令和4年度おかやま学びたい賞には小学校53点、中学校30点が集まり、次の4つの観点で審査が行われました。
○「地域への理解を深めようとしているか」
○「課題の発見、テーマの設定、課題解決などの学習過程の中に、発達段階に応じた新たな気付き、独自の発想が見られるか」
○「まとめ方や表現方法が工夫されているか」
○「学習に人とのかかわりを通した広がりや深まりが感じられ、今後の学習活動の継続・発展に期待がもてるか」
厳正な審査の結果、各校種ごとに1点の最優秀賞、2点の優秀賞が選定されましたので紹介いたします。
最優秀賞(小学校)
和気町立佐伯小学校 6年生
「佐伯を有名に!大作戦
~地域に憩いの場と観光客を~」
高齢化や人口減少という地域の課題に対して、「高齢者が集う憩いの場」、「観光客が増える話題の場」を設けるため、町内の企業や農家の協力を得ながら、お店づくりの活動を行いました。校内で組織した7つの課の取組を連動させながら、商品発売や開店に向けて取り組んだ活動をまとめた作品です。
最優秀賞(中学校)
井原市立井原中学校 2年生
「ワーク&ライフ学習
~令和型職業体験を通したPBL学習~」
コロナ禍で企業等に出向いての職場体験が難しくなる中、職場体験の目的と実施方法について地元企業と連携をしながら再考しました。企業の担当者から出される課題に対して中学生の視点で解決案を提案していく中で、自分自身の内面に向き合い、自分自身の在り方を考える様子がうかがえる作品です。
優秀賞(小学校)
井原市立県主小学校 5年生
「そうだ!県主へ行こう!
Episode3「県主プロジェクト」」
昨年度の取組を引き継ぎ、「県主のよさをたくさんの人に広めたい」という願いを込めて、「県主ぎんざ朝市の開催」や「県主の名物づくり」をテーマに学習を進めました。地域の人との交流を通して気付いた「相手意識」や「実現性」を大切にしながら取り組んだ活動をまとめた作品です。
高梁市立福地小学校 5・6年生
「福地PR大作戦」
「福地のよさを知ってほしい」という思いを出発点に、地元製菓と共同開発した「福地のコハク」の販売を行いました。地元の商工会や企業、高校、動画クリエイター等、いろいろな人との関わりを通してPRや接客・販売について学び、主体的に活動に取り組んだことが伝わってくる作品です。
優秀賞(中学校)
高梁市立高梁中学校 3年生
「高梁市図書館の小学生利用者数を増やそう」
小学生の図書館利用者数を増やすために、高梁市図書館の職員と連携して小学生を対象とした宝探しと読み聞かせイベントを行いました。高梁市図書館の課題から仮説を立て調査し、分析的に物事を捉え、設定した目標に向け提案をしていくという過程をまとめた作品です。
早島町立早島中学校 2年生
「早島の魅力を世界に発信
~企業体験プロジェクト~」
早島の魅力を世界へ発信することを目的として、地元企業等と協力し、商品を開発・広報・販売するプロジェクトに取り組んでいます。地元企業に向け商品開発のプレゼンテーションを行い、選ばれた商品を「早島IGUSA花ござピンポン世界大会」で販売する等、取組の様子をまとめた作品です。
学びたい賞作品応募者の方へのメッセージ
岡山大学 准教授
中山 芳一
岡山県の探究学習の取組は全国的にも優れている。誇りに思ってほしい。これだけは誰にも負けない、という『愛』を持てるテーマを見つけ、これからも学び続けてほしい。
岡山県教育委員会 教育長
鍵本 芳明
探究にチャレンジしたことで、どんどん力が付いてきたことが伝わった。参加者に共通した熱い思い『愛』があったと感じた。今後ももっと素晴らしい実践ができるよう成長してほしい。
学びたい賞フォーラムの様子
岡山県総合教育センターをメイン配信会場として、岡山県内各地の小・中学生がオンラインでつながりました。前半は9グループに分かれて意見交流をしました。各グループに県立瀬戸高等学校の生徒も1人ずつ参加し、小学校から高校までの学びのつながりを実感しながら、感想や意見交流を行いました。
指導主事や高校生が見守る中、発表者の児童生徒は互いの作品の感想や質問等を行い、交流しました。初対面にも関わらず、地域や校種を超えて積極的に交流し合う姿が見られました。
グループによる意見交流の後に、最優秀賞と優秀賞が発表されました。
受賞した学校は、画面の向こうで大喜びでした。また、受賞した学校に対して笑顔で拍手を送り、お互いの努力を称え合う姿が見られました。
後半の全体交流の場では、児童生徒が、当日の意見交流を通して新たに気付いたことや学んだことを互いに伝え合いました。
地域や校種を超えた児童生徒とオンラインで交流することで、学ぶ意欲が刺激され、参加した児童生徒から「もっと知りたい」「学びたい」「伝えたい」という気持ちが伝わってきました。皆さんの今後の成長が楽しみです。
参加した児童生徒の感想(一部抜粋)
小学生
・みんなの発表を聞いて、岡山県には様々な魅力があることがわかりました。
・私たちは町内への発信でしたが、町外や県外、そして世界へと発信してみたいと思いました。
・意見交流では、みんな積極的に発表していたので、自分もそうなりたいと思いました。
・いろんな学校の人がいて、最初はすごく緊張したけど、すごく楽しかったです。「愛」が大切だとわかりました。
・高校生の発表がわかりやすかったから、自分も真似してみようと思いました。自作のCMも作ってみたいです。
・話を聞くときはうなずいたり、スライドを使うときは聞く人の顔を見て、指で指しながら説明するとわかりやすいと思いました。
・外国人向けのポスターであれば英語で書いたり、高齢者向けの物であれば大きな文字で書いたりと、誰に向けての作るのかをはっきりさせたいと思いました。
・中学生や高校生の研究は、身近にある「どうして?」「何とかできないかな?」などの疑問や課題を見つけて取り組んでいたのが参考になりました。
・高校生のように、一度やってやめるのではなく、何度もチャレンジしてみたいと思いました。
・グループの発表や意見を聞きながら、来年に向けてやってみたいことのアイデアが沸いてきました。
中学生
・他の学校の人との交流を通して、自分たちでは気が付かなかった課題を見つけることができました。小学生から高校生まで参加していたので、様々な話を聞くことができました。
・小学生のときから地域について真剣に考え、多くの大人と関わりながら商品を作って、販売していてすごいなと思いました。今後は私ももっと行動していこうと思います。
・その地域ならではの良さを生かした商品づくりを進めた方が良いとアドバイスをもらうことができました。
・さすが高校生だと思いました。物事を見る視点や考え方が違っていてすごいと思いました。
・グラフ、写真、イラスト、アンケート結果等、見やすい発表スライドを作ることで、自分たちの考えや提案が伝わりやすくなるということがわかりました。
・自分たちの研究は物を作っただけだったので、他の学校のように実際に実践や体験をしたり、学園祭等で校外の人に発信したりしていきたいと思いました。
・自分たちが住んでいる地域に誇りをもって、もっともっと良くしていこうという視点で取組を進めたら良いと思いました。
・「地域の魅力を発信する」という探究的な活動は、「いじめを減らす」等の活動にもつながることを発見しました。
・自分の考えを言葉にして発表することは、どの教科でも役に立つのではないかなと思いました。
・「地域に何か貢献したい」というみなさんの思いが伝わってきました。高校生になってもこのような活動に力を入れて頑張っていきたいと思います。
高校生
・小学生や中学生と思えないくらい、完成度が高く、上手な発表をしていて、そんなスライドの仕方もあるんだとたくさん学ぶことができました。自分が探究した経験をみんなに発表するのは、とても良い経験になりました。
・今回発表してくれたほとんどのチームが、フィールドワークに出かけ、探究の輪を自分たちだけではなく地域へと広げていました。私も同じように、探究活動を通して得た楽しさや成長を発信し、探究の良さを広めていきたいです 。
・小・中学生は探究の中で、特に人とのつながりを大切にしていると感じました。外国人や地域の農家など、たくさんの人と関わっていると思いました。私ももっと多くの人と関わって、探究を深めていきたいです。
・探究心を持ち続け、フィールドワークに行ったり、人に伝えたりする活動を続けていき、まずは自分を変えていくことが、周りの人や社会を変えていく第一歩だと感じました。小・中学生に負けないように、私も向上心を持って探究し続けていきたいです。
・地域とのつながりが、岡山県、日本、世界へと広がっていくことが分かりました。それぞれに伝えたいことや知ってもらいたいことがあふれていて、交流するのが楽しかったです。
・小・中学生と思えない程のレベルの高さで、自分たちで考えて行動することができていました。失敗をして、そこから改善していったというチームもあってすごいことだと感じました。