(しばた ゆき)
ここでは、私が担当している「流通論」という講義で学べることについて、皆さんにお伝えしていきます。皆さんは「流通」という言葉の意味を理解し、人に正しく説明することが できますか?たとえ今できなかったとしても、何も恥ずかしいことはありません。なぜなら、 社会で働いている大人であっても、できる人は多くはいないからです。流通という言葉には 「消費者と生産者の間を取り持って、商品やサービスを生産者から消費者へ円滑に移転さ せる働き」という意味が含まれています。
非常に漠然としていて、分かりにくいと思います。だからこそ、現代において重要な社会 インフラの1つである「流通」を学ぶことに大きな意味があります。何気なく寄ったコンビ ニで買ったお茶は、どのようにしてそのお店まで運ばれてきたのでしょうか。誰がどこでそのお茶をペットボトルに詰めて、ラベルを貼り付けたのでしょうか。そもそもそのお茶はなぜ、1本148円で売られていたのでしょうか。同じ製品(ex. 綾鷹)であるにも関わらず、コンビニとドラックストアで販売価格が異なっているのはなぜでしょうか。そんな日常にありふれた、けれど意外と知らない経済活動の「何故」を学ぶことで、これまでと違った視点で経済の仕組みを理解することができるようになるでしょう。
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ここでは、消費者の「格差」について一緒に考えていきましょう。いきなりですが、皆さんが新しい洋服を購入する状況を思い浮かべてください。きっと今、皆さんの頭の中にはそれぞれ違う服と予算が思い浮かんでいるはずです。つまり、洋服という同一の製品カテゴリー製品を購入する場合であっても、支払える金額は消費者によって異なります。この違いを 生み出す原因にはいくつか考えられますが、最も大きな要因として「所得格差」があげられ ます。
そして、消費者が特定の製品カテゴリーに支払える金額は、消費者の最終的な意思決定に 強く影響を与えます。そのため、消費者を相手にモノやサービスを提供している企業は、消 費者の間に存在している「格差」を必ず考慮しなければならないのです。企業の対応策には いくつかありますが、ここではよく用いられる 2 つの戦略について説明します。
一つ目は、一つのブランド内で多種多様な製品カテゴリーや価格帯を展開していく「マス ターブランド戦略」と呼ばれるものです(ex. NIKE)。それに対して、一つの企業が対象とする消費者セグメントごとに異なったブランドを立ち上げることを「マルチブランド戦略」と呼びます(ex.ファーストリテイリングの“UNIQLO“と“GU”)。これら 2 つの戦略にはそれぞれメリット・デメリットがあります。少しでも興味を持ってくれた人は、ほんの少しの時間 で良いので、自分自身で調べてみてください。この記事が皆さんの今後の学習(探究学習・ 研究活動)の小さなきっかけになれることを祈っています。
(2024年5月16日更新)