月 JST-SPRING 次世代グンマ創発的博士人財インダクションプログラム（Next-GIP）採用

受賞歴

・優秀発表賞「ハイドロゲルを用いた三次元培養における三方向から独立に培地供給可能な培養法の開発」，化学とマイクロ・ナノシステム学会 第47回研究会，2023年5月

・優秀発表賞「三方向から培地供給可能なマイクロチップを用いた血管内皮細胞および尿細管細胞の三次元培養と線維芽細胞の効果」，化学とマイクロ・ナノシステム学会 第48回研究会，2023年11月

・学生ポスター賞「尿細管細胞と血管内皮細胞および線維芽細胞の共培養による三次元尿細管モデル開発の基礎検討」，令和5年度日本化学会関東支部 群馬地区 研究交流会，2023年12

・優秀ポスター賞「ハイドロゲル中での毛細血管網の形成に対する培地流れの影響」，令和6年度日本化学会関東支部 群馬地区研究交流会，2024年12月

・令和5年度群馬大学工業会奨励賞，2024年3月

発表論文等

・M. Yamazaki, Y. Kobayashi, and K. Sato, “Development of an Easy-to-Fabricate Microdevice for Three-Dimensional Culture and Its Application to Glomerular Endothelial Cell Culture”, Micromachines, 16, 324, March 2025

所属学会

・化学とマイクロ・ナノシステム学会、日本動物実験代替法学会

学会発表

・山﨑実優，佐藤記一，「尿細管モデル開発のための尿細管細胞と血管内皮細胞の三次元共培養」，日本化学会秋季事業 第12回 CSJ化学フェスタ2022，P6-044，東京，2022年10月

・山﨑実優，佐藤記一，「三次元尿細管モデル開発のための尿細管細胞と内皮細胞の共培養における線維芽細胞導入の検討」，化学とマイクロ・ナノシステム学会 第46回研究会，15P2-PC-14，徳島，2022年11月

・山﨑実優，佐藤記一，「三次元尿細管モデル開発のための尿細管細胞と内皮細胞の共培養と線維芽細胞の効果」，日本動物実験代替法学会 第35回大会，P-56，静岡，2022年11月

・Miyu Yamazaki, Kiichi Sato, “Three-dimensional co-culture to construct a microtubule model for renal excretion assays”, RSC Tokyo International Conference 2022, OL-5, Online, 2022年12月

・山﨑実優，佐藤記一，「ハイドロゲルを用いた三次元培養における三方向から独立に培地供給可能な培養法の開発」，化学とマイクロ・ナノシステム学会 第47回研究会，2P16，宮城，2023年5月

・山﨑実優，佐藤記一，「三方向から培地供給可能なマイクロチップを用いた血管内皮細胞および尿細管細胞の三次元培養と線維芽細胞の効果」，化学とマイクロ・ナノシステム学会 第48回研究会，7P2-PC-13，熊本，2023年11月

・山﨑実優，佐藤記一，「マイクロデバイスを用いたハイドロゲル中での血管内皮細胞の三次元培養法の検討」，日本動物実験代替法学会 第36回大会，P-65，千葉，2023年11月

・山﨑実優，佐藤記一，「尿細管細胞と血管内皮細胞および線維芽細胞の共培養による三次元尿細管モデル開発の基礎検討」，令和5年度日本化学会関東支部 群馬地区研究交流会，P004，群馬，2023年12月

・山﨑実優，佐藤記一，「三次元マイクロ尿細管モデル開発に向けた細胞培養法の検討」，MPS実用化推進協議会 第1回学術シンポジウム，8，神奈川，2024年1月

・Miyu Yamazaki, Kiichi Sato, “Construction of a three-dimensional cell network for the development of a renal tubule micromodel for the bioassay of kidney disease drugs”, RSC Tokyo International Conference 2024, 97, Chiba, 2024年9月

・山﨑実優，佐藤記一，「ハイドロゲル中での毛細血管網の形成に対する培地流れの影響」，令和6年度日本化学会関東支部 群馬地区研究交流会，P71，群馬，2024年12月

・山﨑実優，佐藤記一，「Renal tubule cells cultured in a hydrogel lumen structures for the development of a three-dimensional renal tubule micromodel」，MPS実用化推進協議会 第2回学術シンポジウム，P-14，東京，2025年1月