令和3年度おかやま学びたい賞には小学校36点、中学校22点が集まり、次の4つの観点で審査が行われました。
○「地域への理解を深めようとしているか」
○「課題の発見、テーマの設定、課題解決などの学習過程の中に、発達段階に応じた新たな気付き、独自の発想が見られるか」
○「まとめ方や表現方法が工夫されているか」
○「学習に人とのかかわりを通した広がりや深まりが感じられ、今後の学習活動の継続・発展に期待がもてるか」
厳正な審査の結果、各校種ごとに1点の最優秀賞、2点の優秀賞が選定されましたので紹介いたします。
最優秀賞(小学校)
井原市立県主小学校 5年生
「そうだ!県主へいこう!
episode2『かかしプロジェクト』」
昨年度の5年生が行った取組を引継ぎ、「県主のよさをたくさんの人に伝え、広めたい」という願いを込めて、地域の宝である「かかし」を題材に学習を進めました。調べ学習や体験活動を通して、地域の強い願いや思いを知り、「多くの方に県主のことを知ってもらいたい」という思いを伝える作品です。
最優秀賞(中学校)
早島町立早島中学校 2年生
「早島中学校2年生ESD起業体験活動」
地元企業と連携し、町伝統の「い草」を中心とした「地域の魅力を発信する商品」を、企画書の作成から商品の開発、販売まで行っています。早島町の魅力を発信するとともに、社会経験を積む機会として取り組んだ学習についてまとめた作品です。
優秀賞(小学校)
和気町立佐伯小学校 6年生
「輝ける佐伯小学校-イベントプロジェクト・山田小プロジェクト」
佐伯小学校では、登校が楽しいと思える学校を目指して、お昼の校内放送を行っています。5年前に廃校になった山田小学校最後の在校生として、和気町に山田小学校の再利用の可能性を伝えるために活動している様子をまとめた作品です。
鏡野町立奥津小学校 6年生
「地域の魅力を活かした観光ツアー(企画)を考え発信する」
少子化、児童数減少ということに課題意識を持ち、自分たちで取材し体験した地域の魅力について発信することを通して、地域の活性化に貢献する取組を進めました。ICTを活用し、みんなで知恵を出し合い企画した観光ツアーを、プレゼン劇等で提案している様子をまとめた作品です。
優秀賞(中学校)
岡山県立津山中学校 2年生
「美作の国 活性化プロジェクト」
「美作の国 活性化プロジェクト」と題した地域についての探究的な学習を行っています。津山市にある子ども食堂「ごはんやふまる」への取材を通して、課題を発見し、地域を活性化するための企画の提案をする取組の様子をまとめた作品です。
笠岡市立笠岡東中学校 3年生
「白石踊の魅力」
白石踊の継承者が減少してきていることに課題意識を持ち、校区の小・中学生に白石踊の認知度を調査するとともに、現地で白石踊を体験し、リーフレットを作成して小・中学生に配付したり、文化祭でその魅力を発信したりしました。白石踊の魅力をより多くの人に知ってもらうための作品です。
学びたい賞作品応募者の方へのメッセージ
岡山大学 准教授
中山 芳一
「『學』という文字の成り立ちを知っていますか?地域の人たちとつながろうとしたことが学びの原動力になっていました。人と人がつながる中で、そしてつながろうとする意志の中で、安心感があって初めて学ぶことができます。これからもお互いにつながりながら、学び続けてほしいと思います。」
岡山県教育委員会 教育長
鍵本 芳明
「自分たちの住んでいる地域を調べ、その中で『なんとかしたい』『伝えたい』という思いを持ち、そこから取組が始まっていました。取組を進める中でぶつかった壁をどう乗り越えるか試行錯誤しながら学ぶ姿から熱意が伝わってきて、作品を見て胸が熱くなりました。」
学びたい賞フォーラムの様子
岡山県総合教育センターをメイン配信会場として、岡山県内各地の小・中学生がオンラインでつながりました。前半はグループに分かれ、指導主事や大学生が見守る中、発表者の児童生徒が互いの作品の感想や質問等を行い、交流しました。初対面にも関わらず、地域や校種を超えて積極的に交流し合う姿が見られました。
グループによる意見交流の後に、最優秀賞と優秀賞が発表されました。受賞した学校は、画面の向こうで大喜びでした。受賞されなかった学校も、笑顔で拍手を送る姿が見られました。
後半の全体交流の場では、多くの児童生徒が、当日の意見交流後の感想や学んだこと、今後の目標を発表するなど、主体的に学び合うことができました。
地域や校種を超えた児童生徒とオンラインで交流することで、学ぶ意欲が刺激され、参加した児童生徒から「もっと知りたい」「学びたい」「伝えたい」という気持ちがひしひしと伝わってきました。皆さんの今後が楽しみです。
参加した児童生徒の感想(一部抜粋)
小学校
・新しい取り組みを知ることができた。
・私たち以外にも、地元が好きで、地元の魅力をみんなに伝えたいと思っているのだなと思いました。
・新しく岡山のいいところに気が付くことができたのが良かったです。SNSなどを使って、もっと奥津、上齋原について知ってもらいたいです。
・大人(地域の人)と関わることが大切だとわかりました。これからパンフレットを作りますが、今日見たチームのいいところを参考にして今よりもっといいものを作りたいです。
・小学校によって作っているものが全然違っていて、全部いいなと思いました。
・中学校の発表を見て、僕も中学校に行ったら、あんな風にみんなで頑張ってみたいと思いました。
・同年代の友達や中学生と交流することで、各学校の取組の良さを見つけ、今後の取組につながる新たな発見があった。これからの学習に生かしていきたい。
・相手意識を持って取り組み、伝えることの大切さに気づいた。「かかしプロジェクト」に、たくさんの方が協力してくださっていることを改めて見つめなおした。感謝の気持ちも大切にしたい。
・今までは「伝え、広める」ことが目的であったが、フォーラムを通して「続けていくこと」の大切さも感じた。また、みんなで考え、挑戦したい。
・物事を多角的にみるという意見が参考になった。いろいろな視点から観察して善し悪しを考える習慣を付けたい。自分が住んでいる地域の良さをもっと考えようと思った。
中学校
・岡山県の新しい魅力について知ることができた。まだ、知らないことがたくさんあるようなので、身近な人にも伝えていきたい。そして、私の成長にもつなげていきたい。
・フォーラムで伝え方が大切だと気づきました。この経験を生かして、今よりも工夫を重ね、たくさんの人を引き付けるようなものを作り、井原を活性化させたい。
・リモートなので、いつもより聞こえやすさや伝わりやすさに気を付けた。市町村ごとに課題や良さが異なっていたので、多くの考えや意見を知ることができた。
・他の学校の具体的な取組を知ることができたので、いいところを参考にしてよりよい町にしていきたい。
・他の学校の発表や意見から、私たちとは違う考えや意見を聞くことができてよかったと思いました。
・他校の工夫がすごいと思った(マスコットキャラクターやアンケートなど)。
・これからも井原について深く考えて、他県にも発信していきたいです。
・交流会を通して、知らない他の学校や地域のことをたくさん知ることができた。
・他の学校の人の発表を聞いて、その地域に興味を持ちました。
・多角的・多面的に物事を見ることの大切がよく分かりました。私も、物事を調べたり、ニュースを見たりする際に、賛成意見や反対意見など、多くの意見を踏まえた上で物事を判断したいと思いました。
・小学生の皆さんが、物事を深く、多面的・多角的に考えていてすごいと思いました。私が小学生の頃はそんなに考えられていませんでした。これからも探究心を持ち、色々なことに興味を持っていきたいです。
・みなさんの発表を聞いて、自分では思いつかなかったことや考えていなかったことに気づくことができました。自分たちの課題を改善したり、よいところを参考にしたりしていきたいと思いました。
・地域のことに興味を持ち、たくさんの気づきがあったことがいいなと思いました。成長とともに、地域に対する関心が薄れていってしまいがちになると思うので、地域に対する気持ちを大切にしたいと思いました。
・市役所へ提案をして終わりではなく、SNSなどを利用して自分たちから発信していく方法はとても参考になった。
・他の市の学校の人たちの意見や考えを聞くことは新鮮で、もっとこのような場が広まればいいと思いました。
・自分の県や市を盛り上げたいという思いがよく伝わってきました。他の市への興味を持つことができましたし、行きたくもなりました。
・岡山大学の中山先生がおっしゃっていた「學び」についてしっかり理解し、自分たちの将来について考え、地域や社会に貢献できるようにチャレンジしていきたい。
・私たちも、井原中学校ような「自分たちができること」をさらに見つけ、活動していきたいと思いました。
・他の地域でも、「自分の地域が発展してほしい」「みなさんにもっと知ってもらいたい」という強い気持ちは同じなのだと改めて気付きました。佐伯小学校で取り組んでいた校内放送を早島中でもやってみたいと思いました。
・今回商品開発を行いましたが、次は地域の方々を巻き込んでできる町おこしにチャレンジしてみたいと思いました。