もともと、指導教員熊谷が大学に入学したときの体験に基づきます。
当時、その大学には「プレゼミ」という、全学の1年生を対象に、教養部にある研究室で少人数を受け入れて、専門的環境で学修をするという科目がありました。その中にひとつ、「コンピュータサイエンス」というコースがあり、そこでは今では当たり前になったインターネットがまだ学術研究機関や一部企業が利用するくらいで世に知られてなかった時代に、そのネットに直結したワークステーションというパソコンより高性能(?)、UNIXという系統のOSで動くコンピュータを24時間365日好きな時に来て使って良い、それを使ってなにかそこで90時間以上やったら単位を出す、というものでした。
熊谷はそこで身につけたネットワーク通信ソフトウエアのスキルや分散処理をするという発想を、大学で専門として学んだ機械工学と一体運用することで、ロボットシステムの構築をして、博士の学位のなかにも多分にそれを含んで今に至っており、「あの経験が今を形作っている」と確信しています。
余談:大人気で書類選考があって毎年20人くらいが選ばれるのですが、1年後には数人しか残っていないという過酷?なコースでした。「なによやってもよい、自由」「講義のように教えてもらえるのでは無く、そこに環境と参考情報があるなかで自ら学ぶ」というスタイルは、大学の本質的には当たり前なのですが、1年生には過酷らしく。一方、残った数人は文系理系を問わず、90時間とはいわず、年間数百時間、大学の空き時間はそこにいる、みたいになり、いろいろとその後の専門になった人もいれば、専門に役立つ情報スキルを身につけていった人も。本学にはほかにも、そのコース出身の教員がいます。
その後、2003年に本学に着任したとき、「1年生が専門技術に自由に触れられる環境は、貴重な経験になる」「これをロボット分野でやってみたらどうなるか」と考えて、「特別なロボット学習コース」として学科内で希望者を募り、活動を始めたのがロボット研究会の興りでです。一方、ロボットコンテスト類への参加などで講義を休むのに、勝手な団体だと説明もつかないということで、大学の課外活動団体としての面も整備して(これは主に学生側の手続き)、多賀城キャンパスで工学部の機械以外の学科からも入るようになり、五橋に移転して全学に間口が広がって今日に至ります。このような由来なので、学内でも数少ない「活動場所が研究室内」という団体です。
ちなみに、この大本の由来のプレゼミという制度、本学でも同じような全学1年生向けの初年次少人数で、全学のさまざまな専門背景の元で実施される科目「課題探究演習」として2023年のキャンパス統合を機にスタートしました。本学にも同様の制度ができると喜んだ結果、その全学の立ち上げにかかわることにもなりました。上記の通り、「フル自由」は脱落も多くなるので、同じように熊谷の研究室も舞台に行われる「課題探究演習」は「3次元CADと3次元プリンタによるものづくり」とある程度限定した上で、文系理系問わずのコースとして実施しています。これで関心を持ったら、そこからロボット研究会にシフトするのもありです。
ロボット研究会では以下のような条件で活動ができます。
建物の管理時間内で研究室に好きな時間に来て活動できます。(平日土曜日は6:30~22時すぎ、日曜は午後~<午前禁止は本学ルール)(※1)
研究室の機材(3次元プリンタ、PC類、道具類、工作機械等)を使えます(※2)
研究室にある一般的消耗品(各種材料、ネジ類)を使えます(※3)
あくまで研究室なので、研究室としての運用を優先します(学科の実験実習で使う、卒業研究修士研究の優先、来客等)。それにより制限がかかることはあります。
詳細は別途「お約束条項」や、慣例によっています。
※1 上記のとおり、時間制限が定期・臨時にかかります。また、結果的に研究室の解錠権をシェアし、研究室のセキュリティへの責任をもつことになります。そのため、当初は「だれか開けられる人が他にいる時間限定」で活動するある種のお試し期間を経て、「研究室に居着くことが確定的」という段階で正式な手続きを行って、自由になります。
※2 卓上の旋盤フライス盤など(経験者向け)、切断、ドリル類など、通常家庭よりは豊富、専門の工場よりは簡易。やばめの怪我しかねない工作をするときは、原則として保健室の開いている時間とし、それ以外に作業しなければならないときも、他に誰か一人以上いるとき、という制限があります(熊谷が学生時代にこっそり一人で研究に関係ない工作したときにミスって血がだばだばでる恐怖を味わった経験から)。
※3 主に研究室でまとめ買いをしているもの。金属材料やプリント材料、電線や一部汎用電子部品など。ネジでも特殊なものは制限がかかります。汎用性が高いものはリクエストすることもできます。一方、サーボ、マイコンボードのように個別目的で使用するものは個人(およびロボット研究会としての予算での)負担になります。